#23 過去からの深淵
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いつもより遅い時間に現れた槙島は、ベッドサイドに近寄ってくるでもなく、ドア付近で腰に手を充て立ったまま意味深な笑みを浮かべ幸子を眺めていた。
「犯罪係数21。だいぶ安定してるようだね」
「……おかげさまで」
モニタ画面に表示されている犯罪係数をちらりと見やり、しかしすぐに幸子へと視線を戻した。
「今日は君の為にゲストを用意したよ」
まるで悪戯をする前の子供のようなそれで槙島は言った。
彼が何を考えているのか読めない。幸子は眉を潜めた。
「ゲスト…?」
「うん。君もよく知る人物だよ」
よく知る人物…?
まさか家族や友人が槙島に捕らえられ、ここに連れて来られたとでもいうのか。
座っているベッドのシーツを無意識にぎゅっと握りしめながら、幸子は二の句を告げずただ槙島を見つめていた。
ピッ…と音を立てて計測された犯罪係数は32。確認した槙島の口角が引き上がった。
「気になるかい? この扉の向こうにいるのが誰なのか」
「……っ」
彼女の心理を見透かしたように、じっくりと間を持たせて問いかける。
「……他の人を巻き込むのはやめて」
噛みしめていた唇を開き、低く言う。
幸子は今、気が気でないのだろう。
己の家族が、友人が、知人が、ここに連れて来られる恐怖に駆られている。
己より他を考える気質だとこの数日でよく解った。だからこれからおこなう『実験』は、その確証を持ち、彼女のサイコパスの謎を解き明かす為のもの。
「巻き込まれたのは君の方だ」
「えっ…!?」
「――"昴大吾"」
薄い笑みを湛えた槙島の唇がそう動いた瞬間、幸子の肩がびくりと震えた。
「犯罪係数21。だいぶ安定してるようだね」
「……おかげさまで」
モニタ画面に表示されている犯罪係数をちらりと見やり、しかしすぐに幸子へと視線を戻した。
「今日は君の為にゲストを用意したよ」
まるで悪戯をする前の子供のようなそれで槙島は言った。
彼が何を考えているのか読めない。幸子は眉を潜めた。
「ゲスト…?」
「うん。君もよく知る人物だよ」
よく知る人物…?
まさか家族や友人が槙島に捕らえられ、ここに連れて来られたとでもいうのか。
座っているベッドのシーツを無意識にぎゅっと握りしめながら、幸子は二の句を告げずただ槙島を見つめていた。
ピッ…と音を立てて計測された犯罪係数は32。確認した槙島の口角が引き上がった。
「気になるかい? この扉の向こうにいるのが誰なのか」
「……っ」
彼女の心理を見透かしたように、じっくりと間を持たせて問いかける。
「……他の人を巻き込むのはやめて」
噛みしめていた唇を開き、低く言う。
幸子は今、気が気でないのだろう。
己の家族が、友人が、知人が、ここに連れて来られる恐怖に駆られている。
己より他を考える気質だとこの数日でよく解った。だからこれからおこなう『実験』は、その確証を持ち、彼女のサイコパスの謎を解き明かす為のもの。
「巻き込まれたのは君の方だ」
「えっ…!?」
「――"昴大吾"」
薄い笑みを湛えた槙島の唇がそう動いた瞬間、幸子の肩がびくりと震えた。