#20 闇の奥
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公安局内 執行官用入院施設。
可変型ベッドを背もたれの形にして本を読む狡噛の見舞いに常守が訪れた。
一昨日葬儀を終えたばかりの常守は、しかし思ったよりは元気そうに見える。
「すみません。槙島聖護を取り逃がしました」
予想通りの常守の言葉。
狡噛はそんな事を考えながら読んでいた本を閉じた。
「あんたの責任じゃない。おかしくなったのはドミネーターだ」
あれだけの犯罪を犯してきた者を前に全く反応しなかったドミネーター。その事実はシビュラ社会を揺るがす大事件となり得る。
「何かからくりがあるのかもしれないな。ドミネーターに頼ってきた俺達をだしぬくような秘密が」
そんな狡噛の様子に常守は少しだけ微笑む。
「いつも通りですね」
「あんたも思ったより立ち直りが早い」
そう見せているだけかもしれないが。
「落ち込んでばかりじゃいられません。槙島聖護を捕まえないと。友達の仇です……。私にとっても……狡噛さんにとっても」
常守は狡噛と同じ境遇になってしまった事に、奇妙な連帯感を感じていた。
「それに…」
と見舞いにと持参した切り花から狡噛に目を移す。
「幸子さんを助けだしましょう。槙島の手から」
「幸子…」
狡噛の眉間にシワが寄り、表情が険しくなった。
地下から運び出され常守から幸子がさらわれた事実を聞かされた後、征陸に激昂していた宜野座は救急車に乗る直前の狡噛に詰め寄ってきた。
「なぜ…なぜお前がいて幸子を守れなかった!?」
宜野座の目には怒りとも悲しみともつかない憤りがあった。
それが八つ当たりであると宜野座自身も気づいているはずだ。それでも彼は自分の感情を抑える事が出来ず、狡噛もまたそれを受け止めた。
「ギノ…」
「…っ」
「幸子は必ず助ける」
狡噛が苦しそうな声を絞り出す。
一足遅れてその場に近づいてきた征陸が、宜野座の肩をぽんと叩いた。
「伸元…もういいだろ」
はあはあと肩で大きく息をしていた宜野座は、ぐっと口を真一文字に結ぶと、それ以上もう責めてこなかった。
可変型ベッドを背もたれの形にして本を読む狡噛の見舞いに常守が訪れた。
一昨日葬儀を終えたばかりの常守は、しかし思ったよりは元気そうに見える。
「すみません。槙島聖護を取り逃がしました」
予想通りの常守の言葉。
狡噛はそんな事を考えながら読んでいた本を閉じた。
「あんたの責任じゃない。おかしくなったのはドミネーターだ」
あれだけの犯罪を犯してきた者を前に全く反応しなかったドミネーター。その事実はシビュラ社会を揺るがす大事件となり得る。
「何かからくりがあるのかもしれないな。ドミネーターに頼ってきた俺達をだしぬくような秘密が」
そんな狡噛の様子に常守は少しだけ微笑む。
「いつも通りですね」
「あんたも思ったより立ち直りが早い」
そう見せているだけかもしれないが。
「落ち込んでばかりじゃいられません。槙島聖護を捕まえないと。友達の仇です……。私にとっても……狡噛さんにとっても」
常守は狡噛と同じ境遇になってしまった事に、奇妙な連帯感を感じていた。
「それに…」
と見舞いにと持参した切り花から狡噛に目を移す。
「幸子さんを助けだしましょう。槙島の手から」
「幸子…」
狡噛の眉間にシワが寄り、表情が険しくなった。
地下から運び出され常守から幸子がさらわれた事実を聞かされた後、征陸に激昂していた宜野座は救急車に乗る直前の狡噛に詰め寄ってきた。
「なぜ…なぜお前がいて幸子を守れなかった!?」
宜野座の目には怒りとも悲しみともつかない憤りがあった。
それが八つ当たりであると宜野座自身も気づいているはずだ。それでも彼は自分の感情を抑える事が出来ず、狡噛もまたそれを受け止めた。
「ギノ…」
「…っ」
「幸子は必ず助ける」
狡噛が苦しそうな声を絞り出す。
一足遅れてその場に近づいてきた征陸が、宜野座の肩をぽんと叩いた。
「伸元…もういいだろ」
はあはあと肩で大きく息をしていた宜野座は、ぐっと口を真一文字に結ぶと、それ以上もう責めてこなかった。