#15 監視官と執行官の狭間
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それは当然の質問だった。
執行官が一人で外出など出来るはずない。必ず監視官が同行する決まりになっている。
煙草に火をつけながら狡噛が当然のように頷いた。
「ああ。外出許可の申請をしたら常守も雑賀先生からプロファイリングを学びたいと承諾してくれてな」
「……そう、なんだ」
「?…」
幸子の顔から笑みが消えたのを怪訝に思いながら、狡噛は ふー…と長く煙を吐き出した。
「帰りはそんなに遅くならない。幸子の勤務が明ける頃には戻るさ」
「……いいよ。久しぶりに会うんだからゆっくりしてくればいいじゃない」
「幸子?」
「朱ちゃんだって時間をかけて学びたいだろうし」
「………」
少しの間 黙って幸子の横顔を見つめていたが、やがて吸い始めたばかりの煙草を灰皿に潰し、手を伸ばした。
「幸子」
背後から愛しい女を抱きしめてやる。
一係でも一際背の低い幸子は狡噛の腕の中にすっぽりと収まった。
「妬いたのか?」
唇を耳元に近づけ、低く囁けば幸子の体がピクリと震えた。
「……朱ちゃんの事は大好き。執行官の外出ルールも心得てる。でも、慎也が他の女性(ひと)と2人きりで出かけるのは……やっぱりやだよ」
素直な幸子の言葉。
狡噛は幸子を自分の方に向かせると 両肩に手を置いてゆっくり顔を近づけ、その柔らかな唇を奪った。
「妬いてるのは、いつも俺の方なんだがな」
唇が離れると、狡噛はそう言って苦笑した。
「えっ…!?」
「幸子、常守監視官と仲がいいだろ」
「それはそうだけど…」
「お前達のやりとりを いつもヤキモキしながら見てる。どうもあの監視官は幸子が大好きらしいからな」
「慎也……!?」
そんな勘繰り必要ないのに…と言おうとしてやめた。変わりに狡噛の頬を包み込み、つま先立ちで唇に触れるだけのキスをした。
「愛してるよ、慎也」
狡噛は驚いたような表情を見せたが、すぐに優しい笑みを溢した。
「何処か行きたい所はあるか?」
「久しぶりに映画が観たいな」
「分かった。支度をして待ってろ」
「うん。楽しみにしてる」
ぎゅっと温かい胸に身を寄せると、狡噛は逞しい両手で幸子を抱きしめ その黒髪に顔を埋めた。
「いってらっしゃい」
「行ってくる」
掠れた声が頭上から優しく降り注いだ。
執行官が一人で外出など出来るはずない。必ず監視官が同行する決まりになっている。
煙草に火をつけながら狡噛が当然のように頷いた。
「ああ。外出許可の申請をしたら常守も雑賀先生からプロファイリングを学びたいと承諾してくれてな」
「……そう、なんだ」
「?…」
幸子の顔から笑みが消えたのを怪訝に思いながら、狡噛は ふー…と長く煙を吐き出した。
「帰りはそんなに遅くならない。幸子の勤務が明ける頃には戻るさ」
「……いいよ。久しぶりに会うんだからゆっくりしてくればいいじゃない」
「幸子?」
「朱ちゃんだって時間をかけて学びたいだろうし」
「………」
少しの間 黙って幸子の横顔を見つめていたが、やがて吸い始めたばかりの煙草を灰皿に潰し、手を伸ばした。
「幸子」
背後から愛しい女を抱きしめてやる。
一係でも一際背の低い幸子は狡噛の腕の中にすっぽりと収まった。
「妬いたのか?」
唇を耳元に近づけ、低く囁けば幸子の体がピクリと震えた。
「……朱ちゃんの事は大好き。執行官の外出ルールも心得てる。でも、慎也が他の女性(ひと)と2人きりで出かけるのは……やっぱりやだよ」
素直な幸子の言葉。
狡噛は幸子を自分の方に向かせると 両肩に手を置いてゆっくり顔を近づけ、その柔らかな唇を奪った。
「妬いてるのは、いつも俺の方なんだがな」
唇が離れると、狡噛はそう言って苦笑した。
「えっ…!?」
「幸子、常守監視官と仲がいいだろ」
「それはそうだけど…」
「お前達のやりとりを いつもヤキモキしながら見てる。どうもあの監視官は幸子が大好きらしいからな」
「慎也……!?」
そんな勘繰り必要ないのに…と言おうとしてやめた。変わりに狡噛の頬を包み込み、つま先立ちで唇に触れるだけのキスをした。
「愛してるよ、慎也」
狡噛は驚いたような表情を見せたが、すぐに優しい笑みを溢した。
「何処か行きたい所はあるか?」
「久しぶりに映画が観たいな」
「分かった。支度をして待ってろ」
「うん。楽しみにしてる」
ぎゅっと温かい胸に身を寄せると、狡噛は逞しい両手で幸子を抱きしめ その黒髪に顔を埋めた。
「いってらっしゃい」
「行ってくる」
掠れた声が頭上から優しく降り注いだ。