#18 解放と拘束
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『犯罪係数181 刑事課登録特別執行官 木梨幸子。任意執行対象です』
脳と視覚に訴えてきたドミネーターからの情報に常守は目と耳を疑う。
ドミネーターを持つ手がぶれ、いつの間にか幸子に照準があっていたのだ。
それにしても――幸子の犯罪係数の跳ね上がり方は異常だ。数秒の内に犯罪係数が100以上も上がるなど聞いた事がない。
いや、そうだとしてもおかしいではないか。
「裁かれるべきなのは幸子さんじゃない!!」
「?……」
興奮した口調で叫んだ常守をちらりと見た槙島であったが、次にはもう幸子に視線をあわせていた。
桜霜学園にいた時は見る機会のなかった険しくも苦しげな表情で、幸子は銃口を向けてくる。
「……君には撃てない」
「撃つ!!」
人殺しは罪だ。どんな事情があっても許される事ではない。
だがそれ以上に、もう狡噛に 苦しんでほしくない。
断ち切りたい。狡噛を。
全ての呪縛から。
幸子はトリガーに手をかけた。
「!!!」
次の瞬間、槙島は目の前にいた。
背後に派手な血飛沫をあげる船原の姿がスローモーションで映り込む。
手にしていた拳銃がいとも簡単に弾かれ、弧を描いて床に落ちた。
「っ、あ……!!」
同時にうなじ辺りに どんっと鈍い衝撃を受ける。
「やはり君は素晴らしい。木梨幸子」
不敵に笑う槙島の声を最後に、幸子の意識は闇へと沈んでいった。
―――――‥‥
担架に乗せられた狡噛は、救護ドローンに運ばれ地下から外に出た。輸血と適切な措置により、意識は幾分かはっきりしてきていた。
「なぜ一人で行かせた!?」
宜野座の怒声が耳に入る。
僅かに首を動かして見れば、宜野座が物凄い剣幕で征陸に詰めよっていた。
「もしもの事があったら――!!」
会話は途切れ途切れだが、どうやら一方的に怒りをぶつける宜野座を征陸が宥めているようだ。何かあったのだろうか。
運ばれながら考えていると、救急車の傍に置かれた椅子に座った常守が項垂れたまま何事か呟いている。
「……私がゆきを見殺しにした……」
そうか。助ける事が出来なかったのか…。
自由に動く手のひらで彼女の手をポンと叩いてやると、常守はハッと顔をあげ大粒の涙を零した。
「何があった?」
「……あの男と会いました。名前は槙島聖護」
槙島……聖護……。
「槙島にはドミネーターがききません」
「なに!?」
「それだけじゃありません」
しゃくりあげた常守が濡れた瞳で狡噛を見た。
「奴は……幸子さんを連れ去りました」
銃弾で貫かれるより強い衝撃が狡噛の全身を駆け巡った。
脳と視覚に訴えてきたドミネーターからの情報に常守は目と耳を疑う。
ドミネーターを持つ手がぶれ、いつの間にか幸子に照準があっていたのだ。
それにしても――幸子の犯罪係数の跳ね上がり方は異常だ。数秒の内に犯罪係数が100以上も上がるなど聞いた事がない。
いや、そうだとしてもおかしいではないか。
「裁かれるべきなのは幸子さんじゃない!!」
「?……」
興奮した口調で叫んだ常守をちらりと見た槙島であったが、次にはもう幸子に視線をあわせていた。
桜霜学園にいた時は見る機会のなかった険しくも苦しげな表情で、幸子は銃口を向けてくる。
「……君には撃てない」
「撃つ!!」
人殺しは罪だ。どんな事情があっても許される事ではない。
だがそれ以上に、もう狡噛に 苦しんでほしくない。
断ち切りたい。狡噛を。
全ての呪縛から。
幸子はトリガーに手をかけた。
「!!!」
次の瞬間、槙島は目の前にいた。
背後に派手な血飛沫をあげる船原の姿がスローモーションで映り込む。
手にしていた拳銃がいとも簡単に弾かれ、弧を描いて床に落ちた。
「っ、あ……!!」
同時にうなじ辺りに どんっと鈍い衝撃を受ける。
「やはり君は素晴らしい。木梨幸子」
不敵に笑う槙島の声を最後に、幸子の意識は闇へと沈んでいった。
―――――‥‥
担架に乗せられた狡噛は、救護ドローンに運ばれ地下から外に出た。輸血と適切な措置により、意識は幾分かはっきりしてきていた。
「なぜ一人で行かせた!?」
宜野座の怒声が耳に入る。
僅かに首を動かして見れば、宜野座が物凄い剣幕で征陸に詰めよっていた。
「もしもの事があったら――!!」
会話は途切れ途切れだが、どうやら一方的に怒りをぶつける宜野座を征陸が宥めているようだ。何かあったのだろうか。
運ばれながら考えていると、救急車の傍に置かれた椅子に座った常守が項垂れたまま何事か呟いている。
「……私がゆきを見殺しにした……」
そうか。助ける事が出来なかったのか…。
自由に動く手のひらで彼女の手をポンと叩いてやると、常守はハッと顔をあげ大粒の涙を零した。
「何があった?」
「……あの男と会いました。名前は槙島聖護」
槙島……聖護……。
「槙島にはドミネーターがききません」
「なに!?」
「それだけじゃありません」
しゃくりあげた常守が濡れた瞳で狡噛を見た。
「奴は……幸子さんを連れ去りました」
銃弾で貫かれるより強い衝撃が狡噛の全身を駆け巡った。