#40 決意と覚悟
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「俺を追って執行官になりはしましたが、幸子は潜在犯ではありません」
「ああ。それは……なんとなく気づいていた。外出の件といい、執行官にしては優遇されている面が多すぎるからな」
両腕を組んだ雑賀は然程驚く様子もなく頷いた。きちんと観察していた所がこの人らしい。
「紆余曲折ありましたが幸子は監視官に復帰したんです。あいつはようやく居るべき場所に戻った。もう自分の正義を見失って欲しくない…」
雑賀は幾分険しい表情を作り、黙って話の先を促す。
「俺さえいなくなれば幸子は色相を濁らせる事もない。いつか別の人生を見つけて幸せになる――そう思っていました」
「……?!」
雑賀は狡噛の微妙な言い回しに気づき眉を潜めた。独白する狡噛の表情はやけに穏やかで。
「でも、それは間違いだと気づいたんです。立場や居場所なんて何の意味もなかった。この世界の秩序すら入る隙もないくらい俺達は互いを求めあっていた。――俺達は、離れられない」
幸子が記憶を無くし一度離れたからこそ、それが身に染みて分かった。
「だから…全てが終われば迎えにいくつもりです。その時、俺の手は汚れているでしょう。それでも俺は幸子を手離しません――絶対に」
「そうか…。それを聞いて安心した」
雑賀は狡噛の決意を理解した上で あまつさえ背中を押してくれている。…それが素直に嬉しい。
「先生。……本当に、ご迷惑をおかけしました」
「気にするな。お前に手を貸した事で、俺は俺の役目を果たせたと思ってる」
狡噛が自分に対して何を思っているのかよく解る。だからこそ雑賀は、不敵な笑みを浮かべ もう一度背中を押してやった。
「さっさと終わらせて早く木梨を迎えに行け」
狡噛は小さく笑んで頷き、ヘルメットを被った。そしてバイクに跨がると勢いよく発進させた。
全ての決着をつける為に――。
「ああ。それは……なんとなく気づいていた。外出の件といい、執行官にしては優遇されている面が多すぎるからな」
両腕を組んだ雑賀は然程驚く様子もなく頷いた。きちんと観察していた所がこの人らしい。
「紆余曲折ありましたが幸子は監視官に復帰したんです。あいつはようやく居るべき場所に戻った。もう自分の正義を見失って欲しくない…」
雑賀は幾分険しい表情を作り、黙って話の先を促す。
「俺さえいなくなれば幸子は色相を濁らせる事もない。いつか別の人生を見つけて幸せになる――そう思っていました」
「……?!」
雑賀は狡噛の微妙な言い回しに気づき眉を潜めた。独白する狡噛の表情はやけに穏やかで。
「でも、それは間違いだと気づいたんです。立場や居場所なんて何の意味もなかった。この世界の秩序すら入る隙もないくらい俺達は互いを求めあっていた。――俺達は、離れられない」
幸子が記憶を無くし一度離れたからこそ、それが身に染みて分かった。
「だから…全てが終われば迎えにいくつもりです。その時、俺の手は汚れているでしょう。それでも俺は幸子を手離しません――絶対に」
「そうか…。それを聞いて安心した」
雑賀は狡噛の決意を理解した上で あまつさえ背中を押してくれている。…それが素直に嬉しい。
「先生。……本当に、ご迷惑をおかけしました」
「気にするな。お前に手を貸した事で、俺は俺の役目を果たせたと思ってる」
狡噛が自分に対して何を思っているのかよく解る。だからこそ雑賀は、不敵な笑みを浮かべ もう一度背中を押してやった。
「さっさと終わらせて早く木梨を迎えに行け」
狡噛は小さく笑んで頷き、ヘルメットを被った。そしてバイクに跨がると勢いよく発進させた。
全ての決着をつける為に――。