#42 意図的な再会
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展望台カフェから槙島に連れて来られた先は、誘拐された際に捕われていた彼のセーフハウスであった。
廃棄区画にできたスラム街の地下にあるこのセーフハウスは、かつてのマンションの一室を使用していた。
スラムにあるが、槙島が手を入れたので内装はとても美しい。更にホログラムも機能しており、さながら郊外の一軒家のように感じられた。
槙島は何処か遠くに逃げるでもなく、公安局に程近いこのスラム街に潜伏していたのだ。
まさに灯台もと暗し。
「紅茶でいいかな? 幸子はアールグレイが好きだったね」
湯を注いだ銀製のティーポットに2人分の茶葉を入れながら槙島が言った。
立ったままの幸子が小さく頷くと、槙島は微笑みポットの中をスプーンで軽くひとまぜした。
「それで――どういう風の吹き回しかな?」
絶妙に入れられたアールグレイが注がれたティーカップとソーサーを手にした槙島は 暖炉の前に誂えられたソファに座りながら傍に立つ幸子に尋ねた。
「えっ…!?」
「あれほど頑なに公安局から離れる事を拒んでいたのに自ら僕の許に戻った。それには何か意味があるんだろう?」
と槙島は優雅な動作でソーサーの上のティーカップを摘み、一口飲んだ。
喉仏がごくりときれいに動き、紅茶が通過していく。
「"意味"と言うより"理由"か」
「……」
「狡噛慎也かい?」
「――!」
狡噛の名に反応して、ほんの一瞬 幸子の瞳の奥が揺れた。
「……前にも言ったはず。狡噛くんは関係ない」
そして幸子は正面から真っ直ぐに槙島と向き合った。
「私がここに来た理由はひとつ。聖護、あなたに逢いたかったから」
槙島の口角がごく自然な形で引き上がる。
廃棄区画にできたスラム街の地下にあるこのセーフハウスは、かつてのマンションの一室を使用していた。
スラムにあるが、槙島が手を入れたので内装はとても美しい。更にホログラムも機能しており、さながら郊外の一軒家のように感じられた。
槙島は何処か遠くに逃げるでもなく、公安局に程近いこのスラム街に潜伏していたのだ。
まさに灯台もと暗し。
「紅茶でいいかな? 幸子はアールグレイが好きだったね」
湯を注いだ銀製のティーポットに2人分の茶葉を入れながら槙島が言った。
立ったままの幸子が小さく頷くと、槙島は微笑みポットの中をスプーンで軽くひとまぜした。
「それで――どういう風の吹き回しかな?」
絶妙に入れられたアールグレイが注がれたティーカップとソーサーを手にした槙島は 暖炉の前に誂えられたソファに座りながら傍に立つ幸子に尋ねた。
「えっ…!?」
「あれほど頑なに公安局から離れる事を拒んでいたのに自ら僕の許に戻った。それには何か意味があるんだろう?」
と槙島は優雅な動作でソーサーの上のティーカップを摘み、一口飲んだ。
喉仏がごくりときれいに動き、紅茶が通過していく。
「"意味"と言うより"理由"か」
「……」
「狡噛慎也かい?」
「――!」
狡噛の名に反応して、ほんの一瞬 幸子の瞳の奥が揺れた。
「……前にも言ったはず。狡噛くんは関係ない」
そして幸子は正面から真っ直ぐに槙島と向き合った。
「私がここに来た理由はひとつ。聖護、あなたに逢いたかったから」
槙島の口角がごく自然な形で引き上がる。