#13 ペールアイリスの涙
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驚き目を丸くする幸子以上に、宜野座本人が自分の叫びに驚いていた。
宜野座は測定器をグイッと幸子の前に突きつける。反射的に幸子はそれを受けとる形となった。
「狡噛の事を考えるのはやめろ!」
「の、伸元…!?」
「あいつは執行官と馴れ合い道を誤った。当然の結果だ。幸子、お前まで愚か者の道を辿る必要はない」
「――っ!!」
幸子は言葉を失っているようだった。
一気に言い切った為か、宜野座の呼吸は荒い。
何と思われようが構わない。幸子を引き止めるにはこれしかないと、そう思った。
父親。相棒。
次は目の前の女を失うことになる恐怖が彼を突き動かしたのだ。
暫しの間、何も言わずに互いを見交わす。
宜野座が厳しい発言をする時は、大抵弱い自分を守る為か、相手を強く想う故であると、長い付き合いから分かっている。だが。
「…違うよ、伸元」
幸子は静かに首を横に振った。
「慎也は愚か者じゃない。あの人は優しいの」
「!……」
宜野座が喉の奥を鳴らして言葉を詰まらせた。
「慎也は佐々山さんの殉職を自分のせいと感じてる…。だから今、自分を許せない状態にいるんだと思う」
「……」
幸子はふらりと立ち上がると、まっすぐに宜野座を見つめた。
普段職場で見せる、監視官としての表情(かお)によく似ていた。しかし瞳の奥に灯る炎は思い詰めた色を宿していて。
「伸元…。私ね、許せないの」
「許せない…?」
普段より幾分トーンの低い苦しそうな声音。
「慎也を苦しめる真犯人が許せない。必ず…捕まえたい。罪を償わせたい」
「……っ」
「慎也の心が少しでも穏やかさを取り戻せるなら……私は何でもする」
幸子の瞳から涙が零れた。
ぎゅっと握りしめた測定器のスイッチに指が触れ、ピッ…と音を立てて幸子のサイコパスが瞬時に測定された。
『色相判定:plum(プラム) 犯罪係数:108』
濁りのないパステルトーンの紫 ペールアイリスだった色相は、濃紫のプラムへと変化を遂げていた。
宜野座は測定器をグイッと幸子の前に突きつける。反射的に幸子はそれを受けとる形となった。
「狡噛の事を考えるのはやめろ!」
「の、伸元…!?」
「あいつは執行官と馴れ合い道を誤った。当然の結果だ。幸子、お前まで愚か者の道を辿る必要はない」
「――っ!!」
幸子は言葉を失っているようだった。
一気に言い切った為か、宜野座の呼吸は荒い。
何と思われようが構わない。幸子を引き止めるにはこれしかないと、そう思った。
父親。相棒。
次は目の前の女を失うことになる恐怖が彼を突き動かしたのだ。
暫しの間、何も言わずに互いを見交わす。
宜野座が厳しい発言をする時は、大抵弱い自分を守る為か、相手を強く想う故であると、長い付き合いから分かっている。だが。
「…違うよ、伸元」
幸子は静かに首を横に振った。
「慎也は愚か者じゃない。あの人は優しいの」
「!……」
宜野座が喉の奥を鳴らして言葉を詰まらせた。
「慎也は佐々山さんの殉職を自分のせいと感じてる…。だから今、自分を許せない状態にいるんだと思う」
「……」
幸子はふらりと立ち上がると、まっすぐに宜野座を見つめた。
普段職場で見せる、監視官としての表情(かお)によく似ていた。しかし瞳の奥に灯る炎は思い詰めた色を宿していて。
「伸元…。私ね、許せないの」
「許せない…?」
普段より幾分トーンの低い苦しそうな声音。
「慎也を苦しめる真犯人が許せない。必ず…捕まえたい。罪を償わせたい」
「……っ」
「慎也の心が少しでも穏やかさを取り戻せるなら……私は何でもする」
幸子の瞳から涙が零れた。
ぎゅっと握りしめた測定器のスイッチに指が触れ、ピッ…と音を立てて幸子のサイコパスが瞬時に測定された。
『色相判定:plum(プラム) 犯罪係数:108』
濁りのないパステルトーンの紫 ペールアイリスだった色相は、濃紫のプラムへと変化を遂げていた。