#06 スケープゴートの刃
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幸子は男子トイレの前に立ち、遠慮がちに中の様子を伺っていた。
(緊急事態だし…入っちゃってもいいよね?)
キョロキョロと辺りを伺って誰もいないと確かめてからトイレへと侵入した。なんだか後ろめたいがそうも言っていられない。
なにしろ時間がないのだ。
狡噛が幸子の行動に気づくのも、時間の問題だろう。
ひとつだけ使用中になっている個室をノックしてみると、中から「ヒィ…!」と小さな悲鳴が上がった。
「あの、金原さん?」
扉腰に声をかける。なんだか妙な光景だなと我ながら思うが仕方ない。
「な、なにか用ですか?」
仮にもここは男子トイレであり、そんな場所で扉の外から聞こえてきたのが女の声なら驚くだろう。それでも中から反応があった。
「驚かしちゃってごめんなさい。ここを開けてくれませんか? お話がしたいんです」
「話…?」
少しの間があり、扉が小さく開いて金原が顔を覗かせた。
その膝の上には先程食堂で幸子が取ってきたトレイが置かれている。…食事をしていたのだろう。
「開けて下さってありがとうございます。私は公安局の木梨です」
「木梨…さん…」
と金原は探るような目で幸子を上から下まで眺め、もごもごと話す。
「さ、さっきは…どうも」
「いえ。…いつもここで食事をなさってるんですか?」
「……」
何も答えないのを肯定と受け取る。
「金原さん、私と一緒に来てくれませんか?」
「い、一緒に…?!」
金原の表情が瞬時に強張った。
無理もない。刑事に一緒に来いと言われたら、誰だって嫌な想像をしてしまう。
「この施設にいたら、あなたの色相は濁ってしまいます。きちんとシビュラの診断を受けてカウンセリングを受ければ……」
「嫌だ!放っておいてくれ!!」
扉を閉めようとする金原の手を手で止めた幸子は、切羽詰まったような顔をしていた。
「お願い…もう誰にもあなたを"黄緑野郎"なんて呼ばせたくないんです!」
「!?」
「あなたを助けたい…」
金原の大きく開かれた目が あの時のように眩しそうに幸子を映していた。
「だから…っ、きゃあ!」
突然 腕を強い力で引かれた。
(緊急事態だし…入っちゃってもいいよね?)
キョロキョロと辺りを伺って誰もいないと確かめてからトイレへと侵入した。なんだか後ろめたいがそうも言っていられない。
なにしろ時間がないのだ。
狡噛が幸子の行動に気づくのも、時間の問題だろう。
ひとつだけ使用中になっている個室をノックしてみると、中から「ヒィ…!」と小さな悲鳴が上がった。
「あの、金原さん?」
扉腰に声をかける。なんだか妙な光景だなと我ながら思うが仕方ない。
「な、なにか用ですか?」
仮にもここは男子トイレであり、そんな場所で扉の外から聞こえてきたのが女の声なら驚くだろう。それでも中から反応があった。
「驚かしちゃってごめんなさい。ここを開けてくれませんか? お話がしたいんです」
「話…?」
少しの間があり、扉が小さく開いて金原が顔を覗かせた。
その膝の上には先程食堂で幸子が取ってきたトレイが置かれている。…食事をしていたのだろう。
「開けて下さってありがとうございます。私は公安局の木梨です」
「木梨…さん…」
と金原は探るような目で幸子を上から下まで眺め、もごもごと話す。
「さ、さっきは…どうも」
「いえ。…いつもここで食事をなさってるんですか?」
「……」
何も答えないのを肯定と受け取る。
「金原さん、私と一緒に来てくれませんか?」
「い、一緒に…?!」
金原の表情が瞬時に強張った。
無理もない。刑事に一緒に来いと言われたら、誰だって嫌な想像をしてしまう。
「この施設にいたら、あなたの色相は濁ってしまいます。きちんとシビュラの診断を受けてカウンセリングを受ければ……」
「嫌だ!放っておいてくれ!!」
扉を閉めようとする金原の手を手で止めた幸子は、切羽詰まったような顔をしていた。
「お願い…もう誰にもあなたを"黄緑野郎"なんて呼ばせたくないんです!」
「!?」
「あなたを助けたい…」
金原の大きく開かれた目が あの時のように眩しそうに幸子を映していた。
「だから…っ、きゃあ!」
突然 腕を強い力で引かれた。