#49 かけがえのない存在
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離れがたい温もりを心と体に刻み付けながらゆっくりと抱擁を解き、狡噛はリボルバーを手にした。
「慎也…?」
「全てを終わらせる」
ドミネーターではなくリボルバーを構えた恋人を、幸子は何とも言えない表情で見つめた。
シビュラの鉄槌を下すドミネーターと、自らの意志によりトリガーを引くリボルバー。似ているようで、責任の所在が異なるふたつの武器。
狡噛はドミネーターではなくリボルバーを選択した。
その意味が幸子の胸を締め付ける。
「……これは俺とあいつだけの問題なんだ」
狡噛は同じくらい苦しげな表情を浮かべながら目を伏せた。
『なあ幸子よ、幸せになれ。俗に言う幸せじゃなく、お前自身がそれと感じる幸せにな』
いつかの征陸の言葉が脳裏に甦る。
父親のような存在であった征陸。彼は幸子が自分自身の幸せの為に生きる事を願ってくれていた。
「慎也、聞いて」
「?……」
伏せられていたグレーの瞳が再び映した幸子は、迷いのない瞳で真っ直ぐに狡噛を見つめていた。
「この先どんな未来が待ち受けていたとしても……私は慎也を愛してる。だから――あなたの抱えているものを…これから抱えようとしているものを……私にも背負わせて」
「幸子……」
後悔したくない。
この先何が待ち受けていようと、自分の想いを…正義を貫き通すだけだ。
「私も慎也と行く」
「……」
狡噛は押し黙っている。
幸子の考えを見透かしているのかもしれない。それを理解した上で、狡噛は首を縦に振った。
「……分かった」
「ありがとう」
それからしゃがみ込んで常守の様子を伺う。どうやら覚醒しかけているようだ。
幸子は常守の頭を優しく撫でた。
「……ごめんね」
「行くぞ、幸子」
「はい…」
頷き合うと、各々の想いを抱えたまま駆け出した。
全ての決着をつける為に。
「駄目…」
まだ大分ぼんやりしている視界に遠ざかるふたつの背中を映した常守が絞り出すような声を上げた。
「行かないで……幸子さん…狡噛さん!」
絶対に失いたくないものに向かい、声の限りに叫んだ。
「慎也…?」
「全てを終わらせる」
ドミネーターではなくリボルバーを構えた恋人を、幸子は何とも言えない表情で見つめた。
シビュラの鉄槌を下すドミネーターと、自らの意志によりトリガーを引くリボルバー。似ているようで、責任の所在が異なるふたつの武器。
狡噛はドミネーターではなくリボルバーを選択した。
その意味が幸子の胸を締め付ける。
「……これは俺とあいつだけの問題なんだ」
狡噛は同じくらい苦しげな表情を浮かべながら目を伏せた。
『なあ幸子よ、幸せになれ。俗に言う幸せじゃなく、お前自身がそれと感じる幸せにな』
いつかの征陸の言葉が脳裏に甦る。
父親のような存在であった征陸。彼は幸子が自分自身の幸せの為に生きる事を願ってくれていた。
「慎也、聞いて」
「?……」
伏せられていたグレーの瞳が再び映した幸子は、迷いのない瞳で真っ直ぐに狡噛を見つめていた。
「この先どんな未来が待ち受けていたとしても……私は慎也を愛してる。だから――あなたの抱えているものを…これから抱えようとしているものを……私にも背負わせて」
「幸子……」
後悔したくない。
この先何が待ち受けていようと、自分の想いを…正義を貫き通すだけだ。
「私も慎也と行く」
「……」
狡噛は押し黙っている。
幸子の考えを見透かしているのかもしれない。それを理解した上で、狡噛は首を縦に振った。
「……分かった」
「ありがとう」
それからしゃがみ込んで常守の様子を伺う。どうやら覚醒しかけているようだ。
幸子は常守の頭を優しく撫でた。
「……ごめんね」
「行くぞ、幸子」
「はい…」
頷き合うと、各々の想いを抱えたまま駆け出した。
全ての決着をつける為に。
「駄目…」
まだ大分ぼんやりしている視界に遠ざかるふたつの背中を映した常守が絞り出すような声を上げた。
「行かないで……幸子さん…狡噛さん!」
絶対に失いたくないものに向かい、声の限りに叫んだ。