#03 決断の波紋
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公安局刑事課オフィス。
上座にあたる位置に据えられたデスクの前で、常守は報告書の作成をしていた。
「……」
周囲が気になる常守は 中々仕事に身が入らず、モニタの陰から部屋の様子を伺った。
部屋には幸子…それに縢と六合塚がいた。各々執行官デスクに向かって作業している。
幸子は何やら熱心に調べもの、六合塚は読書、縢は携帯ゲームに没頭していた。自由きままというか、勝手放題の勤務態度である。
「……あれ?」
ふと、常守の手元が止まった。
報告書を作成していた端末の、キーボード兼用のタブレットが指に反応しなくなったのだ。どうやら故障らしい。
暫くどうしようか思案していた常守は、意を決して執行官達に声をかけた。
「あの……すいません。タブレットって他にあります?」
「備品の予備は狡噛執行官が使用中で~す」
携帯ゲームから顔を上げずに ふざけた口調で縢が言った。調べものをしていた幸子が ちらりと縢と常守を見た。常守は困惑しつつも再度口を開く。
「でも、その……狡噛さんて今日は……」
「パラライザーで撃たれて療養中で~す」
「縢くん!」
言葉に詰まった常守を見兼ね、椅子から立ち上がった幸子が僅かに語気を強めて縢をたしなめた。六合塚は何も言わずに自分のタブレットを外す。
「冗談がすぎるよ」
「…んだよ。幸子ちゃんの気持ちを代弁してやっただけだろ」
「気持ちって…いつ私がそんな皮肉言った?」
「言わなくても顔に書いてあるって」
「もう、そんな事言って。朱ちゃんが真に受けたらどうするの?」
「いえ、幸子さん。私は別に――」
「"朱ちゃん"!"幸子さん"?!! いつから2人は名前で呼びあう仲になっちゃったわけ~?」
縢が椅子から立ち上がって大袈裟に驚いた。
「幸子ちゃん判ってる? この新米監視官殿はコウちゃんを撃ったんだぜ?」
「それとこれとは話が別でしょ。今は縢くんの彼女に対しての態度の話をしてるの!」
話を元に戻そうとするが、縢は面白がっているのか、意図的に幸子の言葉をスルーして 深く椅子に座り直すとニヤニヤと続ける。
「気を遣う必要ないって。コウちゃんいなくて大変なの幸子ちゃんでしょ。色相濁っちゃうもんね~」
「えっ…!?」
と常守が小さく声を上げて幸子を見た。同時に 六合塚が縢の頭を小突いた。
「ッ!いってェ…」
大袈裟に頭を抱える縢を余所に、六合塚はタブレットを常守に手渡した。
「これ、使って」
「は、はい…」
礼を述べてから直ぐにまた視線を幸子と縢に移した。
カラカラと笑う縢に、幸子がピンッとデコピンしていた。…結局仲が良いらしい。
しかし――‥
(色相が濁る…)
その言葉が耳について離れなかった。
上座にあたる位置に据えられたデスクの前で、常守は報告書の作成をしていた。
「……」
周囲が気になる常守は 中々仕事に身が入らず、モニタの陰から部屋の様子を伺った。
部屋には幸子…それに縢と六合塚がいた。各々執行官デスクに向かって作業している。
幸子は何やら熱心に調べもの、六合塚は読書、縢は携帯ゲームに没頭していた。自由きままというか、勝手放題の勤務態度である。
「……あれ?」
ふと、常守の手元が止まった。
報告書を作成していた端末の、キーボード兼用のタブレットが指に反応しなくなったのだ。どうやら故障らしい。
暫くどうしようか思案していた常守は、意を決して執行官達に声をかけた。
「あの……すいません。タブレットって他にあります?」
「備品の予備は狡噛執行官が使用中で~す」
携帯ゲームから顔を上げずに ふざけた口調で縢が言った。調べものをしていた幸子が ちらりと縢と常守を見た。常守は困惑しつつも再度口を開く。
「でも、その……狡噛さんて今日は……」
「パラライザーで撃たれて療養中で~す」
「縢くん!」
言葉に詰まった常守を見兼ね、椅子から立ち上がった幸子が僅かに語気を強めて縢をたしなめた。六合塚は何も言わずに自分のタブレットを外す。
「冗談がすぎるよ」
「…んだよ。幸子ちゃんの気持ちを代弁してやっただけだろ」
「気持ちって…いつ私がそんな皮肉言った?」
「言わなくても顔に書いてあるって」
「もう、そんな事言って。朱ちゃんが真に受けたらどうするの?」
「いえ、幸子さん。私は別に――」
「"朱ちゃん"!"幸子さん"?!! いつから2人は名前で呼びあう仲になっちゃったわけ~?」
縢が椅子から立ち上がって大袈裟に驚いた。
「幸子ちゃん判ってる? この新米監視官殿はコウちゃんを撃ったんだぜ?」
「それとこれとは話が別でしょ。今は縢くんの彼女に対しての態度の話をしてるの!」
話を元に戻そうとするが、縢は面白がっているのか、意図的に幸子の言葉をスルーして 深く椅子に座り直すとニヤニヤと続ける。
「気を遣う必要ないって。コウちゃんいなくて大変なの幸子ちゃんでしょ。色相濁っちゃうもんね~」
「えっ…!?」
と常守が小さく声を上げて幸子を見た。同時に 六合塚が縢の頭を小突いた。
「ッ!いってェ…」
大袈裟に頭を抱える縢を余所に、六合塚はタブレットを常守に手渡した。
「これ、使って」
「は、はい…」
礼を述べてから直ぐにまた視線を幸子と縢に移した。
カラカラと笑う縢に、幸子がピンッとデコピンしていた。…結局仲が良いらしい。
しかし――‥
(色相が濁る…)
その言葉が耳について離れなかった。