#脱出
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狡噛は悔しそうに石壁を叩き舌打ちした。
全くやってくれたものだ。まさかただの廃校にこんな仕掛けを作るとは。
「幸子……!!」
デバイスを開いて幸子に通話を試みるも圏外表示であった。
何か妨害シールドが張られているのか分からないが、それなら別の方法を探すまでだ。
「幸子…無事でいてくれ……!!」
分厚い壁の向こうにいる愛する女を想った。
一度浚われているのだ。二度と手放すものか。
「?……」
ふと視界が霧がかったように靄っぽく白んできているのに気づいた。
目を凝らし辺りを見れば、石壁近くの天井に取りつけられたスプリンクラーから何か煙のようなものが発生している。
「!」
反射的に袖口を口許に充て2、3歩後退る。
狡噛の拳を受け、ひくひくと瀕死状態だった黒ローブ男が、煙に包まれたかと思えば急に動かなくなった。
「毒ガスか……?!」
狡噛は煙から逃れるように理科室へと避難した。
理科室に戻ると、まずドアを閉める。
対した防壁にはならないかもしれないが、毒ガスが理科室に侵入してくるのを遅らせる効果はあるだろう。それから脱出口を求め室内を隈無く回った。
窓は全てコンクリートが流し込まれ塞がれている為、破って外には出られない。
万事休すかと思われたその時、狡噛の脳裏にある記憶が甦る。
『鍵がなくても、ちっとココを使えばいいんだ』
己の頭を指す佐々山の姿が浮かぶ。あれは――そう、監視官時代の記憶だ。
「通気ダクト……」
狡噛は天井を仰いだ。
天井の隅に通気孔。走り寄り机の上に飛び乗ると、通気孔の蓋を勢いよく外した。
全くやってくれたものだ。まさかただの廃校にこんな仕掛けを作るとは。
「幸子……!!」
デバイスを開いて幸子に通話を試みるも圏外表示であった。
何か妨害シールドが張られているのか分からないが、それなら別の方法を探すまでだ。
「幸子…無事でいてくれ……!!」
分厚い壁の向こうにいる愛する女を想った。
一度浚われているのだ。二度と手放すものか。
「?……」
ふと視界が霧がかったように靄っぽく白んできているのに気づいた。
目を凝らし辺りを見れば、石壁近くの天井に取りつけられたスプリンクラーから何か煙のようなものが発生している。
「!」
反射的に袖口を口許に充て2、3歩後退る。
狡噛の拳を受け、ひくひくと瀕死状態だった黒ローブ男が、煙に包まれたかと思えば急に動かなくなった。
「毒ガスか……?!」
狡噛は煙から逃れるように理科室へと避難した。
理科室に戻ると、まずドアを閉める。
対した防壁にはならないかもしれないが、毒ガスが理科室に侵入してくるのを遅らせる効果はあるだろう。それから脱出口を求め室内を隈無く回った。
窓は全てコンクリートが流し込まれ塞がれている為、破って外には出られない。
万事休すかと思われたその時、狡噛の脳裏にある記憶が甦る。
『鍵がなくても、ちっとココを使えばいいんだ』
己の頭を指す佐々山の姿が浮かぶ。あれは――そう、監視官時代の記憶だ。
「通気ダクト……」
狡噛は天井を仰いだ。
天井の隅に通気孔。走り寄り机の上に飛び乗ると、通気孔の蓋を勢いよく外した。