#03 決断の波紋
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当直明け。征陸と2人、勤務中に扱った事件の話をしていると、ふと気づいたように言われた。
「そういやコウの所に行かなくていいのか?いくら安静にしてれば治ると言っても、気が気じゃねえだろ」
「それはそうなんだけど…慎也に先約があって」
「先約…?」
「そっ。迷える子羊」
悪戯っぽく答えれば、征陸は首を捻った。
話が一段落ついた所で医務室へ向かった。そろそろ頃合いか。
本当は直ぐにでも行きたかったのだが、常守が狡噛と話す時間を作ってあげたかったのだ。
狡噛の答えは予想がつく。
常守は自信を取り戻せるだろうか…。
「俺には、やり残した事がある。どうあっても始末をつけなきゃならない役目が……!」
小さくノックをして医務室に入ると同時に、絞り出すような狡噛の声が耳に届いた。
見れば、狡噛がまだ動きづらい上体を無理に起こそうとしている。側には彼を支えようとしている常守。
「幸子さん!狡噛さんが……!!」
扉前に立つ幸子に気づいた常守がすがるように助けを求める。
狡噛のただならぬ雰囲気に気圧されているようだ。
幸子は無言でベッドに近寄ると、常守に言う。
「狡噛くんは私に任せて、朱ちゃんは家に帰ってゆっくり休んで」
「……は、はい…」
常守は何か言いたげに口を開いたが、有無を言わさぬ幸子の口調に頷いて退室した。
部屋には狡噛と幸子だけが残る。
「慎也、まだ安静にしてなきゃダメだよ」
「俺はこんな所で燻ってる訳にはいかないんだ…!」
背中をさすりながら優しく言えば、狡噛は再び絞り出すような声を出した。…焦燥に駆られた声音。
狡噛は思い出しているのだろう。
あの事件を。あの光景を。
「体調を万全にしないと、事件を解決するどころじゃないでしょ」
「……!」
わざと明るい口調で言ってみる。その一言で狡噛は大分冷静になったらしい。
大人しくベッドに横になってくれた。
すまない…と詫びの言葉を口にした狡噛にふるふると首を横に振る。
「慎也…」
「…幸子」
その首筋にぎゅっと抱きつくと、狡噛は僅かに顔を傾けて幸子の額にキスをした。
狡噛を縛りつけ、犯罪係数を上げた事件。
絶対、迷宮入りになんてさせない。
「そういやコウの所に行かなくていいのか?いくら安静にしてれば治ると言っても、気が気じゃねえだろ」
「それはそうなんだけど…慎也に先約があって」
「先約…?」
「そっ。迷える子羊」
悪戯っぽく答えれば、征陸は首を捻った。
話が一段落ついた所で医務室へ向かった。そろそろ頃合いか。
本当は直ぐにでも行きたかったのだが、常守が狡噛と話す時間を作ってあげたかったのだ。
狡噛の答えは予想がつく。
常守は自信を取り戻せるだろうか…。
「俺には、やり残した事がある。どうあっても始末をつけなきゃならない役目が……!」
小さくノックをして医務室に入ると同時に、絞り出すような狡噛の声が耳に届いた。
見れば、狡噛がまだ動きづらい上体を無理に起こそうとしている。側には彼を支えようとしている常守。
「幸子さん!狡噛さんが……!!」
扉前に立つ幸子に気づいた常守がすがるように助けを求める。
狡噛のただならぬ雰囲気に気圧されているようだ。
幸子は無言でベッドに近寄ると、常守に言う。
「狡噛くんは私に任せて、朱ちゃんは家に帰ってゆっくり休んで」
「……は、はい…」
常守は何か言いたげに口を開いたが、有無を言わさぬ幸子の口調に頷いて退室した。
部屋には狡噛と幸子だけが残る。
「慎也、まだ安静にしてなきゃダメだよ」
「俺はこんな所で燻ってる訳にはいかないんだ…!」
背中をさすりながら優しく言えば、狡噛は再び絞り出すような声を出した。…焦燥に駆られた声音。
狡噛は思い出しているのだろう。
あの事件を。あの光景を。
「体調を万全にしないと、事件を解決するどころじゃないでしょ」
「……!」
わざと明るい口調で言ってみる。その一言で狡噛は大分冷静になったらしい。
大人しくベッドに横になってくれた。
すまない…と詫びの言葉を口にした狡噛にふるふると首を横に振る。
「慎也…」
「…幸子」
その首筋にぎゅっと抱きつくと、狡噛は僅かに顔を傾けて幸子の額にキスをした。
狡噛を縛りつけ、犯罪係数を上げた事件。
絶対、迷宮入りになんてさせない。