#21 槙島の一計
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目を覚ますと見慣れない天井が飛び込んできた。
「私……」
頭がボーッとしていてうまく回らない。
体に感じる布地の感触で、自分がベッドに横たわっていると分かった。
「ここは……?」
しん…と静まり返った室内には、ピッ……ピッ……という小さな電子音だけが響いていた。
視線だけを動かして辺りの様子を伺ってみる。
白系統で纏められた簡素で殺風景な部屋は、薄暗さも手伝い闇の中にいるような錯覚を覚えさせた。
(智己おじさんに慎也を頼んで朱ちゃんを追いかけて……それから………!!)
急にぼんやりしていた脳が覚醒し、意識がはっきりする。
(朱ちゃんは!? 船原さんは…!? 私は……どうなったの!?)
ガバッと勢いよく状態を起こした所でタイミング良くドアが開いた。
隣室から洩れた光が眩しく、幸子は目の前に手をかざして光を遮るように入口を見る。
「やあ、目が覚めたかい」
「槙島…聖護…」
ドアから漏れる光を背にした槙島は、闇の中に浮かぶ白い光のようにも見えた。
「覚えてくれたみたいだね、僕の名前」
ふいに部屋が明るくなる。槙島が電気のスイッチを入れたのだ。
ベッドに座ったまま槙島を牽制していると、彼は笑みを湛えて近づいてきた。そのまま幸子を見つめていた視線が逸れ、奥で電子音を立てているモニタへと注がれていく。
「どうやら通常値に戻ったようだ」
「えっ…?」
「君のサイコパスだよ」
つられるようにして視線をモニタへ。
画面には『犯罪係数:29 アイリス』の表示。
ああ、確かにこの色相は自分のもので、犯罪係数も少し高いがほぼ標準値だ。やけに冷静に思う。
「これね、君の腕に装着されているサイコパス測定器と連動しているんだよ。君のサイコパスの変動をそれで逐一計測させてもらってるんだ」
槙島が指差す先――幸子の左手首には銀の腕輪がつけられていた。
「色相が濁らない体質なのに随分とサイコパスに執着してるみたいね」
嫌みを込めて言ってやれば、槙島は笑みを浮かべたまま ふるふると首を横に振った。
「違うな。これは実験だよ。君という人物をよく知る為のね。公安局刑事課 特別執行官木梨幸子」
「私……」
頭がボーッとしていてうまく回らない。
体に感じる布地の感触で、自分がベッドに横たわっていると分かった。
「ここは……?」
しん…と静まり返った室内には、ピッ……ピッ……という小さな電子音だけが響いていた。
視線だけを動かして辺りの様子を伺ってみる。
白系統で纏められた簡素で殺風景な部屋は、薄暗さも手伝い闇の中にいるような錯覚を覚えさせた。
(智己おじさんに慎也を頼んで朱ちゃんを追いかけて……それから………!!)
急にぼんやりしていた脳が覚醒し、意識がはっきりする。
(朱ちゃんは!? 船原さんは…!? 私は……どうなったの!?)
ガバッと勢いよく状態を起こした所でタイミング良くドアが開いた。
隣室から洩れた光が眩しく、幸子は目の前に手をかざして光を遮るように入口を見る。
「やあ、目が覚めたかい」
「槙島…聖護…」
ドアから漏れる光を背にした槙島は、闇の中に浮かぶ白い光のようにも見えた。
「覚えてくれたみたいだね、僕の名前」
ふいに部屋が明るくなる。槙島が電気のスイッチを入れたのだ。
ベッドに座ったまま槙島を牽制していると、彼は笑みを湛えて近づいてきた。そのまま幸子を見つめていた視線が逸れ、奥で電子音を立てているモニタへと注がれていく。
「どうやら通常値に戻ったようだ」
「えっ…?」
「君のサイコパスだよ」
つられるようにして視線をモニタへ。
画面には『犯罪係数:29 アイリス』の表示。
ああ、確かにこの色相は自分のもので、犯罪係数も少し高いがほぼ標準値だ。やけに冷静に思う。
「これね、君の腕に装着されているサイコパス測定器と連動しているんだよ。君のサイコパスの変動をそれで逐一計測させてもらってるんだ」
槙島が指差す先――幸子の左手首には銀の腕輪がつけられていた。
「色相が濁らない体質なのに随分とサイコパスに執着してるみたいね」
嫌みを込めて言ってやれば、槙島は笑みを浮かべたまま ふるふると首を横に振った。
「違うな。これは実験だよ。君という人物をよく知る為のね。公安局刑事課 特別執行官木梨幸子」