#30 隠された愛
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「はい、おしまい」
包帯をきゅっと結んだ唐之杜は そう言ってからくわえ煙草を手に持ち、フー…と長く煙を吐き出した。
公安局の医務室。現場から戻った幸子は、唐之杜から傷の手当てを受けていた。
「ありがとう、志恩さん」
「化膿してないようだし、すぐに痛みも取れるわよ。慎也君の適切な応急処置に感謝しなさいよ」
「うん、本当にそうだね」
頷いたあと、ちらりと唐之杜の様子を盗み見る。
おもいきって尋ねてみようか…。
「ねえ、志恩さん」
「なによ?」
「あの、あの…ね? 私と狡噛くんの関係って――」
「恋人同士でしょ。それがどうかした?」
「っ、う、ううん。何でもない。…なんにもないよ」
訝しげな唐之杜に耐えられず慌てて視線を外した。無意識にきゅっと握った膝上の手。その動作に反応して指輪はキラリと蛍光灯に反射する。
「幸子」
「な、なあに?」
「あんた素敵な指輪してるわね」
話が逸れて安堵する。
「シンプルで気に入ってるんだ」
「もしかして誰かからのプレゼントだったりして」
その問いに幸子は笑みで応えた。
医務室に刹那の静寂。唐之杜は椅子から立ち上がった。
「私はもう戻るけど、あんたはここで少し眠っていきなさい。久しぶりの現場で疲れたでしょ」
「うん、そうするね。ありがとう」
「この借りは出世して返してくれればいいわよ」
期待してるわ、と手をヒラヒラさせながら唐之杜は医務室を出ていった。
一人になると緊張が解けたのか、急に体が重くなった気がした。それにまだ腕の痛みもある。
幸子は好意に甘えてベッドに横になった。すぐに睡魔が襲ってくる。
沈みかける意識の淵で唐之杜の言葉が甦った。
『恋人同士でしょ。それがどうかした?』
恋人――。
次に浮かんだのはC拠点での狡噛の行動。
あれは確かに……確かに恋人のそれだった。
(私と狡噛くんが…恋人…)
必死に記憶を辿ろうとするが、意に反して意識はどんどん落ちていく。
あるいは彼ならば何か知っているのだろうか。
「……聖護………」
そして幸子の意識は完全に沈んだ。
包帯をきゅっと結んだ唐之杜は そう言ってからくわえ煙草を手に持ち、フー…と長く煙を吐き出した。
公安局の医務室。現場から戻った幸子は、唐之杜から傷の手当てを受けていた。
「ありがとう、志恩さん」
「化膿してないようだし、すぐに痛みも取れるわよ。慎也君の適切な応急処置に感謝しなさいよ」
「うん、本当にそうだね」
頷いたあと、ちらりと唐之杜の様子を盗み見る。
おもいきって尋ねてみようか…。
「ねえ、志恩さん」
「なによ?」
「あの、あの…ね? 私と狡噛くんの関係って――」
「恋人同士でしょ。それがどうかした?」
「っ、う、ううん。何でもない。…なんにもないよ」
訝しげな唐之杜に耐えられず慌てて視線を外した。無意識にきゅっと握った膝上の手。その動作に反応して指輪はキラリと蛍光灯に反射する。
「幸子」
「な、なあに?」
「あんた素敵な指輪してるわね」
話が逸れて安堵する。
「シンプルで気に入ってるんだ」
「もしかして誰かからのプレゼントだったりして」
その問いに幸子は笑みで応えた。
医務室に刹那の静寂。唐之杜は椅子から立ち上がった。
「私はもう戻るけど、あんたはここで少し眠っていきなさい。久しぶりの現場で疲れたでしょ」
「うん、そうするね。ありがとう」
「この借りは出世して返してくれればいいわよ」
期待してるわ、と手をヒラヒラさせながら唐之杜は医務室を出ていった。
一人になると緊張が解けたのか、急に体が重くなった気がした。それにまだ腕の痛みもある。
幸子は好意に甘えてベッドに横になった。すぐに睡魔が襲ってくる。
沈みかける意識の淵で唐之杜の言葉が甦った。
『恋人同士でしょ。それがどうかした?』
恋人――。
次に浮かんだのはC拠点での狡噛の行動。
あれは確かに……確かに恋人のそれだった。
(私と狡噛くんが…恋人…)
必死に記憶を辿ろうとするが、意に反して意識はどんどん落ちていく。
あるいは彼ならば何か知っているのだろうか。
「……聖護………」
そして幸子の意識は完全に沈んだ。