#39 逃亡後
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征陸と共にオフィスに戻った幸子は、足早に分析室ラボへと向かっていた。
(朱ちゃん大丈夫かな…)
ずっと常守の様子が気になっていた。
狡噛からの手紙を読んだ後の彼女の泣き顔が脳裏に浮かぶ。きっとさっきの話でショックを受けているはずだ。
出来る事は限られているだろうが力になりたい。
「朱ちゃん……?!」
「幸子さん…」
ラボに入った途端、唐之杜に背中を撫でられている常守の目が赤く腫れているのに気づき、反射的に駆け寄った。
「大丈夫…?」
「うん…」
心配そうに覗き込むと常守は力なく頷いた。
「ほらほら、朱ちゃんの気持ちを一番に理解してくれる人が来たわよ。たまには思いっきり幸子に甘えなさい」
そう言って常守の肩を押した唐之杜は「宜野座君に資料を届けて来るわ」と言い残し去っていった。
ラボには幸子と常守が残される。
「座ろうか?」
コクッと頷いた常守の背中に腕を回してソファに誘導した。
「……狡噛さんが、本物の人殺しになっちゃうなんて……嫌だよ」
「朱ちゃん…」
ぎゅっと自分の肩にすがりつく常守の背中をゆっくりと擦る。
「うん、そうだね。私も絶対にいや。慎也が……人殺しになっちゃうなんて」
常守が顔を上げた。
頬を濡らした涙をそっと拭ってやると、常守は少し落ち着いたように見えた。
「幸子さん、一緒に槙島を捕まえよう。何としても狡噛さんより先に」
「……うん」
大変な事態の中で、この若き監視官がとても頼もしく感じられた。
同時に沸き上がる――最大限の感謝。
「慎也を心配してくれて…一生懸命救う道を考えてくれて……本当にありがとう」
「っ――?!」
憧れ、なんて簡単な言葉で言い表せないくらい彼女が好きだと常守は思った。
常守はとても真っ直ぐな瞳で幸子を見つめる。
「幸子さん、私――狡噛さんが帰って来るまで幸子さんを守る」
「朱ちゃん…?!」
突然の申し出に驚いたものの、その言葉に込められた常守の深い想いを感じ、幸子は素直に受け取った。
「ありがとう、朱ちゃん」
微笑むと、釣られて常守もはにかんだような笑顔を見せた。
人気のないオフィスでは、常守が一人居残り情報整理をしていた。
幸子の為にもなんとしても狡噛より先に槙島の行方を掴みたい。
「――?!」
ふいに物音が聞こえた。
ハッとして振り向くとドミネーター搬送ドローンが扉付近に待機していた。
「?……」
訝しげに思いながら常守はコンテナからドミネーターを引き抜いた。それに反応し起動したドミネーターの機械音声が明らかな意思を持って告げる。
『常守朱監視官、あなたにすべての真実を告げましょう』
(朱ちゃん大丈夫かな…)
ずっと常守の様子が気になっていた。
狡噛からの手紙を読んだ後の彼女の泣き顔が脳裏に浮かぶ。きっとさっきの話でショックを受けているはずだ。
出来る事は限られているだろうが力になりたい。
「朱ちゃん……?!」
「幸子さん…」
ラボに入った途端、唐之杜に背中を撫でられている常守の目が赤く腫れているのに気づき、反射的に駆け寄った。
「大丈夫…?」
「うん…」
心配そうに覗き込むと常守は力なく頷いた。
「ほらほら、朱ちゃんの気持ちを一番に理解してくれる人が来たわよ。たまには思いっきり幸子に甘えなさい」
そう言って常守の肩を押した唐之杜は「宜野座君に資料を届けて来るわ」と言い残し去っていった。
ラボには幸子と常守が残される。
「座ろうか?」
コクッと頷いた常守の背中に腕を回してソファに誘導した。
「……狡噛さんが、本物の人殺しになっちゃうなんて……嫌だよ」
「朱ちゃん…」
ぎゅっと自分の肩にすがりつく常守の背中をゆっくりと擦る。
「うん、そうだね。私も絶対にいや。慎也が……人殺しになっちゃうなんて」
常守が顔を上げた。
頬を濡らした涙をそっと拭ってやると、常守は少し落ち着いたように見えた。
「幸子さん、一緒に槙島を捕まえよう。何としても狡噛さんより先に」
「……うん」
大変な事態の中で、この若き監視官がとても頼もしく感じられた。
同時に沸き上がる――最大限の感謝。
「慎也を心配してくれて…一生懸命救う道を考えてくれて……本当にありがとう」
「っ――?!」
憧れ、なんて簡単な言葉で言い表せないくらい彼女が好きだと常守は思った。
常守はとても真っ直ぐな瞳で幸子を見つめる。
「幸子さん、私――狡噛さんが帰って来るまで幸子さんを守る」
「朱ちゃん…?!」
突然の申し出に驚いたものの、その言葉に込められた常守の深い想いを感じ、幸子は素直に受け取った。
「ありがとう、朱ちゃん」
微笑むと、釣られて常守もはにかんだような笑顔を見せた。
人気のないオフィスでは、常守が一人居残り情報整理をしていた。
幸子の為にもなんとしても狡噛より先に槙島の行方を掴みたい。
「――?!」
ふいに物音が聞こえた。
ハッとして振り向くとドミネーター搬送ドローンが扉付近に待機していた。
「?……」
訝しげに思いながら常守はコンテナからドミネーターを引き抜いた。それに反応し起動したドミネーターの機械音声が明らかな意思を持って告げる。
『常守朱監視官、あなたにすべての真実を告げましょう』