#29 交わる思惑
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次の瞬間、拳銃男の首筋からは噴水のように血飛沫があがっていた。
拳銃男は口をパクパクさせたまま ゆっくりと横に流れ、ドウッと鈍い音を立てて絶命した。
「な、なにが……?」
残党達も六合塚も、そして幸子自身もこの状況が理解できない。
まるで一瞬の間に見えない刃物で切りつけられてしまったようだ。ただひとつ確かなのは、拳銃男はもう二度と起きあがっては来ないという事だった。
「このアマがぁぁっ!」
怒りに我を忘れた男がナイフを滅茶苦茶に振り回す。ナイフは幸子の右腕、スーツを切り裂いた。
「うっ…」
思わず膝をついた。
切られた場所から赤が滲み出す。ドミネーターを構える腕に力が入らない。思ったより傷は深いようだ。
「(だめ!トリガーを引けない!!)――?!!」
「バラバラにしてやるぜ!」
キレたナイフ男は幸子を仕止める気で襲いかかってきた。
必死にドミネーターを構えるも 痛みで照準が定まらない。
「くたばれぇぇぇ!」
男が雄叫びをあげて突っ込んでくる。
その怒号に別の雄叫びが重なった。
「うおおおおっ!」
聞き覚えのある声は段々と近づいてくる。
声の主を確認しようとそちらを向こうとした時にはもう、ナイフ男は狡噛の拳に制裁されていた。
鍛えぬかれた強靭な肉体から繰り出された重いパンチは、ナイフ男の体を簡単に吹っ飛ばし、哀れナイフ男は朽ちかけた壁に叩きつけられ、そのまま白目を向いて気絶した。
「大丈夫か!?」
「っ……」
振り返った狡噛の顔があまりにも真に迫っており、幸子はキョトンとしながらもコクコクと頷いた。
その様子に狡噛は安堵の表情を見せたが、幸子のスーツが切れて血が滲んでいるのを知ると、一目散に近づいてきて己のシャツをびりりと破き応急処置を始めた。
「少し痛いだろうが我慢してくれ」
「う、うん。大丈夫…」
黙って処置を受けていると、狡噛が不思議そうな顔で幸子を見る。
「……どうした?」
「ううん。前にもさっきみたいな事があった気がして……」
「?…」
「リナ! 待って!」
六合塚の叫び声に我に返り顔を上げれば、壊れた窓から滝崎が身を踊らせた所だった。
どうやら狡噛の乱入に便乗して逃走したようだ。窓辺に走り寄った六合塚は悔しそうな表情を滲ませていた。
またも逃がしてしまった……。
拳銃男は口をパクパクさせたまま ゆっくりと横に流れ、ドウッと鈍い音を立てて絶命した。
「な、なにが……?」
残党達も六合塚も、そして幸子自身もこの状況が理解できない。
まるで一瞬の間に見えない刃物で切りつけられてしまったようだ。ただひとつ確かなのは、拳銃男はもう二度と起きあがっては来ないという事だった。
「このアマがぁぁっ!」
怒りに我を忘れた男がナイフを滅茶苦茶に振り回す。ナイフは幸子の右腕、スーツを切り裂いた。
「うっ…」
思わず膝をついた。
切られた場所から赤が滲み出す。ドミネーターを構える腕に力が入らない。思ったより傷は深いようだ。
「(だめ!トリガーを引けない!!)――?!!」
「バラバラにしてやるぜ!」
キレたナイフ男は幸子を仕止める気で襲いかかってきた。
必死にドミネーターを構えるも 痛みで照準が定まらない。
「くたばれぇぇぇ!」
男が雄叫びをあげて突っ込んでくる。
その怒号に別の雄叫びが重なった。
「うおおおおっ!」
聞き覚えのある声は段々と近づいてくる。
声の主を確認しようとそちらを向こうとした時にはもう、ナイフ男は狡噛の拳に制裁されていた。
鍛えぬかれた強靭な肉体から繰り出された重いパンチは、ナイフ男の体を簡単に吹っ飛ばし、哀れナイフ男は朽ちかけた壁に叩きつけられ、そのまま白目を向いて気絶した。
「大丈夫か!?」
「っ……」
振り返った狡噛の顔があまりにも真に迫っており、幸子はキョトンとしながらもコクコクと頷いた。
その様子に狡噛は安堵の表情を見せたが、幸子のスーツが切れて血が滲んでいるのを知ると、一目散に近づいてきて己のシャツをびりりと破き応急処置を始めた。
「少し痛いだろうが我慢してくれ」
「う、うん。大丈夫…」
黙って処置を受けていると、狡噛が不思議そうな顔で幸子を見る。
「……どうした?」
「ううん。前にもさっきみたいな事があった気がして……」
「?…」
「リナ! 待って!」
六合塚の叫び声に我に返り顔を上げれば、壊れた窓から滝崎が身を踊らせた所だった。
どうやら狡噛の乱入に便乗して逃走したようだ。窓辺に走り寄った六合塚は悔しそうな表情を滲ませていた。
またも逃がしてしまった……。