#脱出
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そのままドサッと音を立て床に落下した。
「怪我はないか!?」
狡噛が咄嗟に庇い身を反転してくれたおかげで、幸子自身は全くの無傷で済んだ。
「うん、私は大丈夫。狡噛くんは?」
「見ての通りだ」
狡噛が無事である事に安堵すると、意識は現在(いま)に移るもので。
自分の下にある狡噛の顔が思ったより近い事に気づき、幸子は慌てて飛び退いた。
「ごめんね、痛かったでしょ…?」
「心配するな。何て事はないさ」
狡噛も上体を起こした。
僅かな沈黙が重く何か言おうと口を開きかけた時、急に腕を引っ張られた。
「脱出するぞ。この建物は危険だ!」
パトカーまで戻ると、ようやく一心地ついた。
「本当に…無事で良かった……」
運転席の背もたれに深く体を預け、ホッと胸を撫で下ろす幸子。
「それにしても、よく俺が通気ダクトを使うと分かったな」
「見取図を調べていたらここを発見して…。狡噛くんならきっとここから脱出してくると思ったの」
見取り図を見る限り道は三手に分かれていた。
薄暗い空間では方向感覚もままならない。だから床を叩き音を出したのだ。狡噛が迷わないように。
「でも、ガスを使って自分達の命まで捨てるような真似をするなんて……。そうまでして果たしたかった目的って何なのかな」
酷くショックを受けた様子で幸子が言った。
「それだけ俺達が……シビュラが憎いんだろ」
「そんな…!?」
「あの連中の目的…いや、標的、とでも言うべきか。それは間違いなく俺達だった」
幸子は揺れた瞳でバッと狡噛を見て何か言いかけたが、唇を噛みしめるだけで何も言わなかった。
長い付き合いだ。彼女の考えている事は大体解る。
狡噛は幸子の頭を撫でようと手を伸ばしかけ、引っ込めた。
自分との関係を封印されている今の幸子を抱きしめても、戸惑いは与えても安心させてやる事が出来ない。そのもどかしさが負の感情となり狡噛の中に燻っていた。
「怪我はないか!?」
狡噛が咄嗟に庇い身を反転してくれたおかげで、幸子自身は全くの無傷で済んだ。
「うん、私は大丈夫。狡噛くんは?」
「見ての通りだ」
狡噛が無事である事に安堵すると、意識は現在(いま)に移るもので。
自分の下にある狡噛の顔が思ったより近い事に気づき、幸子は慌てて飛び退いた。
「ごめんね、痛かったでしょ…?」
「心配するな。何て事はないさ」
狡噛も上体を起こした。
僅かな沈黙が重く何か言おうと口を開きかけた時、急に腕を引っ張られた。
「脱出するぞ。この建物は危険だ!」
パトカーまで戻ると、ようやく一心地ついた。
「本当に…無事で良かった……」
運転席の背もたれに深く体を預け、ホッと胸を撫で下ろす幸子。
「それにしても、よく俺が通気ダクトを使うと分かったな」
「見取図を調べていたらここを発見して…。狡噛くんならきっとここから脱出してくると思ったの」
見取り図を見る限り道は三手に分かれていた。
薄暗い空間では方向感覚もままならない。だから床を叩き音を出したのだ。狡噛が迷わないように。
「でも、ガスを使って自分達の命まで捨てるような真似をするなんて……。そうまでして果たしたかった目的って何なのかな」
酷くショックを受けた様子で幸子が言った。
「それだけ俺達が……シビュラが憎いんだろ」
「そんな…!?」
「あの連中の目的…いや、標的、とでも言うべきか。それは間違いなく俺達だった」
幸子は揺れた瞳でバッと狡噛を見て何か言いかけたが、唇を噛みしめるだけで何も言わなかった。
長い付き合いだ。彼女の考えている事は大体解る。
狡噛は幸子の頭を撫でようと手を伸ばしかけ、引っ込めた。
自分との関係を封印されている今の幸子を抱きしめても、戸惑いは与えても安心させてやる事が出来ない。そのもどかしさが負の感情となり狡噛の中に燻っていた。