再びドミネーターの照準を滝崎に合わせる。
裁かれる危機を感じていないのか、余裕の笑みを浮かべる滝崎に違和感を覚えたその時――。
「っ、きゃ……っ!!」
不意に大きな手が背後から伸びてきて強い力で引き寄せられた。
「幸子っ!!!」
「おっと、動くなよ。この女の命が惜しければな」
幸子を拘束している残党の隣に立つ男が、銃口を突きつけながら六合塚を威嚇した。
滝崎に気を取られて背後からの侵入を許すとは、なんという不覚……！幸子は唇を噛みしめた。
「あはははは、形勢逆転みたいね！」
滝崎の狂った笑い声が辺りに響いた。
男達は滝崎の仲間…一係が制圧に乗り出した残党に他ならない。
「公安局の刑事…シビュラの犬か」
「どうすんだ、リナ。こいつら 一思いにやっちまうか？」
ナイフ男がナイフの腹をぺちぺちと幸子の頬に充てながらにやける。
リナは幸子を見て、それから身動きの取れない六合塚を見た。表情が歪む。
「その前にさぁ……その監視官、あんた達の好きにしていいわよ」
「な…っ！ リナッ?!!」
焦る六合塚の姿を視界の端に入れながら、滝崎は含みを持って男達に命ずる。
「弥生が随分ご執心みたいなのよねぇ、その女。情けない姿でも見れば目も覚めるでしょ」
「げへへ。いいのか？」
「据え膳食わねばなんとやら、だぜ」
ニヤニヤと下品に笑いながら男達は幸子の品定めを始めた。六合塚はそれが許せない。
「ふざけないで！ 幸子に手を出してみなさい。タダじゃおかないわよ!!」
守るのだ。幸子を。
狡噛でも他の誰でもない、自分の手で。
「リナ、いい加減にして！幸子に何かしたら絶対に許さない!!」
「っ………ムカつく…」
滝崎は突然顔をしかめた。
酷く冷たいまなざしを幸子に向ける。
嫉妬に駆られた、女の目。
「早く！その女を壊すのよ!!」
怒りに髪を逆立てながら滝崎が再度命じた。