#35 監視官として
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幸子は局内食堂の入口に立ち、キョロキョロと周囲を見回した。すぐに待ち合わせ人は見つかり、コツコツとヒール音を響かせながら近づいていく。
待ち合わせ人――二係監視官 青柳璃彩は窓際のテーブルに着き、資料を眺めていた。
目の前に置かれたコーヒーからは僅かに湯気が立つ。
「璃彩ちゃん」
「幸子――!!」
声に反応した青柳は小さく手を振ってきた。幸子も小さく振り返して青柳と差し向かいに座る。
「ごめん、待たせた?」
「捜査資料を確認していたから問題ないわ」
青柳はそう言ったが、ぼんやりした彼女の様子から手にした資料を読んでいなかったのは明白だった。
「それより幸子、いよいよ監視官復帰ね」
「うん。色々あって、ね」
「執行官になったり誘拐されたり、幸子も本当に忙しいわね」
「あははっ、そうだね」
幸子は声をあげて笑った。
青柳は狡噛や宜野座と同じく同期の仲間だ。気心は知れている。
彼女が呼び出した理由も…なんとなく解ってしまう。
「聞いたよ。神月さん……執行したんでしょ」
「そう、そうよ」
青柳の声音には抑えきれない感情の迸りが見え隠れしていた。
「彼が悪いのよ。逃げ出そうなんて考えてはいけなかったのに」
青柳と、彼女が粛清した執行官神月は長くコンビを組んでいた。
其故、自らの手で神月を裁かなくてはならなかった青柳の心情は計り知れない。
「自分を責めないで。璃彩ちゃんは監視官としての責務を果たしただけだよ」
「…ええ、そう。分かってるわ。それが監視官と執行官の関係だもの」
「……」
監視官に復帰した自分は、いつか今の青柳と同じ立場に立つ可能性が否定できない。果たしてその時、青柳のようにきちんと責務を果たせるのだろうか…。
項垂れる青柳の背をさすりながら、幸子は思った。
待ち合わせ人――二係監視官 青柳璃彩は窓際のテーブルに着き、資料を眺めていた。
目の前に置かれたコーヒーからは僅かに湯気が立つ。
「璃彩ちゃん」
「幸子――!!」
声に反応した青柳は小さく手を振ってきた。幸子も小さく振り返して青柳と差し向かいに座る。
「ごめん、待たせた?」
「捜査資料を確認していたから問題ないわ」
青柳はそう言ったが、ぼんやりした彼女の様子から手にした資料を読んでいなかったのは明白だった。
「それより幸子、いよいよ監視官復帰ね」
「うん。色々あって、ね」
「執行官になったり誘拐されたり、幸子も本当に忙しいわね」
「あははっ、そうだね」
幸子は声をあげて笑った。
青柳は狡噛や宜野座と同じく同期の仲間だ。気心は知れている。
彼女が呼び出した理由も…なんとなく解ってしまう。
「聞いたよ。神月さん……執行したんでしょ」
「そう、そうよ」
青柳の声音には抑えきれない感情の迸りが見え隠れしていた。
「彼が悪いのよ。逃げ出そうなんて考えてはいけなかったのに」
青柳と、彼女が粛清した執行官神月は長くコンビを組んでいた。
其故、自らの手で神月を裁かなくてはならなかった青柳の心情は計り知れない。
「自分を責めないで。璃彩ちゃんは監視官としての責務を果たしただけだよ」
「…ええ、そう。分かってるわ。それが監視官と執行官の関係だもの」
「……」
監視官に復帰した自分は、いつか今の青柳と同じ立場に立つ可能性が否定できない。果たしてその時、青柳のようにきちんと責務を果たせるのだろうか…。
項垂れる青柳の背をさすりながら、幸子は思った。