#43 菖蒲の花刺繍
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通話を終えた狡噛は、沸き立つ焦燥を落ち着かせようと大きく深呼吸した。
はっきり言って想定外だ。幸子の行動力を甘くみていた。
幸子は禾生と何らかの取引をしている。故に公安局を離れられないのだと推測した。
それを逆手に取り、全てが終わるまで彼女の安全を公安局に委ね、間接的に槙島から守ろうと考えていた。
まさか幸子が己を守る為に公安局を飛び出してしまうなど………冷静に考えればないとは言い切れなかった。
刑事時代に何度も経験済みではないか。
幸子は潜在犯処か、既に法を犯した罪人にでさえ話し合いを試みる女だ。
自身の危険を顧みず、槙島を説得しようとするなど充分に有り得る。
「幸子……!!」
幸子は今、槙島と行動している可能性が極めて高い。
あの時…征陸のセーフハウスで再会した時に、強引にでも連れ去るべきだった。
渡してなるものか、愛する女を――!
狡噛は警備ドローンに気づかれないよう大きく回り込んで工場と隣接している出雲大学農学部キャンバスへ向かった。
思った通り、槙島が侵入した形跡がある。
リュックを下ろし上着を脱ぐと、リュックの中から拳銃と――そして折りたたみ式ナイフを取り出す。
(待っていろ――!)
槙島の幻影を追うように、狡噛は音もなく菅巻の研究室から内部へと侵入していった。
はっきり言って想定外だ。幸子の行動力を甘くみていた。
幸子は禾生と何らかの取引をしている。故に公安局を離れられないのだと推測した。
それを逆手に取り、全てが終わるまで彼女の安全を公安局に委ね、間接的に槙島から守ろうと考えていた。
まさか幸子が己を守る為に公安局を飛び出してしまうなど………冷静に考えればないとは言い切れなかった。
刑事時代に何度も経験済みではないか。
幸子は潜在犯処か、既に法を犯した罪人にでさえ話し合いを試みる女だ。
自身の危険を顧みず、槙島を説得しようとするなど充分に有り得る。
「幸子……!!」
幸子は今、槙島と行動している可能性が極めて高い。
あの時…征陸のセーフハウスで再会した時に、強引にでも連れ去るべきだった。
渡してなるものか、愛する女を――!
狡噛は警備ドローンに気づかれないよう大きく回り込んで工場と隣接している出雲大学農学部キャンバスへ向かった。
思った通り、槙島が侵入した形跡がある。
リュックを下ろし上着を脱ぐと、リュックの中から拳銃と――そして折りたたみ式ナイフを取り出す。
(待っていろ――!)
槙島の幻影を追うように、狡噛は音もなく菅巻の研究室から内部へと侵入していった。