#29 交わる思惑
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B拠点の制圧を完了した常守と狡噛は、パトカー前でドローンの作業を見守っていた。
「完全に出し抜かれましたね」
ドローンを見つめたまま常守が言った。眉を潜めて悔しそうだ。
B拠点は既に藻抜けの殻。残党は脱出した後だった。
「俺達の動きを察知して逃げ出した。何かあれば直ぐにでもここを捨てる準備をしていたようだな」
ふー…と宙に向け紫煙を吐き出し狡噛が応えた。
「逃げると言っても、逃げ場なんて限られますよね」
「この場合考えられるのは二ヶ所しかない」
「A拠点かC拠点…?! 他の班に連絡してみます!!」
ハッとした常守はパトカーへと消えた。
B拠点の残党がどちらかに合流していたら応援が必要だろうと践んだのだ。
狡噛は煙草を手に、証拠を探すドローンに視線を投げたまま。だが頭では別の事を考える。
槙島の行方。佐々山の仇。
己のやるべき仕事はまだ終わっていない。だが。
(幸子……)
今はただ、幸子をこの腕に抱きしめたい。
肺いっぱいに吸い込んだ煙を長く吐き、狡噛は煙草を潰して携帯灰皿に収めた。
パトカーに戻ると無線を切った常守が青い顔を向けてきた。
「どうした?」
「幸子さんの班と連絡がつかないんです…!!」
「なに!?」
心臓がドキリと嫌な音を立てた。
「宜野座さんとは連絡が取れて既に制圧に成功したという事だったんですが…」
「幸子からは応答がない」
「……はい」
A拠点の制圧。B拠点の空振り。導きだされた答えは最悪なもので。
「C拠点へ行くぞ!」
「は、はい!」
狡噛が素早く助手席に乗り込むと、常守は慌てて車を発進させた。
(幸子、六合塚――無事でいてくれ…!!)
ギリッと歯噛みした狡噛の額から一筋汗が流れた。
「完全に出し抜かれましたね」
ドローンを見つめたまま常守が言った。眉を潜めて悔しそうだ。
B拠点は既に藻抜けの殻。残党は脱出した後だった。
「俺達の動きを察知して逃げ出した。何かあれば直ぐにでもここを捨てる準備をしていたようだな」
ふー…と宙に向け紫煙を吐き出し狡噛が応えた。
「逃げると言っても、逃げ場なんて限られますよね」
「この場合考えられるのは二ヶ所しかない」
「A拠点かC拠点…?! 他の班に連絡してみます!!」
ハッとした常守はパトカーへと消えた。
B拠点の残党がどちらかに合流していたら応援が必要だろうと践んだのだ。
狡噛は煙草を手に、証拠を探すドローンに視線を投げたまま。だが頭では別の事を考える。
槙島の行方。佐々山の仇。
己のやるべき仕事はまだ終わっていない。だが。
(幸子……)
今はただ、幸子をこの腕に抱きしめたい。
肺いっぱいに吸い込んだ煙を長く吐き、狡噛は煙草を潰して携帯灰皿に収めた。
パトカーに戻ると無線を切った常守が青い顔を向けてきた。
「どうした?」
「幸子さんの班と連絡がつかないんです…!!」
「なに!?」
心臓がドキリと嫌な音を立てた。
「宜野座さんとは連絡が取れて既に制圧に成功したという事だったんですが…」
「幸子からは応答がない」
「……はい」
A拠点の制圧。B拠点の空振り。導きだされた答えは最悪なもので。
「C拠点へ行くぞ!」
「は、はい!」
狡噛が素早く助手席に乗り込むと、常守は慌てて車を発進させた。
(幸子、六合塚――無事でいてくれ…!!)
ギリッと歯噛みした狡噛の額から一筋汗が流れた。