#43 菖蒲の花刺繍
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市川の高級住宅街に菅巻宣昭の自宅はあった。
夜。寝静まるにはまだ早すぎる時間帯であるにも関わらず、菅巻宅はシンと暗闇に包まれている。
狡噛は嫌な予感を感じながら静まり返った部屋へと忍び込んだ。
「………!」
ある程度は予想していたとはいえ、現実を目の前に突きつけられた狡噛は小さく息を飲んだ。
リビングに転がるのは――凄惨な姿の菅巻。一足遅かったか…と狡噛は溜め息を吐く。
何者かが潜んでいるかもしれない。
狡噛は拳銃を片手に神経を尖らせたまま室内の捜索を開始した。
「……?!」
それは書斎で発見した。
デスクに設置されたノートパソコン。
そのキーボードの上。薄い紫のハンカチには見覚えがある。
「これは……!?」
思わず手に取り確かめた。
ハンカチの隅に施された菖蒲(アヤメ)の花の刺繍――。
「幸子……」
間違いない。幸子のものだ。
数年前、彼女の誕生日に狡噛自身が贈ったのだ。見間違える訳がない。
なぜ幸子のハンカチがここに!? ――深く考えるまでもなく結論に辿り着いた。
「槙島か……!」
誘拐した時に手に入れたのか、若しくは最近手に入れたのか。…後者とは思いたくもないが。
どちらにせよこれは槙島から狡噛に向けられたメッセージ。
いつでも己から幸子を奪えるんだという挑発的行為の一貫。
「……っ、殺してやる……!!」
絞り出すような声で呟き、ギリッと奥歯を噛む。言い様のない感情がギリギリと胸を締め付けていた。
ギラつく狡噛の瞳にデスクトップに表示された黄金が映った。
夜。寝静まるにはまだ早すぎる時間帯であるにも関わらず、菅巻宅はシンと暗闇に包まれている。
狡噛は嫌な予感を感じながら静まり返った部屋へと忍び込んだ。
「………!」
ある程度は予想していたとはいえ、現実を目の前に突きつけられた狡噛は小さく息を飲んだ。
リビングに転がるのは――凄惨な姿の菅巻。一足遅かったか…と狡噛は溜め息を吐く。
何者かが潜んでいるかもしれない。
狡噛は拳銃を片手に神経を尖らせたまま室内の捜索を開始した。
「……?!」
それは書斎で発見した。
デスクに設置されたノートパソコン。
そのキーボードの上。薄い紫のハンカチには見覚えがある。
「これは……!?」
思わず手に取り確かめた。
ハンカチの隅に施された菖蒲(アヤメ)の花の刺繍――。
「幸子……」
間違いない。幸子のものだ。
数年前、彼女の誕生日に狡噛自身が贈ったのだ。見間違える訳がない。
なぜ幸子のハンカチがここに!? ――深く考えるまでもなく結論に辿り着いた。
「槙島か……!」
誘拐した時に手に入れたのか、若しくは最近手に入れたのか。…後者とは思いたくもないが。
どちらにせよこれは槙島から狡噛に向けられたメッセージ。
いつでも己から幸子を奪えるんだという挑発的行為の一貫。
「……っ、殺してやる……!!」
絞り出すような声で呟き、ギリッと奥歯を噛む。言い様のない感情がギリギリと胸を締め付けていた。
ギラつく狡噛の瞳にデスクトップに表示された黄金が映った。