#37 征陸の親心
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スラム街にある高層マンション。
今は廃墟と化す建物の7階――征陸のセーフハウスに狡噛はいた。
征陸から受け取ったメモに書かれていた暗証番号で金庫を開け、入手した部品を組み立てながら狡噛は幸子を想う。すぐに苦笑を浮かべながら首を横に振った。
自ら手放すと決意したというのに、未だ彼女への想いに捕われている己を嘲笑ったのだ。
幸せになってほしい。
槙島に引導を渡すと決めた自分にはもう、幸子を幸せにする権利はないのだから。
それでも愛する女が他の男の腕に抱かれる姿を想像しただけで言い様のない嫉妬に駆られる。
「勝手なもんだな、俺も」
自嘲気味に呟いた時、扉を叩く微かな音がした。
「!――」
追われる身である狡噛は気配に敏感になっている。微かな音だとしても、それは確かに彼の耳に届いた。
狡噛は組み立てたばかりの旧式のリボルバーを手にした。そして音を立てないように扉へと近づいていく。
己にとって好意的な者がこんな場所に現れる訳がない。狡噛はリボルバーを構え、ゆっくりと扉を開けた。
「馬鹿な…」
狡噛は目を疑った。
直ぐに構えていた銃を下ろす。
玄関扉の前に立っていたのは幸子であった。
今は廃墟と化す建物の7階――征陸のセーフハウスに狡噛はいた。
征陸から受け取ったメモに書かれていた暗証番号で金庫を開け、入手した部品を組み立てながら狡噛は幸子を想う。すぐに苦笑を浮かべながら首を横に振った。
自ら手放すと決意したというのに、未だ彼女への想いに捕われている己を嘲笑ったのだ。
幸せになってほしい。
槙島に引導を渡すと決めた自分にはもう、幸子を幸せにする権利はないのだから。
それでも愛する女が他の男の腕に抱かれる姿を想像しただけで言い様のない嫉妬に駆られる。
「勝手なもんだな、俺も」
自嘲気味に呟いた時、扉を叩く微かな音がした。
「!――」
追われる身である狡噛は気配に敏感になっている。微かな音だとしても、それは確かに彼の耳に届いた。
狡噛は組み立てたばかりの旧式のリボルバーを手にした。そして音を立てないように扉へと近づいていく。
己にとって好意的な者がこんな場所に現れる訳がない。狡噛はリボルバーを構え、ゆっくりと扉を開けた。
「馬鹿な…」
狡噛は目を疑った。
直ぐに構えていた銃を下ろす。
玄関扉の前に立っていたのは幸子であった。