#06 スケープゴートの刃
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狡噛の挑発は効果覿面だった。
彼を早急に始末しようと 金原が本性を表したのだ。
「絶対に逃がさない!この場で殺してやる!」
暴走する二台のドローン。その一台の背に跨がった金原が血走った目で狡噛を睨み付けた。
「お前さえ…お前さえいなければぁぁッ!」
『ユーザー認証・狡噛慎也執行官』
襲いかかるドローンに向けて、狡噛がドミネーターを構えた。
『犯罪係数265…執行対象です』
狡噛がトリガーを弾いた!
―――――‥‥
駆けつけた応援部隊により白目を剥いて気絶する金原が運ばれていくのを、狡噛は黙って眺めていた。
「終わったね」
声をかけて来たのは幸子。狡噛は「ああ」と頷き、幸子のおでこをぴんっと軽く弾いた。
「いたっ…」
額をさすりながら顔をしかめ 責めるようなまなざしを向ければ、狡噛も同じようにこちらを見ていた。
「あんまり一人でムチャするな」
「……ごめんなさい」
幸子は素直に詫びた。
刑事ではあるが、正直ドミネーターは苦手だ。出来ることなら使いたくない。
そう。だからこそドミネーターを使わずに済む手段を取ろうとした。
「自首、して欲しかったの……」
「そうだろうと思ったよ。だがな」
狡噛は肩をすくめ、小声で続けた。
「だからと言って俺以外の男に気安く触らせるな」
「うん、…ごめんなさい。でも……」
と幸子は人差し指で自分の唇に触れた。その頬が僅かに赤い。
「…本当にすると思わなかった」
「演技はリアルさを追究しないとな。それに――アイツに見せつけてやりたかった」
「……っ」
「狡噛さん!」
宜野座に報告をしていた常守が こちらに近づいて来る。ぼわりと耳まで赤くなっていた幸子は、それを悟られないよう六合塚の元へタタッと避難した。
「ん?」
「狡噛さん!」
そんな幸子を不思議そうに見送っていると、側までやって来た常守に再び呼ばれ振り返る。
「どうした、監視官」
「事件は解決ですね」
「ああ。そうだな」
常守は六合塚と会話している幸子の背中を眺めてから、強い口調で狡噛を問い詰め始める。
「幸子さんをオトリにしたんですか?」
「まさか。あれはあいつが単独でした事だ」
言えば常守は またちらりと幸子を観察した。
「幸子さん…金原と何を話していたんでしょうか」
「自首するよう説得してたんだろ」
「説得?!! そんな事…」
「ああ。出来るわけない。だが木梨は それが出来ると本気で信じている。今回のような行動をしたのも初めてじゃないからな」
「えっ…!?」
と常守が狡噛を見た。
先程の常守と同じように狡噛の視線は幸子の背中を捉えたまま。
「刑事であるが、木梨はドミネーターを使いたがらないんだ。そんなものがなくても、話し合いで事件を解決出来ると信じている。あいつは……優しすぎる」
だからこそ、幸子はこの手で守り抜くと決めたのだ。
「幸子さん…」
常守は思う。
幸子には幸子なりの正義があり、彼女はそれに基づいて行動しているのだと。
執行官をしているからには潜在犯であろうが、彼女を知れば知るほど なぜ幸子が潜在犯なのか分からなくなってくる。
「それはそうと狡噛さん!さっきの幸子さんへの行為はセクハラですよ!」
「セクハラ…? なんの話だ?」
「したじゃないですか!さっき…金原の前で……」
思い出したらなんだか目撃したこっちが恥ずかしくなってきた。当の狡噛は常守とは対照的にしれっとしたもので。
「あんたが気にする事でもないだろう」
「します!! 幸子さんは私にとって大切な人なんです!」
言い切ったことに後悔はなかった。
付き合いが長い訳ではない。それでも常守にとって幸子はそんな存在になりつつあるのだから。
彼を早急に始末しようと 金原が本性を表したのだ。
「絶対に逃がさない!この場で殺してやる!」
暴走する二台のドローン。その一台の背に跨がった金原が血走った目で狡噛を睨み付けた。
「お前さえ…お前さえいなければぁぁッ!」
『ユーザー認証・狡噛慎也執行官』
襲いかかるドローンに向けて、狡噛がドミネーターを構えた。
『犯罪係数265…執行対象です』
狡噛がトリガーを弾いた!
―――――‥‥
駆けつけた応援部隊により白目を剥いて気絶する金原が運ばれていくのを、狡噛は黙って眺めていた。
「終わったね」
声をかけて来たのは幸子。狡噛は「ああ」と頷き、幸子のおでこをぴんっと軽く弾いた。
「いたっ…」
額をさすりながら顔をしかめ 責めるようなまなざしを向ければ、狡噛も同じようにこちらを見ていた。
「あんまり一人でムチャするな」
「……ごめんなさい」
幸子は素直に詫びた。
刑事ではあるが、正直ドミネーターは苦手だ。出来ることなら使いたくない。
そう。だからこそドミネーターを使わずに済む手段を取ろうとした。
「自首、して欲しかったの……」
「そうだろうと思ったよ。だがな」
狡噛は肩をすくめ、小声で続けた。
「だからと言って俺以外の男に気安く触らせるな」
「うん、…ごめんなさい。でも……」
と幸子は人差し指で自分の唇に触れた。その頬が僅かに赤い。
「…本当にすると思わなかった」
「演技はリアルさを追究しないとな。それに――アイツに見せつけてやりたかった」
「……っ」
「狡噛さん!」
宜野座に報告をしていた常守が こちらに近づいて来る。ぼわりと耳まで赤くなっていた幸子は、それを悟られないよう六合塚の元へタタッと避難した。
「ん?」
「狡噛さん!」
そんな幸子を不思議そうに見送っていると、側までやって来た常守に再び呼ばれ振り返る。
「どうした、監視官」
「事件は解決ですね」
「ああ。そうだな」
常守は六合塚と会話している幸子の背中を眺めてから、強い口調で狡噛を問い詰め始める。
「幸子さんをオトリにしたんですか?」
「まさか。あれはあいつが単独でした事だ」
言えば常守は またちらりと幸子を観察した。
「幸子さん…金原と何を話していたんでしょうか」
「自首するよう説得してたんだろ」
「説得?!! そんな事…」
「ああ。出来るわけない。だが木梨は それが出来ると本気で信じている。今回のような行動をしたのも初めてじゃないからな」
「えっ…!?」
と常守が狡噛を見た。
先程の常守と同じように狡噛の視線は幸子の背中を捉えたまま。
「刑事であるが、木梨はドミネーターを使いたがらないんだ。そんなものがなくても、話し合いで事件を解決出来ると信じている。あいつは……優しすぎる」
だからこそ、幸子はこの手で守り抜くと決めたのだ。
「幸子さん…」
常守は思う。
幸子には幸子なりの正義があり、彼女はそれに基づいて行動しているのだと。
執行官をしているからには潜在犯であろうが、彼女を知れば知るほど なぜ幸子が潜在犯なのか分からなくなってくる。
「それはそうと狡噛さん!さっきの幸子さんへの行為はセクハラですよ!」
「セクハラ…? なんの話だ?」
「したじゃないですか!さっき…金原の前で……」
思い出したらなんだか目撃したこっちが恥ずかしくなってきた。当の狡噛は常守とは対照的にしれっとしたもので。
「あんたが気にする事でもないだろう」
「します!! 幸子さんは私にとって大切な人なんです!」
言い切ったことに後悔はなかった。
付き合いが長い訳ではない。それでも常守にとって幸子はそんな存在になりつつあるのだから。