#14 特別執行官
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その3日後。事態は急展開を遂げた。
公安局の監視官として宜野座が面会に現れたのだ。
「遅かったな、ギノ」
「狡噛…」
一ヶ月ぶりに見る宜野座の顔には疲労の色がありありと浮かんでいた。
真面目な宜野座の事だ。狡噛の抜けた穴を必死にカバーしようとしているのだろう。…申し訳ない。
幸子が一緒ではないのが意外だったが、それでも宜野座…公安局からの使者の来訪は狡噛が待ち望んでいたものだった。
「お前に『執行官』の適性が出ている」
一ヶ月だ。
一ヶ月待った。
再び現場復帰できる時を。
役職なんて関係ない。
猟犬にでも何にでも成り下がってやる。
あの事件を追えるなら。
マキシマに引導を渡せるのなら。
そして――
(幸子…)
幸子を、もう一度この腕に抱けるのならば。
「返事は……聞くまでもないな」
肉食獣のそれに変化した狡噛の表情を見て、宜野座は淡々と言い くいと眼鏡をあげた。
「ああ。もちろんだ」
この日、狡噛慎也は執行官として刑事に復帰した。
―――――‥‥
「狡噛、ここがお前のデスクだ」
無愛想な表情の宜野座が、トントン…とデスクを指でつついた。感情は見えない。彼はかつての相棒の降格をどう思っているのだろう…。
下座にある執行官デスク。
ここから新たな刑事人生が幕を開けるのだ。
「よう、コウ。思ったより元気そうじゃねえか」
「とっつぁんも相変わらずで何よりだ」
隣のデスクについた征陸が軽く手をあげて狡噛を出迎えてくれる。
征陸や六合塚といった馴染み深い面子。
一ヶ月ぶりの一係は一見何も変わっていないように見える。しかし狡噛はすぐに違和感に気づいた。
「狡噛。早速だが今追っている事件の概要を――」
「待て、ギノ。幸子はどうした?」
狡噛が幸子の名を口にした途端、場の空気が一気に変わった。
訝しげな顔を宜野座に向ければ、彼ははっきりと分かる態度で視線を逸らした。
「ギノ…?」
「……」
「コウ、幸子はな…」
「待て。俺が言う」
見兼ねたように口を開いた征陸を制し、宜野座は再び狡噛と向き合った。
「ギノ、一体 幸子に何があった!?」
「………」
「ギノ!!」
「……幸子はもうここにはいない」
「なんだと!?」
幸子が……いない⁈
「なら幸子は何処にいる!?」
「……お前と同じだ」
「なに!?」
「サイコパスが急激に悪化して、二週間前に医療センターへ送られた」
「!!?」
狡噛は鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
公安局の監視官として宜野座が面会に現れたのだ。
「遅かったな、ギノ」
「狡噛…」
一ヶ月ぶりに見る宜野座の顔には疲労の色がありありと浮かんでいた。
真面目な宜野座の事だ。狡噛の抜けた穴を必死にカバーしようとしているのだろう。…申し訳ない。
幸子が一緒ではないのが意外だったが、それでも宜野座…公安局からの使者の来訪は狡噛が待ち望んでいたものだった。
「お前に『執行官』の適性が出ている」
一ヶ月だ。
一ヶ月待った。
再び現場復帰できる時を。
役職なんて関係ない。
猟犬にでも何にでも成り下がってやる。
あの事件を追えるなら。
マキシマに引導を渡せるのなら。
そして――
(幸子…)
幸子を、もう一度この腕に抱けるのならば。
「返事は……聞くまでもないな」
肉食獣のそれに変化した狡噛の表情を見て、宜野座は淡々と言い くいと眼鏡をあげた。
「ああ。もちろんだ」
この日、狡噛慎也は執行官として刑事に復帰した。
―――――‥‥
「狡噛、ここがお前のデスクだ」
無愛想な表情の宜野座が、トントン…とデスクを指でつついた。感情は見えない。彼はかつての相棒の降格をどう思っているのだろう…。
下座にある執行官デスク。
ここから新たな刑事人生が幕を開けるのだ。
「よう、コウ。思ったより元気そうじゃねえか」
「とっつぁんも相変わらずで何よりだ」
隣のデスクについた征陸が軽く手をあげて狡噛を出迎えてくれる。
征陸や六合塚といった馴染み深い面子。
一ヶ月ぶりの一係は一見何も変わっていないように見える。しかし狡噛はすぐに違和感に気づいた。
「狡噛。早速だが今追っている事件の概要を――」
「待て、ギノ。幸子はどうした?」
狡噛が幸子の名を口にした途端、場の空気が一気に変わった。
訝しげな顔を宜野座に向ければ、彼ははっきりと分かる態度で視線を逸らした。
「ギノ…?」
「……」
「コウ、幸子はな…」
「待て。俺が言う」
見兼ねたように口を開いた征陸を制し、宜野座は再び狡噛と向き合った。
「ギノ、一体 幸子に何があった!?」
「………」
「ギノ!!」
「……幸子はもうここにはいない」
「なんだと!?」
幸子が……いない⁈
「なら幸子は何処にいる!?」
「……お前と同じだ」
「なに!?」
「サイコパスが急激に悪化して、二週間前に医療センターへ送られた」
「!!?」
狡噛は鈍器で殴られたような衝撃を受けた。