#43 菖蒲の花刺繍
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北陸地方の巨大な穀倉地帯――。
かなり以前に破棄された幹線道を一台のバイクが疾走していた。
バイクの通り過ぎた道の脇にびっしりと敷き詰められた麦が、その風圧を受けて揺らめき黄金色に燃える。
火種を空まで飛び散らし、黄金色が見えるもの全てを焼きつくしてしまうのではないかと錯覚するその光景は、バイクを運転する男の心情にも似ていた。
(待っていろよ、槙島!)
真正面だけを見据えたヘルメットの下で、狡噛は眉間に皺を寄せた。
今度こそここで、全ての因縁を断ち切ると――そう、決意していた。
その気持ちを一層強くしたのは、今はジャケットの内ポケットに仕舞い込んだハンカチに他ならない。
(幸子……!!)
菅巻宅でこれを発見してから言い様のない憤りが拭い去れない。
それを振り切るように狡噛はアクセルを踏んで更にバイクの速度をあげた。
かなり以前に破棄された幹線道を一台のバイクが疾走していた。
バイクの通り過ぎた道の脇にびっしりと敷き詰められた麦が、その風圧を受けて揺らめき黄金色に燃える。
火種を空まで飛び散らし、黄金色が見えるもの全てを焼きつくしてしまうのではないかと錯覚するその光景は、バイクを運転する男の心情にも似ていた。
(待っていろよ、槙島!)
真正面だけを見据えたヘルメットの下で、狡噛は眉間に皺を寄せた。
今度こそここで、全ての因縁を断ち切ると――そう、決意していた。
その気持ちを一層強くしたのは、今はジャケットの内ポケットに仕舞い込んだハンカチに他ならない。
(幸子……!!)
菅巻宅でこれを発見してから言い様のない憤りが拭い去れない。
それを振り切るように狡噛はアクセルを踏んで更にバイクの速度をあげた。