#46 罪と罰の境界線
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狡噛は胸の前でリボルバーを構えながら、槙島を追いかけ薄暗い通路を急いでいた。
眉間に深く皺を寄せたその表情は込み上げてくる感情を抑えている様がありありと。
(すまねぇ、とっつぁん……ギノ…!)
脳裏に浮かぶのは目にしたばかりの光景。
血まみれの征陸と――父に寄り添う宜野座。
駆け寄りたい衝動を堪え、槙島の追跡続行を選んだ。
その槙島を、いよいよ追いつめた。
この先には槙島と……それに幸子がいる。
(幸子、待ってろ…!)
先程槙島に向けて発砲した際、ほんの一瞬だが幸子の姿も認められた。
やはり幸子は槙島に捕らえられていたのだ。…無意識にハンカチを仕舞い込んでいる内ポケット付近に手を充てる。
二度と離さないと誓ったのに――‥
怒りと嫉妬。それに焦燥を押さえつけながら、狡噛はドローン格納庫へと足を滑らせた。
リボルバーを構えて周囲に神経を張り巡らしながら、不気味に静まり返る空間を慎重に進んでいく。
槙島は必ず何処かに潜んでいるはずだ。
「!!……」
行く手の物陰を人影が走り抜けた。
反射的に発砲するものの槙島の姿は既に消えていた。
舌打ちした狡噛を嘲笑うように広い空間に槙島の笑い声が響き渡る。
「ハハハハハ……ついに紛い物の正義を捨てて本物の殺意を手に取ったか。
やはり君は僕が期待した通りの男だった」
声はまるで空間全体に降り注ぐように厳かに響いた。
聞いているだけで飲み込まれてしまうような重圧を受けながらも、狡噛は槙島の気配を探して歩みを進めていく。
「そうかい? だが俺は貴様に何の期待もしちゃいない。貴様は孤独に耐えられなかっただけだ!」
「……この社会に孤独でない人間など誰がいる?」
リボルバーを構えたままで足を止めた。
前方にあるドローンの隙間に槙島を確認したからだ。
「誰もがシステムの規範に沿って生きる世界には、人の輪なんて必要ない。みんな小さな独房の中で自分だけの安らぎに飼い慣らされているだけだ」
彼はまだこちらに気づいていない。
狡噛は狙いを定めトリガーを弾いた。
眉間に深く皺を寄せたその表情は込み上げてくる感情を抑えている様がありありと。
(すまねぇ、とっつぁん……ギノ…!)
脳裏に浮かぶのは目にしたばかりの光景。
血まみれの征陸と――父に寄り添う宜野座。
駆け寄りたい衝動を堪え、槙島の追跡続行を選んだ。
その槙島を、いよいよ追いつめた。
この先には槙島と……それに幸子がいる。
(幸子、待ってろ…!)
先程槙島に向けて発砲した際、ほんの一瞬だが幸子の姿も認められた。
やはり幸子は槙島に捕らえられていたのだ。…無意識にハンカチを仕舞い込んでいる内ポケット付近に手を充てる。
二度と離さないと誓ったのに――‥
怒りと嫉妬。それに焦燥を押さえつけながら、狡噛はドローン格納庫へと足を滑らせた。
リボルバーを構えて周囲に神経を張り巡らしながら、不気味に静まり返る空間を慎重に進んでいく。
槙島は必ず何処かに潜んでいるはずだ。
「!!……」
行く手の物陰を人影が走り抜けた。
反射的に発砲するものの槙島の姿は既に消えていた。
舌打ちした狡噛を嘲笑うように広い空間に槙島の笑い声が響き渡る。
「ハハハハハ……ついに紛い物の正義を捨てて本物の殺意を手に取ったか。
やはり君は僕が期待した通りの男だった」
声はまるで空間全体に降り注ぐように厳かに響いた。
聞いているだけで飲み込まれてしまうような重圧を受けながらも、狡噛は槙島の気配を探して歩みを進めていく。
「そうかい? だが俺は貴様に何の期待もしちゃいない。貴様は孤独に耐えられなかっただけだ!」
「……この社会に孤独でない人間など誰がいる?」
リボルバーを構えたままで足を止めた。
前方にあるドローンの隙間に槙島を確認したからだ。
「誰もがシステムの規範に沿って生きる世界には、人の輪なんて必要ない。みんな小さな独房の中で自分だけの安らぎに飼い慣らされているだけだ」
彼はまだこちらに気づいていない。
狡噛は狙いを定めトリガーを弾いた。