#28 その先にある感情
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常守・狡噛班はパトカーに乗りB拠点へ出動した。
車内は妙な静寂に包まれている。その静寂を最初に破ったのは常守だった。
「意外でしたね。幸子さんが新しい監視官だなんて」
「幸子のサイコパスは元々あんたのそれ以上に優秀だ。不思議じゃないさ。…むしろ執行官でいたのがおかしかったんだ」
サイドガラスから外の景色を眺めたままで狡噛が応える。
確かに狡噛の言う事は最もだ。最もではあるが、おかしい点もある。
「でも幸子さんは、自ら執行官に身を置いていたんですよ。その理由は狡噛さんが一番知っているでしょう?」
「……」
「ここにきてわざわざ監視官として現場復帰する意図が掴めません」
狡噛は黙ってジャケットのポケットから煙草を取り出した。一本取り出そうとして常守に車内は禁煙だと注意され、またポケットに戻した。
「俺はずっと、幸子がまだ槙島の元にいるんだと思っていた」
狡噛の脳裏にあの夜の着信が甦る。
槙島は言っていた。
幸子の事は心配いらない、と。
「槙島の元にいると思われた幸子さんが監視官として一係に復帰。なんだか妙な話ですね」
「妙と言えばあいつの態度だ。わざと事務的に徹し、俺達に対して壁を作っている」
「狡噛さんに対してもよそよそしかったですよね。私てっきり幸子さんは狡噛さんとチームを組むんだと思ってました」
「公私混同をしないのが俺達のルールだからな」
それにしても――
狡噛はあの時の状況を思い浮かべた。
チーム分けもだが視線すら合わせなかった、幸子は。
やはり何かがおかしい。
「狡噛さん、到着します」
常守の緊張したような声がして、間もなくパトカーが停まった。
フロントガラスに古びた建物が現れる。現在は廃校になって使われていない校舎のようだ。
疑問はたくさんある。だがまずは、
「目の前の仕事に集中するぞ。シビュラが完全復旧していない今、ドミネーターも完璧じゃない。気を抜くとこっちの身が危険に曝される」
「はい!」
狡噛の忠告にドミネーターを構えた常守が真剣な顔で頷いた。
車内は妙な静寂に包まれている。その静寂を最初に破ったのは常守だった。
「意外でしたね。幸子さんが新しい監視官だなんて」
「幸子のサイコパスは元々あんたのそれ以上に優秀だ。不思議じゃないさ。…むしろ執行官でいたのがおかしかったんだ」
サイドガラスから外の景色を眺めたままで狡噛が応える。
確かに狡噛の言う事は最もだ。最もではあるが、おかしい点もある。
「でも幸子さんは、自ら執行官に身を置いていたんですよ。その理由は狡噛さんが一番知っているでしょう?」
「……」
「ここにきてわざわざ監視官として現場復帰する意図が掴めません」
狡噛は黙ってジャケットのポケットから煙草を取り出した。一本取り出そうとして常守に車内は禁煙だと注意され、またポケットに戻した。
「俺はずっと、幸子がまだ槙島の元にいるんだと思っていた」
狡噛の脳裏にあの夜の着信が甦る。
槙島は言っていた。
幸子の事は心配いらない、と。
「槙島の元にいると思われた幸子さんが監視官として一係に復帰。なんだか妙な話ですね」
「妙と言えばあいつの態度だ。わざと事務的に徹し、俺達に対して壁を作っている」
「狡噛さんに対してもよそよそしかったですよね。私てっきり幸子さんは狡噛さんとチームを組むんだと思ってました」
「公私混同をしないのが俺達のルールだからな」
それにしても――
狡噛はあの時の状況を思い浮かべた。
チーム分けもだが視線すら合わせなかった、幸子は。
やはり何かがおかしい。
「狡噛さん、到着します」
常守の緊張したような声がして、間もなくパトカーが停まった。
フロントガラスに古びた建物が現れる。現在は廃校になって使われていない校舎のようだ。
疑問はたくさんある。だがまずは、
「目の前の仕事に集中するぞ。シビュラが完全復旧していない今、ドミネーターも完璧じゃない。気を抜くとこっちの身が危険に曝される」
「はい!」
狡噛の忠告にドミネーターを構えた常守が真剣な顔で頷いた。