#19 空色の温もり
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「――い、弥生――」
誰かが己の名前を呼んでいる。
聞き覚えのある声の後ろで流れているのは――捨てたはずの音楽。
決別したと思っていても、それは懐かしく六合塚の耳に響いた。
「弥生!」
「――!!」
パチッと目を開けると視界いっぱいに唐之杜の顔が広がった。
「ここ……」
見渡すと見慣れた研究室ラボの、座りなれたソファーの上だと思い出す。
「私、寝てた?」
「ええ。それもぐっすりとね」
唐之杜が加えた煙草の隙間から煙を吐き出した。いつも通りラボを訪れ いつの間にか寝入ってしまったらしい。
ソファーの背もたれに沈めた上体を起こそうとして、膝の上にかけられたブランケットに気づいた。
「これ、志恩が?」
「そう。…と言いたい所だけど違うわ。幸子よ」
「幸子…?」
「弥生がよくそこで居眠りしてるのを見兼ねた幸子からのプレゼント」
ウインクした唐之杜から かけられたブランケットへと視線を移す。ふわふわした肌触りの良い空色のブランケットだ。
「ホントよく弥生のこと気にかけてるのよねー…幸子って」
「そう……かしら?」
と首を捻る。
「……狡噛を気にかけてる印象しかない」
「あはは、それはそうよ。慎也君は幸子の恋人なんだから」
恋人…か。
その言葉にも今は過剰反応しなくなった。唐之杜がいてくれるおかげだろう。
「ねえ、弥生。あんた慎也君に嫉妬してるみたいだけど、慎也君から言わせればあんたこそ嫉妬対象かもしれないわよ?」
そんな六合塚の気持ちを知ってか知らずか、唐之杜は灰皿に煙草を潰す。
「ちょうど弥生がここに来たくらいの時だったかな」
「?……」
「幸子ね、よくこのラボに来てたの」
初めて聞く話に六合塚は瞬時に引き込まれた。
「何でだと思う?」
「……さあ」
「あんたの事を話しに来てたのよ、弥生」
誰かが己の名前を呼んでいる。
聞き覚えのある声の後ろで流れているのは――捨てたはずの音楽。
決別したと思っていても、それは懐かしく六合塚の耳に響いた。
「弥生!」
「――!!」
パチッと目を開けると視界いっぱいに唐之杜の顔が広がった。
「ここ……」
見渡すと見慣れた研究室ラボの、座りなれたソファーの上だと思い出す。
「私、寝てた?」
「ええ。それもぐっすりとね」
唐之杜が加えた煙草の隙間から煙を吐き出した。いつも通りラボを訪れ いつの間にか寝入ってしまったらしい。
ソファーの背もたれに沈めた上体を起こそうとして、膝の上にかけられたブランケットに気づいた。
「これ、志恩が?」
「そう。…と言いたい所だけど違うわ。幸子よ」
「幸子…?」
「弥生がよくそこで居眠りしてるのを見兼ねた幸子からのプレゼント」
ウインクした唐之杜から かけられたブランケットへと視線を移す。ふわふわした肌触りの良い空色のブランケットだ。
「ホントよく弥生のこと気にかけてるのよねー…幸子って」
「そう……かしら?」
と首を捻る。
「……狡噛を気にかけてる印象しかない」
「あはは、それはそうよ。慎也君は幸子の恋人なんだから」
恋人…か。
その言葉にも今は過剰反応しなくなった。唐之杜がいてくれるおかげだろう。
「ねえ、弥生。あんた慎也君に嫉妬してるみたいだけど、慎也君から言わせればあんたこそ嫉妬対象かもしれないわよ?」
そんな六合塚の気持ちを知ってか知らずか、唐之杜は灰皿に煙草を潰す。
「ちょうど弥生がここに来たくらいの時だったかな」
「?……」
「幸子ね、よくこのラボに来てたの」
初めて聞く話に六合塚は瞬時に引き込まれた。
「何でだと思う?」
「……さあ」
「あんたの事を話しに来てたのよ、弥生」