#31 飛び込んできた事件
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安堵してみれば周りが見えてくるもので、幸子は自分がまだ狡噛の腕に抱かれたままでいる事に気づいた。
「きゃああっ!」
「?……」
弾かれたように狡噛から離れた。頬が熱い。
「幸子?」
「あ、あの…、ごめん……なさい。いつまでも私……っ」
「………」
慌てふためきしどろもどろな幸子。口許に充てている手で煌めく指輪に、狡噛は僅かに顔を曇らせた。
「幸子、やっぱり…――?!!」
口を開いた狡噛は息を飲んだ。
幸子の背後の床に倒れていた黒ローブの一人が不穏な動きをしていたのを目撃したからだ。
ドミネーターではなく拳で裁いた黒ローブが気絶から覚めたのだろう。
「シビュラの番犬共、お前らも道連れだ!」
「くっ…!」
黒ローブが遠隔スイッチのようなものを押そうとしているのが見えた。
反射的に阻止しようと狡噛はドミネーターを放つ。幸子が振り返るより先に黒ローブは執行され弾け飛んだ。
「大丈夫か!?」
「う、うん…私は。それより――」
と黒ローブの亡骸の近くに転がるスイッチに顔をしかめた。
「何のスイッチかな…?」
「分からない。だが一刻も早く脱出すべきだな」
異変が起きたのはその直後だった。
ゴゴゴ…と地響きのような音が鳴ったかと思えば、次の瞬間天井から分厚い石壁がシャッターのように下りてきたのだ…!
「な…何が…!?」
「幸子、こっちへ――!」
ドシャーーン!!
その後の言葉は聞けなかった。
シャッターが重い音を立てて閉まり、狡噛と幸子を遮断したからだ。
黒ローブ男の押したスイッチがこの事態を招いたに他ならない。
「狡噛くん!」
慌てて石壁に駆け寄る。
叩いてみるが何の応答もない。おそらく壁が分厚すぎて音を通さないのだろう。
階段側に分断された自分はともかく、理科室側にいる狡噛は完全に逃げ道を遮断されてしまった。……脱出する術はない。
「っ……」
頭がじんじんと痺れる。
狡噛にもしもの事があったら……。考えるだけで体の震えが止まらない。
幸子は目頭を熱くし、込み上げてくるものを抑えつけながら必死に石壁を叩いた。
「慎也! 慎也ぁっ!!!」
呼べど応えるものはなく、石壁は重い沈黙を持って通路を分断していた。
「きゃああっ!」
「?……」
弾かれたように狡噛から離れた。頬が熱い。
「幸子?」
「あ、あの…、ごめん……なさい。いつまでも私……っ」
「………」
慌てふためきしどろもどろな幸子。口許に充てている手で煌めく指輪に、狡噛は僅かに顔を曇らせた。
「幸子、やっぱり…――?!!」
口を開いた狡噛は息を飲んだ。
幸子の背後の床に倒れていた黒ローブの一人が不穏な動きをしていたのを目撃したからだ。
ドミネーターではなく拳で裁いた黒ローブが気絶から覚めたのだろう。
「シビュラの番犬共、お前らも道連れだ!」
「くっ…!」
黒ローブが遠隔スイッチのようなものを押そうとしているのが見えた。
反射的に阻止しようと狡噛はドミネーターを放つ。幸子が振り返るより先に黒ローブは執行され弾け飛んだ。
「大丈夫か!?」
「う、うん…私は。それより――」
と黒ローブの亡骸の近くに転がるスイッチに顔をしかめた。
「何のスイッチかな…?」
「分からない。だが一刻も早く脱出すべきだな」
異変が起きたのはその直後だった。
ゴゴゴ…と地響きのような音が鳴ったかと思えば、次の瞬間天井から分厚い石壁がシャッターのように下りてきたのだ…!
「な…何が…!?」
「幸子、こっちへ――!」
ドシャーーン!!
その後の言葉は聞けなかった。
シャッターが重い音を立てて閉まり、狡噛と幸子を遮断したからだ。
黒ローブ男の押したスイッチがこの事態を招いたに他ならない。
「狡噛くん!」
慌てて石壁に駆け寄る。
叩いてみるが何の応答もない。おそらく壁が分厚すぎて音を通さないのだろう。
階段側に分断された自分はともかく、理科室側にいる狡噛は完全に逃げ道を遮断されてしまった。……脱出する術はない。
「っ……」
頭がじんじんと痺れる。
狡噛にもしもの事があったら……。考えるだけで体の震えが止まらない。
幸子は目頭を熱くし、込み上げてくるものを抑えつけながら必死に石壁を叩いた。
「慎也! 慎也ぁっ!!!」
呼べど応えるものはなく、石壁は重い沈黙を持って通路を分断していた。