#45 父子
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図星だったのだろう。
征陸は気まずそうに苦笑いしてみせた。
「ハハ……あんまり老いぼれをいじめんでくれんか」
否定しないのが肯定の意。
それが宜野座の憎まれ口に拍車を駆けた。
「あんたは狡噛が罪を引っ被る事で、結果として悪が潰えると思ってる。それがあんたのような時代遅れの猟犬の、野蛮で身勝手な正義感だ。違うか?」
「………」
「いい加減自覚したらどうだ!? あんたのその身勝手な正義感が幸子も巻き込んだんだ。もしも幸子が槙島に捕らわれていたら……紛れもなくあんたのせいだ!」
征陸は黙ったまま、ただ宜野座の言葉と感情を受け止めていた。その沈黙が、宜野座自身が長年心の底に押し込めてきた感情を嫌でも認識させる…。
「結局、あんたが頼りにしてるのは狡噛だ! 俺には何も期待していない。槙島を捕らえられる見込みなんてないと思ってるんだろ?!」
行き場のない憤りが宜野座の中に満ちていた。
もう俺は何も出来ない子供じゃない…!!
「あの男も潜在犯で執行官――俺と同じ穴の狢だよ」
思う所があったのか、それとも宜野座の心の叫びを読み取ったのだろうか。
征陸はくるりと振り返り、宜野座の険しい表情を見つめた。
「だが、お前は今でも違う道を歩み続けてる。それで良かったと……心底俺は思ってる」
「…よくもそんな綺麗事が言えたもんだ」
吐き捨てたと同時に征陸が片手を横に付き出した。一方的な仲違いは中断だ。
「一体何だと言うんだ!?」
突っかかってきた宜野座に向かい口元に手を充てて見せた。それから幾分低い声で続ける。
「聞こえねぇか?」
「何が…?!」
征陸は前方を見つめたまま、じっと耳をそばだてている。宜野座も同じように耳を澄ましてみるが何も聞こえなかった。
「…何も聞こえないぞ」
「確かに女の声が聞こえたと思ったんだが……空耳だったみてぇだな」
頭をぽりぽりと掻きながら苦笑する征陸を一瞥して、フンと鼻を鳴らした。
征陸は気まずそうに苦笑いしてみせた。
「ハハ……あんまり老いぼれをいじめんでくれんか」
否定しないのが肯定の意。
それが宜野座の憎まれ口に拍車を駆けた。
「あんたは狡噛が罪を引っ被る事で、結果として悪が潰えると思ってる。それがあんたのような時代遅れの猟犬の、野蛮で身勝手な正義感だ。違うか?」
「………」
「いい加減自覚したらどうだ!? あんたのその身勝手な正義感が幸子も巻き込んだんだ。もしも幸子が槙島に捕らわれていたら……紛れもなくあんたのせいだ!」
征陸は黙ったまま、ただ宜野座の言葉と感情を受け止めていた。その沈黙が、宜野座自身が長年心の底に押し込めてきた感情を嫌でも認識させる…。
「結局、あんたが頼りにしてるのは狡噛だ! 俺には何も期待していない。槙島を捕らえられる見込みなんてないと思ってるんだろ?!」
行き場のない憤りが宜野座の中に満ちていた。
もう俺は何も出来ない子供じゃない…!!
「あの男も潜在犯で執行官――俺と同じ穴の狢だよ」
思う所があったのか、それとも宜野座の心の叫びを読み取ったのだろうか。
征陸はくるりと振り返り、宜野座の険しい表情を見つめた。
「だが、お前は今でも違う道を歩み続けてる。それで良かったと……心底俺は思ってる」
「…よくもそんな綺麗事が言えたもんだ」
吐き捨てたと同時に征陸が片手を横に付き出した。一方的な仲違いは中断だ。
「一体何だと言うんだ!?」
突っかかってきた宜野座に向かい口元に手を充てて見せた。それから幾分低い声で続ける。
「聞こえねぇか?」
「何が…?!」
征陸は前方を見つめたまま、じっと耳をそばだてている。宜野座も同じように耳を澄ましてみるが何も聞こえなかった。
「…何も聞こえないぞ」
「確かに女の声が聞こえたと思ったんだが……空耳だったみてぇだな」
頭をぽりぽりと掻きながら苦笑する征陸を一瞥して、フンと鼻を鳴らした。