銃口を司る正義
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局長執務室を退室し、エレベーターに乗り込んだ所で宜野座に叱られた。
「局長の前でボーッとしてるなんて言語道断だぞ!」
「ごめんなさい…」
幼なじみである宜野座とは付き合いが長い。
彼がこうして声を荒げる時は、大抵の場合心配してくれている時に他ならない。
それが分かるからこそ幸子は感じ入り、こうして素直に謝ってしまう。
「そう責めるな、ギノ。局長を前にすれば誰でもああなるさ」
「そうよ。これから挽回するチャンスなんていくらでもあるわ」
狡噛と青柳が励ましてくれるのが有難い反面、自分が情けない。
考えてみれば、禾生は法を執行する公安局刑事課の局長なのだ。観察眼を持っているのは当然ではないか。なのに勝手に臆して失態をさらしてしまった。
あの時もし――‥
そこでエレベーターが目的階に到着したのを報せる音が鳴った。ドアが開き、青柳、宜野座がエレベーターを降りていく。
「狡噛くん」
狡噛に続いてエレベーターを降りた所で声をかけた。
振り返った狡噛の青みがかった灰色の瞳が幸子を映す。
「さっきはありがとう」
「さっき?」
「うん、局長室で。フォローしてくれて」
あの時もし狡噛が話を逸らしてくれなかったら、もっと墓穴を彫っていたかもしれない。
監視官になる前に適性は誤りだったと公安局を追い出されたら笑えない話だ。
狡噛は少しの間幸子の顔を見つめていたが、やがて悪戯っぽい表情を浮かべた。
「あれは…半分嘘だよ」
「嘘?」
「確かに局長に対して畏怖の念も抱いているが……」
前を歩く2人には聞こえないよう、そっと耳打ちしてきた。
「局長の顔は怖すぎだよな」
「あははっ」
幸子は思わず笑ってしまった。
恩を着せるでもない。なんと気持ちの良い男だろう。
「狡噛、幸子。何してるんだ。早く来い」
立ち止まった宜野座が2人を呼ぶ。
いつの間にか前を行く宜野座と青柳との距離が開いてしまっていた。
「ああ。すぐ追いつくよ」
手を挙げて応えた狡噛が、楽しげな表情でもう一度幸子に耳打ちする。
「今の話 ギノ達には内緒な」
「うんっ。2人だけの秘密だね」
狡噛と幸子は見交わして小さく笑い合い、宜野座達を追った。
明日からはキャリア研修所に入所し、新たな人生がスタートする。
不安はあるが、この仲間達となら切り抜けられる――そんな確信があった。
「局長の前でボーッとしてるなんて言語道断だぞ!」
「ごめんなさい…」
幼なじみである宜野座とは付き合いが長い。
彼がこうして声を荒げる時は、大抵の場合心配してくれている時に他ならない。
それが分かるからこそ幸子は感じ入り、こうして素直に謝ってしまう。
「そう責めるな、ギノ。局長を前にすれば誰でもああなるさ」
「そうよ。これから挽回するチャンスなんていくらでもあるわ」
狡噛と青柳が励ましてくれるのが有難い反面、自分が情けない。
考えてみれば、禾生は法を執行する公安局刑事課の局長なのだ。観察眼を持っているのは当然ではないか。なのに勝手に臆して失態をさらしてしまった。
あの時もし――‥
そこでエレベーターが目的階に到着したのを報せる音が鳴った。ドアが開き、青柳、宜野座がエレベーターを降りていく。
「狡噛くん」
狡噛に続いてエレベーターを降りた所で声をかけた。
振り返った狡噛の青みがかった灰色の瞳が幸子を映す。
「さっきはありがとう」
「さっき?」
「うん、局長室で。フォローしてくれて」
あの時もし狡噛が話を逸らしてくれなかったら、もっと墓穴を彫っていたかもしれない。
監視官になる前に適性は誤りだったと公安局を追い出されたら笑えない話だ。
狡噛は少しの間幸子の顔を見つめていたが、やがて悪戯っぽい表情を浮かべた。
「あれは…半分嘘だよ」
「嘘?」
「確かに局長に対して畏怖の念も抱いているが……」
前を歩く2人には聞こえないよう、そっと耳打ちしてきた。
「局長の顔は怖すぎだよな」
「あははっ」
幸子は思わず笑ってしまった。
恩を着せるでもない。なんと気持ちの良い男だろう。
「狡噛、幸子。何してるんだ。早く来い」
立ち止まった宜野座が2人を呼ぶ。
いつの間にか前を行く宜野座と青柳との距離が開いてしまっていた。
「ああ。すぐ追いつくよ」
手を挙げて応えた狡噛が、楽しげな表情でもう一度幸子に耳打ちする。
「今の話 ギノ達には内緒な」
「うんっ。2人だけの秘密だね」
狡噛と幸子は見交わして小さく笑い合い、宜野座達を追った。
明日からはキャリア研修所に入所し、新たな人生がスタートする。
不安はあるが、この仲間達となら切り抜けられる――そんな確信があった。