#39 逃亡後
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前方のドアが開き、現れたのは宜野座だった。
「伸元……?」
反射的に宜野座の出てきた扉を確認する。プレートには『カウンセリングルーム』の文字。
なぜ宜野座が公安局のカウンセリングルームから現れたのか、その結論に辿り着くのは難くない。
「伸元――」
「幸子…!!」
幸子に気づいた宜野座は驚愕の表情で名を呼んだ。
「犯罪係数72…!? 伸元、それって……」
「ああ。公安局のキャリアとしてはスレスレのボーダーラインだ」
誰もいない休憩所の一角。
ベンチに座った宜野座は隣で身を乗り出している幸子に対し、自らを嘲るように笑った。
「それで…カウンセラーの先生はなんて?」
「今すぐ休養して治療に専念しろとさ」
元々繊細だとは心得ていたが、今回の件がそこまで宜野座を追いつめていたとは……。
やはり宜野座は今でも狡噛を友と…相棒だと思っている証拠だ。彼の本音に関しては嬉しく思う反面、深刻な自体に背筋が凍りついた。
「伸元…お願い、先生のおっしゃる通りにして。自分の心を守って。伸元にもしもの事があったら、私……」
「それでもお前は変わらずにいてくれるのだろう、幸子」
話題と似つかわしくない微笑みを浮かべて宜野座は膝に置かれた幸子の手にそっと手を添える。
「そんなの当たり前でしょ…! でも……っ」
このまま色相が濁っていけば待ち受けるのは潜在犯認定だ。
狡噛の時のような想いをもう味わいたくない。
それに……きっと征陸は悲しむだろう。
「いいか、幸子。今の話は他言無用だ。――もちろん征陸にもな」
「!……」
幸子の心の内を読んだかのような宜野座の言葉。
宜野座の覚悟は固い。
……従うしかないのか。
暫くの間何も言わずに俯いていたが、やがて幸子は小さく頷いた。宜野座はホッとした様子で息を吐く。
「幸子には辛い思いをさせてしまったが、お前に知られて何処かホッとしているんだ。きっと俺一人では……抱えきれなかった」
「そんなの…!! 伸元の気持ちが軽くなるならいくらでも聞かせて…!」
「?!!」
宜野座は目を丸くした。
そうだ。こういう女なのだ、幸子は。幼い頃から彼女のこんな性格に支えられてきた。
「ありがとう、幸子。お前がいてくれて良かった」
長年抱えてきた素直な気持ちをやっと口に出来た。
「伸元……?」
反射的に宜野座の出てきた扉を確認する。プレートには『カウンセリングルーム』の文字。
なぜ宜野座が公安局のカウンセリングルームから現れたのか、その結論に辿り着くのは難くない。
「伸元――」
「幸子…!!」
幸子に気づいた宜野座は驚愕の表情で名を呼んだ。
「犯罪係数72…!? 伸元、それって……」
「ああ。公安局のキャリアとしてはスレスレのボーダーラインだ」
誰もいない休憩所の一角。
ベンチに座った宜野座は隣で身を乗り出している幸子に対し、自らを嘲るように笑った。
「それで…カウンセラーの先生はなんて?」
「今すぐ休養して治療に専念しろとさ」
元々繊細だとは心得ていたが、今回の件がそこまで宜野座を追いつめていたとは……。
やはり宜野座は今でも狡噛を友と…相棒だと思っている証拠だ。彼の本音に関しては嬉しく思う反面、深刻な自体に背筋が凍りついた。
「伸元…お願い、先生のおっしゃる通りにして。自分の心を守って。伸元にもしもの事があったら、私……」
「それでもお前は変わらずにいてくれるのだろう、幸子」
話題と似つかわしくない微笑みを浮かべて宜野座は膝に置かれた幸子の手にそっと手を添える。
「そんなの当たり前でしょ…! でも……っ」
このまま色相が濁っていけば待ち受けるのは潜在犯認定だ。
狡噛の時のような想いをもう味わいたくない。
それに……きっと征陸は悲しむだろう。
「いいか、幸子。今の話は他言無用だ。――もちろん征陸にもな」
「!……」
幸子の心の内を読んだかのような宜野座の言葉。
宜野座の覚悟は固い。
……従うしかないのか。
暫くの間何も言わずに俯いていたが、やがて幸子は小さく頷いた。宜野座はホッとした様子で息を吐く。
「幸子には辛い思いをさせてしまったが、お前に知られて何処かホッとしているんだ。きっと俺一人では……抱えきれなかった」
「そんなの…!! 伸元の気持ちが軽くなるならいくらでも聞かせて…!」
「?!!」
宜野座は目を丸くした。
そうだ。こういう女なのだ、幸子は。幼い頃から彼女のこんな性格に支えられてきた。
「ありがとう、幸子。お前がいてくれて良かった」
長年抱えてきた素直な気持ちをやっと口に出来た。