#36 色のない部屋
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最初に宜野座からその案を聞かされた時は、正直度肝を抜かれた。
「執行官を交代?!」
「そうだ。槙島を捕らえる上で狡噛の戦力を欠くのは惜しい。そこで青柳監視官と相談し、一時的な執行官の交代に応じてもらった」
宜野座にしては何とも大胆な策に出たものだと妙な感心をしてしまう。
それだけ宜野座も追いつめられているという事か。
「狡噛には当面、二係で縢の捜索を手伝わせる」
「なるほど…。考えたね、伸元」
その言葉の中に潜む深意を幸子は見逃さなかった。応えるように小さく笑みを見せてから、宜野座はくいっと眼鏡をあげて申し訳なさそうな顔をした。
「悪いが幸子は現状維持で頼む」
「…うん、分かってる。サポートは任せて」
「ああ、頼りにしている」
しかし禾生を出し抜くなど本当に可能なのだろうか……?――その答えは駐車場にあった。
「こんな小賢しい計略で出し抜けると思ったなら、舐められたものだな。私も」
狡噛が二係の執行官と共に護送車に乗り込もうとした所、多数のドローンが現れ彼を一斉に包囲した。
続いて現れた局長禾生は宜野座に向けてこの件の清算を求める。
――即ちそれは、宜野座のその手で狡噛を撃つこと。
「……ッ」
「伸元……!!」
禾生の期待に応えるように宜野座はドミネーターを狡噛に向けた。
必死で平静を装ってはいるが顔面は蒼白だ。
「さあ、宜野座君。君の責任者としての采配を、情に流されない決断力を私に見せてくれないか?」
「……!!」
何をどうしたかは分からない。
しかし今、宜野座の構えるドミネーターはパラライザーモードからエリミネーターモードに形を変えていた。
(縢くんの時と同じ……)
緊迫の様子を見守っていた幸子はこくりと喉を鳴らした。
あの時と同じ、ドミネーターが対象の犯罪係数に反して変形している。
(局長は狡噛くんを殺そうとしている――!!)
認識した瞬間。
幸子の胸がドクリと大きく鳴った。
無意識の内に手にしていたドミネーターを構えるべく動かそうとすると、横からドミネーターが発砲された。
「あ、朱ちゃん……?!」
常守のドミネーターはパラライザーモード。
発砲された神経ビームは狡噛の足に直撃し、狡噛はその場にドッと倒れた。
「……犯罪係数300以下の対象には、パラライザーモードが適用されます。宜野座さん、そのドミネーター、故障してますよ。すぐメンテナンスに出さないと」
「……ああ」
常守は事務的にそれだけを告げた。
「執行官を交代?!」
「そうだ。槙島を捕らえる上で狡噛の戦力を欠くのは惜しい。そこで青柳監視官と相談し、一時的な執行官の交代に応じてもらった」
宜野座にしては何とも大胆な策に出たものだと妙な感心をしてしまう。
それだけ宜野座も追いつめられているという事か。
「狡噛には当面、二係で縢の捜索を手伝わせる」
「なるほど…。考えたね、伸元」
その言葉の中に潜む深意を幸子は見逃さなかった。応えるように小さく笑みを見せてから、宜野座はくいっと眼鏡をあげて申し訳なさそうな顔をした。
「悪いが幸子は現状維持で頼む」
「…うん、分かってる。サポートは任せて」
「ああ、頼りにしている」
しかし禾生を出し抜くなど本当に可能なのだろうか……?――その答えは駐車場にあった。
「こんな小賢しい計略で出し抜けると思ったなら、舐められたものだな。私も」
狡噛が二係の執行官と共に護送車に乗り込もうとした所、多数のドローンが現れ彼を一斉に包囲した。
続いて現れた局長禾生は宜野座に向けてこの件の清算を求める。
――即ちそれは、宜野座のその手で狡噛を撃つこと。
「……ッ」
「伸元……!!」
禾生の期待に応えるように宜野座はドミネーターを狡噛に向けた。
必死で平静を装ってはいるが顔面は蒼白だ。
「さあ、宜野座君。君の責任者としての采配を、情に流されない決断力を私に見せてくれないか?」
「……!!」
何をどうしたかは分からない。
しかし今、宜野座の構えるドミネーターはパラライザーモードからエリミネーターモードに形を変えていた。
(縢くんの時と同じ……)
緊迫の様子を見守っていた幸子はこくりと喉を鳴らした。
あの時と同じ、ドミネーターが対象の犯罪係数に反して変形している。
(局長は狡噛くんを殺そうとしている――!!)
認識した瞬間。
幸子の胸がドクリと大きく鳴った。
無意識の内に手にしていたドミネーターを構えるべく動かそうとすると、横からドミネーターが発砲された。
「あ、朱ちゃん……?!」
常守のドミネーターはパラライザーモード。
発砲された神経ビームは狡噛の足に直撃し、狡噛はその場にドッと倒れた。
「……犯罪係数300以下の対象には、パラライザーモードが適用されます。宜野座さん、そのドミネーター、故障してますよ。すぐメンテナンスに出さないと」
「……ああ」
常守は事務的にそれだけを告げた。