#01 雨、降る
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外から聞こえてくる雨音とは裏腹に、薄暗い護送車の内部は静まり返っていた。
「雨…やみそうにないね」
ぼんやりと雨音を聞いていた木梨幸子が、誰に言うでもなくぽつりと呟いた。
「この雨音からすると、相当降ってるみてーだな」
向かいに座った征陸智己が相槌を打った。年輩の征陸はいかにも刑事といった風貌をしている。
「ま、暗~い護送車からじゃ雨量も確認しようがないけどね。…ったく、窓くらいつけろってんだよ。ここは牢獄ですか~」
「縢、ふざけないで」
頭の後ろで両腕を回し、組んだ足をぶらぶらとさせた縢秀星がぼやくと、黒髪をポニーテールにした六合塚弥生が短く制した。
それが面白くないのか、縢は むう、とむくれたような顔をして話題を変えた。
「そーいや今日から来るらしいじゃん。新任監視官」
「そうらしいよね。…どんな人なのかな」
「なんでも若ェお嬢ちゃんだって話だ」
「へえ…」
幸子の疑問にすかさず征陸が答えてくれる。
若い女性監視官…幸子はふと昔の自分の姿を思い出していた。すると、ふいに大きな手がぽんと頭に乗せられる。
「!……」
幸子は俯きかげんの顔を上げて大きな手の主を見上げた。途端に隣に座った男――狡噛慎也と目が合う。
その目が優しく細められているのを見て、幸子は小さく微笑んだ。
「雨、早くやむといいね」
狡噛だけに届く声で告げれば、彼は小さく頷いてくれた。
「雨…やみそうにないね」
ぼんやりと雨音を聞いていた木梨幸子が、誰に言うでもなくぽつりと呟いた。
「この雨音からすると、相当降ってるみてーだな」
向かいに座った征陸智己が相槌を打った。年輩の征陸はいかにも刑事といった風貌をしている。
「ま、暗~い護送車からじゃ雨量も確認しようがないけどね。…ったく、窓くらいつけろってんだよ。ここは牢獄ですか~」
「縢、ふざけないで」
頭の後ろで両腕を回し、組んだ足をぶらぶらとさせた縢秀星がぼやくと、黒髪をポニーテールにした六合塚弥生が短く制した。
それが面白くないのか、縢は むう、とむくれたような顔をして話題を変えた。
「そーいや今日から来るらしいじゃん。新任監視官」
「そうらしいよね。…どんな人なのかな」
「なんでも若ェお嬢ちゃんだって話だ」
「へえ…」
幸子の疑問にすかさず征陸が答えてくれる。
若い女性監視官…幸子はふと昔の自分の姿を思い出していた。すると、ふいに大きな手がぽんと頭に乗せられる。
「!……」
幸子は俯きかげんの顔を上げて大きな手の主を見上げた。途端に隣に座った男――狡噛慎也と目が合う。
その目が優しく細められているのを見て、幸子は小さく微笑んだ。
「雨、早くやむといいね」
狡噛だけに届く声で告げれば、彼は小さく頷いてくれた。
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