#30 隠された愛
夢小説設定
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「指輪?」
「ええ。左手の中指に。ほら」
と端末を操作する。
モニター画面に映し出されていた幸子の寝姿。布団からはみ出た左手が拡大された。
確かに幸子の中指には見覚えのない指輪が煌めいている。
「慎也君が贈ったんじゃないとすると、誰から贈られたのかしら」
「自分で買ったんじゃないのか?」
「いや、それはないわね」
いつになくきっぱりと否定する唐之杜。
見知らぬ指輪も気にはなるが、現時点で一番気になることは――
「志恩、幸子の様子――変じゃなかったか?」
「いつも通りだったわよ」
「そうか…」
と灰皿に煙草を潰した。そんな狡噛を眺め唐之杜。
「幸子について気になる事でもあり?」
「……幸子の様子がおかしい。何処かよそよそしくて、まるで――」
狡噛は眉を潜めた。
「――まるで、俺との関係も忘れてしまったようだ」
そんな訳ないと一笑に伏されるかと思った。だが唐之杜は、ごく自然にあっけらかんとした口調で返す。
「あーそれ、指輪のせいじゃないの?」
「!……指輪!?」
訝しげに唐之杜を注目すると、彼女は煙草を灰皿に潰して椅子をくるりと回し、モニターに向き合った。つられて狡噛もモニター画面を見る。
「ちょ~っと気になって分析してみたのよね」
カタカタとキーボードを操作すると、幸子の指に嵌められたリングの映像が3D化される。
「そうしたらなんと、あ~ら不思議。妙な電波を発してるじゃない」
「電波…?」
「信号というべきかしら。脳に低周波を送って特定の記憶を思い出させないように妨害しているようね」
「――っ!」
バッとドアの方を向いた狡噛が足早に部屋を出ていこうとした。
「ちょっと慎也君!何処へ行くつもり!?」
「医務室だ。幸子の手から指輪を外す!」
「無駄よ。無理矢理外したら妨害されている記憶は二度と戻らなくなるわ」
「――!!?」
「妨害されている記憶は、慎也君と幸子が恋人だった事……でしょ?」
ドクリ――と心臓が嫌な音を立てた。
「ええ。左手の中指に。ほら」
と端末を操作する。
モニター画面に映し出されていた幸子の寝姿。布団からはみ出た左手が拡大された。
確かに幸子の中指には見覚えのない指輪が煌めいている。
「慎也君が贈ったんじゃないとすると、誰から贈られたのかしら」
「自分で買ったんじゃないのか?」
「いや、それはないわね」
いつになくきっぱりと否定する唐之杜。
見知らぬ指輪も気にはなるが、現時点で一番気になることは――
「志恩、幸子の様子――変じゃなかったか?」
「いつも通りだったわよ」
「そうか…」
と灰皿に煙草を潰した。そんな狡噛を眺め唐之杜。
「幸子について気になる事でもあり?」
「……幸子の様子がおかしい。何処かよそよそしくて、まるで――」
狡噛は眉を潜めた。
「――まるで、俺との関係も忘れてしまったようだ」
そんな訳ないと一笑に伏されるかと思った。だが唐之杜は、ごく自然にあっけらかんとした口調で返す。
「あーそれ、指輪のせいじゃないの?」
「!……指輪!?」
訝しげに唐之杜を注目すると、彼女は煙草を灰皿に潰して椅子をくるりと回し、モニターに向き合った。つられて狡噛もモニター画面を見る。
「ちょ~っと気になって分析してみたのよね」
カタカタとキーボードを操作すると、幸子の指に嵌められたリングの映像が3D化される。
「そうしたらなんと、あ~ら不思議。妙な電波を発してるじゃない」
「電波…?」
「信号というべきかしら。脳に低周波を送って特定の記憶を思い出させないように妨害しているようね」
「――っ!」
バッとドアの方を向いた狡噛が足早に部屋を出ていこうとした。
「ちょっと慎也君!何処へ行くつもり!?」
「医務室だ。幸子の手から指輪を外す!」
「無駄よ。無理矢理外したら妨害されている記憶は二度と戻らなくなるわ」
「――!!?」
「妨害されている記憶は、慎也君と幸子が恋人だった事……でしょ?」
ドクリ――と心臓が嫌な音を立てた。