#24 暴動の都市
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公安局に程近い、超高層ビルの展望台カフェ。
暴動のせいか、客の姿はほとんどない。唯一見張らしの良い窓際の席に客が一組いた。
ソワソワしたように瓶のジンジャーエールを飲んでいる中年の男に、マドレーヌを口に運んでいた男――槙島が手を休め話しかけた。
「落ち着かないかい?」
「そりゃ、ね。不安にもなりますよ。果たしてここから先に何が待ってるのか」
「君のそういう普通な所、すごくいいと思う。僕も君もごく普通で、本質的にはありきたりな人間だ」
中年男…チェ・グソンは苦笑いを浮かべた。
「あなたと一緒に歩くのが危ない橋だって自覚はあった」
「でも引き返す気にはなれなかった?」
「だって変ですもん。シビュラ・システムって。あんな訳解んないものに生活の全てを預けて平気な連中の方がどうかしてる」
「僕にとっては生まれ育った街だ。切実な問題だよ」
そう応えてから槙島は、隣の席を見た。それからまたチェに向き直り質問する。
「君はこの5年間、シビュラシステムの実態を掴もうとしてきたんだったね」
「そうなんですよ。長い年月をかけて調べあげて…そこでようやく気づいたんです」
チェの独自の調査で判明したこと。それはシビュラを巡る全ての通信が、ある中継点を必ず経由していること。
「危険を冒してまで通信を一ヵ所に集約している意味が分からない。もう確かめなきゃ気が済まなくなりますよ。シビュラシステムの正体ってやつを」
「サイマティックスキャンで収拾されたあらゆるデータの中継点――厚生省ノナタワー」
槙島は笑みを浮かべたままでまた隣席の女を見た。女は何処か強張った表情でで槙島を見ていた。
「緊張しているのかい?」
女が俯いた。
そんな彼女の不安を取り去るように、槙島はその頬に手を伸ばす。
「心配いらないよ、幸子。暴き出すだけだ。偉大なる神託の巫女のはらわたを」
幸子の頬を優しく撫でながら、槙島が薄く笑った。
暴動のせいか、客の姿はほとんどない。唯一見張らしの良い窓際の席に客が一組いた。
ソワソワしたように瓶のジンジャーエールを飲んでいる中年の男に、マドレーヌを口に運んでいた男――槙島が手を休め話しかけた。
「落ち着かないかい?」
「そりゃ、ね。不安にもなりますよ。果たしてここから先に何が待ってるのか」
「君のそういう普通な所、すごくいいと思う。僕も君もごく普通で、本質的にはありきたりな人間だ」
中年男…チェ・グソンは苦笑いを浮かべた。
「あなたと一緒に歩くのが危ない橋だって自覚はあった」
「でも引き返す気にはなれなかった?」
「だって変ですもん。シビュラ・システムって。あんな訳解んないものに生活の全てを預けて平気な連中の方がどうかしてる」
「僕にとっては生まれ育った街だ。切実な問題だよ」
そう応えてから槙島は、隣の席を見た。それからまたチェに向き直り質問する。
「君はこの5年間、シビュラシステムの実態を掴もうとしてきたんだったね」
「そうなんですよ。長い年月をかけて調べあげて…そこでようやく気づいたんです」
チェの独自の調査で判明したこと。それはシビュラを巡る全ての通信が、ある中継点を必ず経由していること。
「危険を冒してまで通信を一ヵ所に集約している意味が分からない。もう確かめなきゃ気が済まなくなりますよ。シビュラシステムの正体ってやつを」
「サイマティックスキャンで収拾されたあらゆるデータの中継点――厚生省ノナタワー」
槙島は笑みを浮かべたままでまた隣席の女を見た。女は何処か強張った表情でで槙島を見ていた。
「緊張しているのかい?」
女が俯いた。
そんな彼女の不安を取り去るように、槙島はその頬に手を伸ばす。
「心配いらないよ、幸子。暴き出すだけだ。偉大なる神託の巫女のはらわたを」
幸子の頬を優しく撫でながら、槙島が薄く笑った。