#30 隠された愛
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狡噛は寝苦しい夢の中にいるようだった。
(幸子が俺との関係を覚えていない!?)
認めたくない。認めたくはないが、そうすれば全ての辻褄があう。
「誰がやったか知らないけど、そんな事して何の特になるって言うのかしら」
金髪をぽりぽりと掻きながら唐之杜がボヤいた。
全くその通りだ。
幸子に自分との関係を忘れさせた所で特をする者など――?!!
「あいつか――!?」
「えっ、誰よ?」
「……槙島……」
ノナタワー90階の最奥部。
アンテナ区画外階段で対峙した時の槙島の言葉が甦る――。
『彼女の心は僕のものだ』
あの言葉はこれを意味するというのか。狡噛はギリッと奥歯を噛みしめた。
「殺してやる――!」
「落ち着きなさいってば。槙島を殺したって幸子の記憶は戻らないわよ」
「ならどうすればいいんだ!!?」
思わず声を荒げてしまい、狡噛はハッとして口元を押さえた。
「……すまない。あんたにあたっても事態は変わらないのに」
「全くその通りよ。何も変わらないわ。――指輪を外す解除キーを探し出さない限りね」
普段と同じ口調で唐之杜は言った。
「解除キー…?」
「そう。合言葉みたいなもんよ。今回の場合は特定の声紋で特定の言葉を言う――これが唯一幸子の記憶を呼び覚ます方法」
特定の声紋…とは、槙島のものでほぼ間違いないだろう。ならば道はひとつ。
「槙島を捕まえる」
「慎也君?!」
「どこへ逃げようとも必ずだ。そして幸子の記憶を取り戻す!」
ぎゅっと握りしめた拳。
獲物を狩る獣の目をした狡噛の視線は眠る幸子に注がれていた。
(幸子が俺との関係を覚えていない!?)
認めたくない。認めたくはないが、そうすれば全ての辻褄があう。
「誰がやったか知らないけど、そんな事して何の特になるって言うのかしら」
金髪をぽりぽりと掻きながら唐之杜がボヤいた。
全くその通りだ。
幸子に自分との関係を忘れさせた所で特をする者など――?!!
「あいつか――!?」
「えっ、誰よ?」
「……槙島……」
ノナタワー90階の最奥部。
アンテナ区画外階段で対峙した時の槙島の言葉が甦る――。
『彼女の心は僕のものだ』
あの言葉はこれを意味するというのか。狡噛はギリッと奥歯を噛みしめた。
「殺してやる――!」
「落ち着きなさいってば。槙島を殺したって幸子の記憶は戻らないわよ」
「ならどうすればいいんだ!!?」
思わず声を荒げてしまい、狡噛はハッとして口元を押さえた。
「……すまない。あんたにあたっても事態は変わらないのに」
「全くその通りよ。何も変わらないわ。――指輪を外す解除キーを探し出さない限りね」
普段と同じ口調で唐之杜は言った。
「解除キー…?」
「そう。合言葉みたいなもんよ。今回の場合は特定の声紋で特定の言葉を言う――これが唯一幸子の記憶を呼び覚ます方法」
特定の声紋…とは、槙島のものでほぼ間違いないだろう。ならば道はひとつ。
「槙島を捕まえる」
「慎也君?!」
「どこへ逃げようとも必ずだ。そして幸子の記憶を取り戻す!」
ぎゅっと握りしめた拳。
獲物を狩る獣の目をした狡噛の視線は眠る幸子に注がれていた。