#33 局長室にて
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幸子は点滅する表示をぼんやりと眺めていた。
誰も乗り込んでくる気配はなく、エレベーターはどんどん上昇していく。
しん、と静まり返ったエレベーター内に乗り合わせているのは幸子だけだ。それが幸いした。
疲れたきったような、今の自分はそんな表情をしているからだ。
宜野座あたりに見られたらまた心配をかけてしまう。その点一人ならば取り繕う必要もない。
チン…と小さな到着音がして扉が開いた瞬間、幸子の体を緊張が走った。
無音が煩く感じるような沈黙の中 歩き出した。よく磨かれた床に、ローヒールの足音だけが響き渡る。
この廊下はある一室にのみ繋がっていた。
ここ最上階には元より一室しか存在しないからだ。
局長 禾生壌宗の住まう局長執務室――。
(……気が重いな)
幸子は深く溜め息を吐いた。
溜め息を吐くと幸せが逃げるなんて、昔の人は面白いことを言ったものだ。
とにかくさっさと済ませてしまいたい。意を決して幸子は冷たい扉をノックした。
「入りたまえ」
中から禾生の声が許可し、扉が自動的に開いた。
誰も乗り込んでくる気配はなく、エレベーターはどんどん上昇していく。
しん、と静まり返ったエレベーター内に乗り合わせているのは幸子だけだ。それが幸いした。
疲れたきったような、今の自分はそんな表情をしているからだ。
宜野座あたりに見られたらまた心配をかけてしまう。その点一人ならば取り繕う必要もない。
チン…と小さな到着音がして扉が開いた瞬間、幸子の体を緊張が走った。
無音が煩く感じるような沈黙の中 歩き出した。よく磨かれた床に、ローヒールの足音だけが響き渡る。
この廊下はある一室にのみ繋がっていた。
ここ最上階には元より一室しか存在しないからだ。
局長 禾生壌宗の住まう局長執務室――。
(……気が重いな)
幸子は深く溜め息を吐いた。
溜め息を吐くと幸せが逃げるなんて、昔の人は面白いことを言ったものだ。
とにかくさっさと済ませてしまいたい。意を決して幸子は冷たい扉をノックした。
「入りたまえ」
中から禾生の声が許可し、扉が自動的に開いた。