#14 特別執行官
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狡噛慎也は一人 薄汚れた裏路地を疾走していた。
(何処だ!何処にいる…!?)
立ち止まってはキョロキョロと辺りを見回し、また走り出す。
息が上がる。それでも狡噛は足を止める事なくその人を探した。
やがて――‥
揺れる視界に飛び込んできた、探し人。
生前の面影はなく 無惨な"彼"の姿に 狡噛は目を見開いた。
「ささ……や…ま?」
眼球の代わりに嵌め込まれたコインに己の姿が映り込んだ時、狡噛は悲鳴ともつかない大きな声を上げた。
――そこで、目が覚めた。
シンプルな白い空間の清潔なベッドの上。
狡噛は部屋の眩しさを遮るように 額に手を充て純白の天井を見上げた。
「夢……」
呟き、深く呼吸する。
寝間着が見事に汗を吸っていて気持ち悪い。
嫌な夢を見た。
いや、夢じゃなく記憶だ。
過去の記憶。
「っ…」
ぎりっ…と歯噛みし狡噛はベッドから起き上がった。夢に出てきた記憶の映像が焦燥感を駆り立てる。
「こんな所で燻ってる訳にはいかないんだ。俺は…」
足立区立サイコパス矯正医療センター。
治療と称する短時間の医師との面談以外は、一日中この白い部屋に閉じ込められている。
医療センターと言えば聞こえは良いが、そこは牢獄と等しい場所だと狡噛は感じていた。
「幸子…」
狡噛はふと愛する女の名を呟いた。
サイコパス定期検診で潜在犯と認定されてから、すぐにこの施設へと連れて来られた為、幸子と言葉を交わす時間はなかった。
幸子はきっと心細くしている事だろう。胸が痛む。
だが、まだだ。
まだここで終わるわけにはいかないし、終わる気もない。
「待っていてくれ…幸子」
狡噛は絞り出すような声で言った。
(何処だ!何処にいる…!?)
立ち止まってはキョロキョロと辺りを見回し、また走り出す。
息が上がる。それでも狡噛は足を止める事なくその人を探した。
やがて――‥
揺れる視界に飛び込んできた、探し人。
生前の面影はなく 無惨な"彼"の姿に 狡噛は目を見開いた。
「ささ……や…ま?」
眼球の代わりに嵌め込まれたコインに己の姿が映り込んだ時、狡噛は悲鳴ともつかない大きな声を上げた。
――そこで、目が覚めた。
シンプルな白い空間の清潔なベッドの上。
狡噛は部屋の眩しさを遮るように 額に手を充て純白の天井を見上げた。
「夢……」
呟き、深く呼吸する。
寝間着が見事に汗を吸っていて気持ち悪い。
嫌な夢を見た。
いや、夢じゃなく記憶だ。
過去の記憶。
「っ…」
ぎりっ…と歯噛みし狡噛はベッドから起き上がった。夢に出てきた記憶の映像が焦燥感を駆り立てる。
「こんな所で燻ってる訳にはいかないんだ。俺は…」
足立区立サイコパス矯正医療センター。
治療と称する短時間の医師との面談以外は、一日中この白い部屋に閉じ込められている。
医療センターと言えば聞こえは良いが、そこは牢獄と等しい場所だと狡噛は感じていた。
「幸子…」
狡噛はふと愛する女の名を呟いた。
サイコパス定期検診で潜在犯と認定されてから、すぐにこの施設へと連れて来られた為、幸子と言葉を交わす時間はなかった。
幸子はきっと心細くしている事だろう。胸が痛む。
だが、まだだ。
まだここで終わるわけにはいかないし、終わる気もない。
「待っていてくれ…幸子」
狡噛は絞り出すような声で言った。