#47 それぞれの正義
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スタングレネードの閃光を農耕機の物影に隠れる事により避けた槙島は、狡噛の隙をついてドローン格納庫を脱出した。
切りつけられた腕が変則的にズキズキと痛む。
その痛みに生を実感し、槙島は苦し気ながらも笑みを洩らした。
「待たせたね」
格納庫を抜け細い通路までやって来ると、通路の壁に背を預けて座る幸子の側に屈み込んだ。
顔に流れた髪を耳にかけてやりながら話しかけるが、応答はない。意識を失っているのだ。
「さあ、行こう」
傷ついた腕を伸ばして彼女を抱き上げる。
人一人抱える重みで痛みは更に増したが、それ以上に込み上げてくる高揚感を抑えきれずにはいられなかった。
幸子を眠らせたのは他ならぬ槙島本人だ。
狡噛との対峙を誰にも邪魔されたくなかった。そしてその気持ちと同等に――彼女を渡したくないという強い想い。
「僕をこんな気持ちにさせるなんて…君は本当に興味深いよ、幸子」
己に苦笑する。
それは独占欲や嫉妬心。
人への執着が人一倍薄かった自身への嘲笑に見て取れた。
「狡噛慎也の人間性が移ったのかな」
幸子を抱えたまま、槙島はゆっくりと歩き出した。
―――――‥
管理センターを抜けるとターミナルエリアへと辿り着いた。
夕陽を浴びた何台もの冷凍車が整然と駐車している。槙島は躊躇いなくその一台に乗り込んだ。幸子を助手席に座らせ己は運転席へ。
腕は相変わらずズキズキとして痛みのひく気配はないが、運転に支障はなさそうだ。
狡噛がやって来るまでまだ少し時間はあるだろう。
「幸子」
手を伸ばし、その頬を愛しげに撫でる。
狡噛慎也を愛する女――。
もし彼より先に出逢っていたならば……運命は変わっていたのだろうか。
「……らしくないな。感傷に浸るなんて」
不思議な夢を見た。
普段、夢なんてほとんど見ないのに。
その夢の光景を槙島は何故か自然と受け入れていた。
さて、狡噛慎也。
君はどんな結末を見せてくれるのかな。
切りつけられた腕が変則的にズキズキと痛む。
その痛みに生を実感し、槙島は苦し気ながらも笑みを洩らした。
「待たせたね」
格納庫を抜け細い通路までやって来ると、通路の壁に背を預けて座る幸子の側に屈み込んだ。
顔に流れた髪を耳にかけてやりながら話しかけるが、応答はない。意識を失っているのだ。
「さあ、行こう」
傷ついた腕を伸ばして彼女を抱き上げる。
人一人抱える重みで痛みは更に増したが、それ以上に込み上げてくる高揚感を抑えきれずにはいられなかった。
幸子を眠らせたのは他ならぬ槙島本人だ。
狡噛との対峙を誰にも邪魔されたくなかった。そしてその気持ちと同等に――彼女を渡したくないという強い想い。
「僕をこんな気持ちにさせるなんて…君は本当に興味深いよ、幸子」
己に苦笑する。
それは独占欲や嫉妬心。
人への執着が人一倍薄かった自身への嘲笑に見て取れた。
「狡噛慎也の人間性が移ったのかな」
幸子を抱えたまま、槙島はゆっくりと歩き出した。
―――――‥
管理センターを抜けるとターミナルエリアへと辿り着いた。
夕陽を浴びた何台もの冷凍車が整然と駐車している。槙島は躊躇いなくその一台に乗り込んだ。幸子を助手席に座らせ己は運転席へ。
腕は相変わらずズキズキとして痛みのひく気配はないが、運転に支障はなさそうだ。
狡噛がやって来るまでまだ少し時間はあるだろう。
「幸子」
手を伸ばし、その頬を愛しげに撫でる。
狡噛慎也を愛する女――。
もし彼より先に出逢っていたならば……運命は変わっていたのだろうか。
「……らしくないな。感傷に浸るなんて」
不思議な夢を見た。
普段、夢なんてほとんど見ないのに。
その夢の光景を槙島は何故か自然と受け入れていた。
さて、狡噛慎也。
君はどんな結末を見せてくれるのかな。