#06 スケープゴートの刃
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男子トイレに到着した狡噛は、まず幸子の姿を発見した。
「幸子さん…!」
同じく幸子を見つけた常守が口に手を充て小さく叫んだ。
常守は知る。さっき幸子が言ったのは、言葉通りの意味だったのだと。
「監視官。あんたはここにいろ」
幸子に視線を向けたまま常守に言うと、狡噛は男子トイレをズンズンと進んでいった。
「あなたを助けたい…」
幸子の声が聞こえる。
こうなっているであろう事は予想していた。なのに狡噛の心の奥には黒い感情がぐるぐると渦巻いていた。
それは幸子に対する強い独占欲。
「だから…っ、きゃあ!」
扉が閉まるのを阻止しようとでもしたのだろう。幸子の白い手が金原のそれに添えられている。
狡噛は不快感を露にしながら 引き剥がすように幸子の腕を掴み、引き寄せた。
「し、しん……っ!?」
「こんな所にいたか、黄緑野郎。人殺しの後の飯は美味いか? ええ?どうなんだ?」
そのまま腕を後ろに引いて幸子と金原の間に割り込む。続けざまに芝居がかった暴言を吐き散らした。
「木梨さんを離せ!」
相当ビビっているだろうに金原は ありったけの勇気を振り絞って狡噛に喰ってかかってきた。
この行動は予想外であったが狡噛は柔軟に対応する。
「なんだ。もしかして木梨に優しくされて惚れちまったのか?」
「ぼ、僕は……!!」
「だが残念だったな」
狡噛はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべると、再び手を引いて幸子を己の胸に抱き寄せた。そして――
「こ、狡噛く……んっ!」
そのまま幸子の唇を塞いだ。
「んう……っ」
不意を打たれ 幸子の唇はあっさりと奪われる。
狡噛の肩越しに常守と目があった。あんぐりと口を開けて驚愕している。
一方の狡噛も、幸子にキスをしながら 茫然とその光景を見ている金原を挑戦的なまなざしで射抜いた。
「コイツは俺のものだ!」
唇を離したあと。狡噛は金原にそう宣言した。
金原はワナワナ震えるだけで、もう言葉もでない。
無理もない。蔑まれた日々に突然現れたオアシス。言うなれば狡噛は、そこに湧く水を全て飲み干してしまったようなものだ。
「な、なんでこんな……」
「俺は貴様が嫌いだ。早速ネットに言いふらしてやるよ。金原祐治はサイコパスの濁った人殺しだってな」
獰猛な笑みを浮かべて携帯端末を操作しようとした狡噛だったが、ちっと舌打ちして顔をしかめた。
「おっと、ここは圏外だったっけな。仕方ない。ちょっと玄関まで行ってくる。貴様はここに這いつくばって震えながら待ってるがいい。自分の人生がぶち壊しになっちまうのを、な」
芝居がかった口調で金原に告げ、狡噛は「行くぞ」と幸子の腕を掴んで歩き出した。
「幸子さん…!」
同じく幸子を見つけた常守が口に手を充て小さく叫んだ。
常守は知る。さっき幸子が言ったのは、言葉通りの意味だったのだと。
「監視官。あんたはここにいろ」
幸子に視線を向けたまま常守に言うと、狡噛は男子トイレをズンズンと進んでいった。
「あなたを助けたい…」
幸子の声が聞こえる。
こうなっているであろう事は予想していた。なのに狡噛の心の奥には黒い感情がぐるぐると渦巻いていた。
それは幸子に対する強い独占欲。
「だから…っ、きゃあ!」
扉が閉まるのを阻止しようとでもしたのだろう。幸子の白い手が金原のそれに添えられている。
狡噛は不快感を露にしながら 引き剥がすように幸子の腕を掴み、引き寄せた。
「し、しん……っ!?」
「こんな所にいたか、黄緑野郎。人殺しの後の飯は美味いか? ええ?どうなんだ?」
そのまま腕を後ろに引いて幸子と金原の間に割り込む。続けざまに芝居がかった暴言を吐き散らした。
「木梨さんを離せ!」
相当ビビっているだろうに金原は ありったけの勇気を振り絞って狡噛に喰ってかかってきた。
この行動は予想外であったが狡噛は柔軟に対応する。
「なんだ。もしかして木梨に優しくされて惚れちまったのか?」
「ぼ、僕は……!!」
「だが残念だったな」
狡噛はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべると、再び手を引いて幸子を己の胸に抱き寄せた。そして――
「こ、狡噛く……んっ!」
そのまま幸子の唇を塞いだ。
「んう……っ」
不意を打たれ 幸子の唇はあっさりと奪われる。
狡噛の肩越しに常守と目があった。あんぐりと口を開けて驚愕している。
一方の狡噛も、幸子にキスをしながら 茫然とその光景を見ている金原を挑戦的なまなざしで射抜いた。
「コイツは俺のものだ!」
唇を離したあと。狡噛は金原にそう宣言した。
金原はワナワナ震えるだけで、もう言葉もでない。
無理もない。蔑まれた日々に突然現れたオアシス。言うなれば狡噛は、そこに湧く水を全て飲み干してしまったようなものだ。
「な、なんでこんな……」
「俺は貴様が嫌いだ。早速ネットに言いふらしてやるよ。金原祐治はサイコパスの濁った人殺しだってな」
獰猛な笑みを浮かべて携帯端末を操作しようとした狡噛だったが、ちっと舌打ちして顔をしかめた。
「おっと、ここは圏外だったっけな。仕方ない。ちょっと玄関まで行ってくる。貴様はここに這いつくばって震えながら待ってるがいい。自分の人生がぶち壊しになっちまうのを、な」
芝居がかった口調で金原に告げ、狡噛は「行くぞ」と幸子の腕を掴んで歩き出した。