真っ赤な嘘
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その3日後。月夜の晩。
静かな家に忍び寄る小さな影――‥
ことり…という窓が立てた小さな音に、幸子は目を覚ました。
「ん…」
一体なんだろう。
風(かぜ)もない静かな夜だと言うのに。
「幸子」
「風!?」
聞こえてきた声に、幸子は布団から飛び起きた。
あの日以来姿を消した風。彼が…帰って来た!
この窓の外にいるのだ。
「来てはいけません。そのまま聞いて下さい」
窓に近寄ろうとすると、風の声がそれを制した。幸子は寝間着の裾を握りしめ、その場に立ち尽くしたまま風の次の言葉を待った。
「どうしてもやらなくてはいけない用が出来てしまいました。…もう、ここへは戻れません」
「そ、そんな…!?」
幸子は突然の事に愕然とした。
「突然すぎるよ!理由を教えて!!」
「……」
「私が…嫌いになったの?」
「!」
そんな事あるはずない!
そう叫びたい気持ちを風はぐっと堪えた。
彼女を己から解き放たなくては…。
「…察して下さい、幸子」
ああ、私は何を言っているのだろう。
最愛の人にこんな悲しい嘘をついて。彼女の心を傷つけて。
しかし、呪いを受けてしまったこんな小さな体では、幸子をこの腕に抱くことなど叶わない。
長い沈黙。
居たたまれなくなり、その場を放れようとした風に、幸子の切なげな声が聞こえた。
「愛してるよ、風」
「っ…!」
応えることなく、風はその場を後にした。
朝焼けの町。
風は小高い崖の上からそのよく知る町並みを見下ろしていた。
依頼を請け、6人の仲間達と任務をこなした風に待ち受けていたのは"呪い"だった。
それは一瞬で、風と仲間達を赤ん坊の姿へと変えた。
どうすれば解けるのかは分からない。ただ、受け入れて先へ進むしかないのだ。
「行きましょう、リーチ。一刻も早く呪いを解いて、幸子を迎えに行きますよ」
「キキッ」
そうだ。必ず戻るんだ。
嘘を見抜いた上で甘んじてその嘘を受け入れて、それでも愛していると伝えてくれた幸子の許に。
街並みを振り切り、歩き出した風を追うように太陽はその姿を現した。
静かな家に忍び寄る小さな影――‥
ことり…という窓が立てた小さな音に、幸子は目を覚ました。
「ん…」
一体なんだろう。
風(かぜ)もない静かな夜だと言うのに。
「幸子」
「風!?」
聞こえてきた声に、幸子は布団から飛び起きた。
あの日以来姿を消した風。彼が…帰って来た!
この窓の外にいるのだ。
「来てはいけません。そのまま聞いて下さい」
窓に近寄ろうとすると、風の声がそれを制した。幸子は寝間着の裾を握りしめ、その場に立ち尽くしたまま風の次の言葉を待った。
「どうしてもやらなくてはいけない用が出来てしまいました。…もう、ここへは戻れません」
「そ、そんな…!?」
幸子は突然の事に愕然とした。
「突然すぎるよ!理由を教えて!!」
「……」
「私が…嫌いになったの?」
「!」
そんな事あるはずない!
そう叫びたい気持ちを風はぐっと堪えた。
彼女を己から解き放たなくては…。
「…察して下さい、幸子」
ああ、私は何を言っているのだろう。
最愛の人にこんな悲しい嘘をついて。彼女の心を傷つけて。
しかし、呪いを受けてしまったこんな小さな体では、幸子をこの腕に抱くことなど叶わない。
長い沈黙。
居たたまれなくなり、その場を放れようとした風に、幸子の切なげな声が聞こえた。
「愛してるよ、風」
「っ…!」
応えることなく、風はその場を後にした。
朝焼けの町。
風は小高い崖の上からそのよく知る町並みを見下ろしていた。
依頼を請け、6人の仲間達と任務をこなした風に待ち受けていたのは"呪い"だった。
それは一瞬で、風と仲間達を赤ん坊の姿へと変えた。
どうすれば解けるのかは分からない。ただ、受け入れて先へ進むしかないのだ。
「行きましょう、リーチ。一刻も早く呪いを解いて、幸子を迎えに行きますよ」
「キキッ」
そうだ。必ず戻るんだ。
嘘を見抜いた上で甘んじてその嘘を受け入れて、それでも愛していると伝えてくれた幸子の許に。
街並みを振り切り、歩き出した風を追うように太陽はその姿を現した。