#16 宜野座の激昂
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宜野座と幸子は屋上にいた。
空を眺める内に宜野座は幾分か落ち着いたようだ。様子を伺いながら幸子は背中腰に声をかける。
「…伸元が朱ちゃんを心配する気持ちは解るけど……あれじゃ伸元が誤解されちゃうよ」
「……誤解したければすればいいんだ」
少し拗ねたような態度は、彼が落ち着きを取り戻し始めている証拠。幸子は肩を竦め、宜野座の隣に移動した。
「伸元が良くても私が嫌なのっ」
「っ!!?」
きょとんとして幸子を見つめる宜野座に、彼女は悪戯っぽい笑みを返した。
するとそれを合図にしたかのように宜野座はポツリポツリと本音を話す。
「許せなかったんだ。健康なサイコパスを持ちながら 自ら濁らせようとしている常守も、潜在犯に引き込もうとしている狡噛も」
それは実の父親が潜在犯である宜野座だからこそ思いやれるナイーブな部分。
不器用だが彼なりに精一杯後輩と、彼女を取り巻く人々を案じているのだ。それを理解した上で幸子は口を開いた。
「朱ちゃんは ちゃんと自分のサイコパスを管理できる。私達が思うよりずっと大人だよ。それに…慎也は彼女を潜在犯にしようなんて 少しも思ってない。伸元も分かってるでしょ?」
宜野座は答えなかった。
代わりに 手すりに両腕を預けたまま疑問を投げかける。
「なぜそこまであいつを信じていられるんだ?」
「……慎也が私を信じてくれているから」
当然のように答えると、宜野座は「……そうか」と少しだけ冷たく言った。
その態度が置いてけぼりにされた子供のようで、幸子はクスリと笑った。
「もちろん…伸元の事も信じてるよ」
「……!」
宜野座は意外な顔をして幸子を見た。
「だって伸元は私を信じてくれてるでしょ?」
「………。幸子」
またしても問いには答えなかったが、代わりに宜野座は静かに幸子の名前を呼んだ。
「久しぶりだな」
「ん…?」
「名前で呼びあうのは」
穏やかな宜野座の声音と表情に、幸子の気持ちも温かくなる。
「うん、そうだね」
「俺達はこれからも変わらないでいられるのか…」
「例え状況が変わったとしても、私達は何があっても変わらないよ」
笑顔で頷けば、宜野座もまた少し照れたように小さく笑んだ。
監視官と執行官に役職が分かれてからずっと感じていた宜野座とのへだてりが、崩れ去った音がした。
空を眺める内に宜野座は幾分か落ち着いたようだ。様子を伺いながら幸子は背中腰に声をかける。
「…伸元が朱ちゃんを心配する気持ちは解るけど……あれじゃ伸元が誤解されちゃうよ」
「……誤解したければすればいいんだ」
少し拗ねたような態度は、彼が落ち着きを取り戻し始めている証拠。幸子は肩を竦め、宜野座の隣に移動した。
「伸元が良くても私が嫌なのっ」
「っ!!?」
きょとんとして幸子を見つめる宜野座に、彼女は悪戯っぽい笑みを返した。
するとそれを合図にしたかのように宜野座はポツリポツリと本音を話す。
「許せなかったんだ。健康なサイコパスを持ちながら 自ら濁らせようとしている常守も、潜在犯に引き込もうとしている狡噛も」
それは実の父親が潜在犯である宜野座だからこそ思いやれるナイーブな部分。
不器用だが彼なりに精一杯後輩と、彼女を取り巻く人々を案じているのだ。それを理解した上で幸子は口を開いた。
「朱ちゃんは ちゃんと自分のサイコパスを管理できる。私達が思うよりずっと大人だよ。それに…慎也は彼女を潜在犯にしようなんて 少しも思ってない。伸元も分かってるでしょ?」
宜野座は答えなかった。
代わりに 手すりに両腕を預けたまま疑問を投げかける。
「なぜそこまであいつを信じていられるんだ?」
「……慎也が私を信じてくれているから」
当然のように答えると、宜野座は「……そうか」と少しだけ冷たく言った。
その態度が置いてけぼりにされた子供のようで、幸子はクスリと笑った。
「もちろん…伸元の事も信じてるよ」
「……!」
宜野座は意外な顔をして幸子を見た。
「だって伸元は私を信じてくれてるでしょ?」
「………。幸子」
またしても問いには答えなかったが、代わりに宜野座は静かに幸子の名前を呼んだ。
「久しぶりだな」
「ん…?」
「名前で呼びあうのは」
穏やかな宜野座の声音と表情に、幸子の気持ちも温かくなる。
「うん、そうだね」
「俺達はこれからも変わらないでいられるのか…」
「例え状況が変わったとしても、私達は何があっても変わらないよ」
笑顔で頷けば、宜野座もまた少し照れたように小さく笑んだ。
監視官と執行官に役職が分かれてからずっと感じていた宜野座とのへだてりが、崩れ去った音がした。