#43 菖蒲の花刺繍
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例え時間稼ぎの為の陽動だったとしても、幸子の名を出されてしまえば狡噛は話に乗るしかない。
「……幸子はどうしている?」
『分かりません。…幸子さんは行方を眩ましてしまいました』
思ってもみなかった常守の言葉。
……いや、本当に思ってもみなかったのだろうか。自分は何処かでこの展開を怖れていたのではないか?
「幸子の待機は局長命令じゃなかったのか?」
『あれは……命令なんてものじゃない…』
「……どういう事だ?」
言い回しが気になり尋ねてみるも、常守は言葉を飲み込むように口をつぐんだ。一呼吸置いて話を戻す。
『幸子さんは一人で槙島を捕まえようと公安局を出たようです』
「?!――」
狡噛は無意識に内ポケット周辺に手を充てた。
『おそらくは……狡噛さん――あなたを救う為に』
「俺を……救う?」
『はい。私も同じ気持ちでいます』
狡噛を責めている様子はない。
常守の声音には、ただ幸子を想う気持ちだけが滲みでていた。
『――私は幸子さんと幸子さんの愛を絶対に守ります。狡噛慎也を殺人犯にはさせません』
「なら早い者勝ちだな」
これ以上の会話は無駄だ。
それを最後に狡噛は通話を終えた。
「……幸子はどうしている?」
『分かりません。…幸子さんは行方を眩ましてしまいました』
思ってもみなかった常守の言葉。
……いや、本当に思ってもみなかったのだろうか。自分は何処かでこの展開を怖れていたのではないか?
「幸子の待機は局長命令じゃなかったのか?」
『あれは……命令なんてものじゃない…』
「……どういう事だ?」
言い回しが気になり尋ねてみるも、常守は言葉を飲み込むように口をつぐんだ。一呼吸置いて話を戻す。
『幸子さんは一人で槙島を捕まえようと公安局を出たようです』
「?!――」
狡噛は無意識に内ポケット周辺に手を充てた。
『おそらくは……狡噛さん――あなたを救う為に』
「俺を……救う?」
『はい。私も同じ気持ちでいます』
狡噛を責めている様子はない。
常守の声音には、ただ幸子を想う気持ちだけが滲みでていた。
『――私は幸子さんと幸子さんの愛を絶対に守ります。狡噛慎也を殺人犯にはさせません』
「なら早い者勝ちだな」
これ以上の会話は無駄だ。
それを最後に狡噛は通話を終えた。