#06 スケープゴートの刃
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用意された会議室では、一係メンバーが集い 事件の推理をしていた。
そこで見えてきたいくつかの真相。
まず死亡事故が起こるようになったのは一年前。それからずっと 同じ職員がイジメの対象になっている。
他の職員はクリアカラーなのに、たった一人サイコパスを濁らせている者。
「金原祐治。色相判定 イエローグリーン……」
「……なるほど、それで黄緑野郎、か。ここでは色相判定の結果が全員に公開されているらしいな」
「そんな事態を悪化させるようなコト堂々としてるなんて…」
常守と狡噛の話を聞きながら幸子は顔を曇らせた。
これではまるで、工場に携わる全ての人間がその行為を黙認しているようではないか。
「そんなの…絶対におかしい…」
「でもさ幸子ちゃん。こいつ、最新の計測値だと色相が好転してるよ」
「えっ…!?」
「昨日のスキャニングデータだな。むしろ濁りがピークだったのは……塩山の死の前日、か」
狡噛の言葉に場が騒然とした。
刑事でなくとも、真相などもう容易に想像がつく。
「状況証拠に基づいた憶測で行動は出来ない」
それでも宜野座は監視官としてあくまで慎重だった。
「俺達の任務は、シビュラの判定した犯罪係数を元に社会の秩序を維持することだ」
「年に三人も死人が出るような秩序を、か?」
「そうだよギノ。私達の守るべきものは、そんなものじゃないでしょ!?」
口を挟んだ狡噛と 同調した幸子に対して、宜野座は怒りを視線に転じて送る。
「ギノ、俺にやらせろ。金原がクロかどうなのか、すぐにも確証を掴んでみせる」
「黙れ!」
バン!と大きな音を立て、怒りを露にした宜野座がテーブルを叩いた。
「宜野座さん、ちょっと……」
堪り兼ねた常守が、宜野座に声をかけ 会議室の外に連れ出した。
「私、みんなに賛成です。ここで犯罪を見過ごすくらいなら、狡噛さんの計画を試してみたい」
ギロリと睨む宜野座の冷たい視線に身がすくむ思いであったが、それでも常守は自分の意見を押し通した。彼女が退かないと解った宜野座は、くいと眼鏡を上げて小さく息をついた。
「君も監視官の端くれだ。猟犬どもを上手く手懐けられると思うなら、やってみろ」
「宜野座さん…」
「常守監視官。君が狡噛と木梨を抑え込めるとは到底思えないがな」
「それ…どういう意味ですか?」
2人の名誉を傷つけられたような気がして、常守は憤慨したように宜野座に問いただした。
宜野座は常守の感情に気づいているのか否か…あくまで冷静を保ちつつ答える。
「そのままの意味だ。あの2人が暴走した時、君では彼らを止められないと言っている」
「暴走なんてそんな…」
反論しようとした常守の言葉に言葉を被せる宜野座。
「以前のようにパラライザーで撃つか?木梨といる限り、狡噛にもそれは通用しないぞ」
「!!?」
「愚か者は愚か者らしく、なにもかも経験で学んでみるがいい。それが理解への早道だ」
真意を尋ねる前に、宜野座はくるりと背を向け去っていった。
常守の目に、宜野座の怒りとも哀しみとも取れるまなざしが焼き付いていた。
そこで見えてきたいくつかの真相。
まず死亡事故が起こるようになったのは一年前。それからずっと 同じ職員がイジメの対象になっている。
他の職員はクリアカラーなのに、たった一人サイコパスを濁らせている者。
「金原祐治。色相判定 イエローグリーン……」
「……なるほど、それで黄緑野郎、か。ここでは色相判定の結果が全員に公開されているらしいな」
「そんな事態を悪化させるようなコト堂々としてるなんて…」
常守と狡噛の話を聞きながら幸子は顔を曇らせた。
これではまるで、工場に携わる全ての人間がその行為を黙認しているようではないか。
「そんなの…絶対におかしい…」
「でもさ幸子ちゃん。こいつ、最新の計測値だと色相が好転してるよ」
「えっ…!?」
「昨日のスキャニングデータだな。むしろ濁りがピークだったのは……塩山の死の前日、か」
狡噛の言葉に場が騒然とした。
刑事でなくとも、真相などもう容易に想像がつく。
「状況証拠に基づいた憶測で行動は出来ない」
それでも宜野座は監視官としてあくまで慎重だった。
「俺達の任務は、シビュラの判定した犯罪係数を元に社会の秩序を維持することだ」
「年に三人も死人が出るような秩序を、か?」
「そうだよギノ。私達の守るべきものは、そんなものじゃないでしょ!?」
口を挟んだ狡噛と 同調した幸子に対して、宜野座は怒りを視線に転じて送る。
「ギノ、俺にやらせろ。金原がクロかどうなのか、すぐにも確証を掴んでみせる」
「黙れ!」
バン!と大きな音を立て、怒りを露にした宜野座がテーブルを叩いた。
「宜野座さん、ちょっと……」
堪り兼ねた常守が、宜野座に声をかけ 会議室の外に連れ出した。
「私、みんなに賛成です。ここで犯罪を見過ごすくらいなら、狡噛さんの計画を試してみたい」
ギロリと睨む宜野座の冷たい視線に身がすくむ思いであったが、それでも常守は自分の意見を押し通した。彼女が退かないと解った宜野座は、くいと眼鏡を上げて小さく息をついた。
「君も監視官の端くれだ。猟犬どもを上手く手懐けられると思うなら、やってみろ」
「宜野座さん…」
「常守監視官。君が狡噛と木梨を抑え込めるとは到底思えないがな」
「それ…どういう意味ですか?」
2人の名誉を傷つけられたような気がして、常守は憤慨したように宜野座に問いただした。
宜野座は常守の感情に気づいているのか否か…あくまで冷静を保ちつつ答える。
「そのままの意味だ。あの2人が暴走した時、君では彼らを止められないと言っている」
「暴走なんてそんな…」
反論しようとした常守の言葉に言葉を被せる宜野座。
「以前のようにパラライザーで撃つか?木梨といる限り、狡噛にもそれは通用しないぞ」
「!!?」
「愚か者は愚か者らしく、なにもかも経験で学んでみるがいい。それが理解への早道だ」
真意を尋ねる前に、宜野座はくるりと背を向け去っていった。
常守の目に、宜野座の怒りとも哀しみとも取れるまなざしが焼き付いていた。