#43 菖蒲の花刺繍
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やがて幹線道は舗装されていないゴツゴツした細い道に変わり、これ以上バイクで進むのは無理だと判断した狡噛は迷わずバイクを乗り捨てた。
「………ふぅ」
圧迫感のある息苦しいヘルメットを外すと、前髪をそよがすように流れてくる風が心地好かった。
黒のリュックを背負い直した狡噛は、正面に聳える建物目指して麦畑の中を走り出した。
物影に隠れて様子を伺う。
ウカノミタマ・ウィルス管理センター正面には警備ドローンと監視カメラが目を光らせていた。
「セキュリティが生きている……?!」
槙島は正面以外の何処かから侵入したという事だ。
「他に入れそうな場所は………!?」
周囲を見渡そうとした狡噛の耳にバラバラバラと聞き覚えのある音が飛び込んできた。
「ほう……?」
大空を仰いだ狡噛は関心したような声を洩らした。
頭上を通りすぎていったのは公安局のティルトローター機だ。
工場の屋上に着陸するティルトローター機を確認してから携帯を取り出した。
ピッピッとボタンを操作して携帯電話を耳に充てた。三回程コール音が鳴り通話が繋がる。
『常守です』
まるで通話がくるのを予期していたかのように常守の声は冷静だった。
「思いの外早いお出ましだな」
『公安局を舐めないで下さい。あなただけが槙島を追い詰められる訳じゃありません』
ぴしゃりと言い放つ。
後輩の成長を嬉しく感じつつも狡噛は話を続けた。
「時間がない。奴がいじったウカノミタマを撒き散らす前に、ここの施設そのものを停止させるしかない。……公安局の権限で、この施設への電力供給を遮断できるはずだ」
『その場合、センターの機能だけではなくセキュリティシステムも全滅です。あなたの狙いは、それですね?』
「……」
図星だ。反論出来ない。
狡噛が黙ったのを肯定と捉えたらしく、常守は念を押してくるように言った。
『やらせませんよ。絶対に――幸子さんの為にも』
「………ふぅ」
圧迫感のある息苦しいヘルメットを外すと、前髪をそよがすように流れてくる風が心地好かった。
黒のリュックを背負い直した狡噛は、正面に聳える建物目指して麦畑の中を走り出した。
物影に隠れて様子を伺う。
ウカノミタマ・ウィルス管理センター正面には警備ドローンと監視カメラが目を光らせていた。
「セキュリティが生きている……?!」
槙島は正面以外の何処かから侵入したという事だ。
「他に入れそうな場所は………!?」
周囲を見渡そうとした狡噛の耳にバラバラバラと聞き覚えのある音が飛び込んできた。
「ほう……?」
大空を仰いだ狡噛は関心したような声を洩らした。
頭上を通りすぎていったのは公安局のティルトローター機だ。
工場の屋上に着陸するティルトローター機を確認してから携帯を取り出した。
ピッピッとボタンを操作して携帯電話を耳に充てた。三回程コール音が鳴り通話が繋がる。
『常守です』
まるで通話がくるのを予期していたかのように常守の声は冷静だった。
「思いの外早いお出ましだな」
『公安局を舐めないで下さい。あなただけが槙島を追い詰められる訳じゃありません』
ぴしゃりと言い放つ。
後輩の成長を嬉しく感じつつも狡噛は話を続けた。
「時間がない。奴がいじったウカノミタマを撒き散らす前に、ここの施設そのものを停止させるしかない。……公安局の権限で、この施設への電力供給を遮断できるはずだ」
『その場合、センターの機能だけではなくセキュリティシステムも全滅です。あなたの狙いは、それですね?』
「……」
図星だ。反論出来ない。
狡噛が黙ったのを肯定と捉えたらしく、常守は念を押してくるように言った。
『やらせませんよ。絶対に――幸子さんの為にも』