雲鳥の統べる空
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
幸子は屋上からぼんやりと雲を眺めていた。
学校に来てみたものの授業を受ける気にならず、気分が優れないので保健室に行くと言ってここに来た。
考えてみたら授業をサボるのなんて初めてだな。幸子はくすっと笑ったが、すぐにその表情は悲しみに沈む。
「雲雀くん……」
『明日からもう応接室に来なくていい』
そんなの嫌だよ!もっとあなたの傍にいたい!!
そう叫びたかった。しかし寸前でその言葉を飲み込んだのは、己が不注意で捕まり雲雀を危険に曝してしまった負い目と、そして……
自分を心配する雲雀の気持ちが痛いほど伝わってきたから。
雲雀が幸子の赤く腫れた頬を見て何を思ったかは想像に難くない。彼は優しすぎる。
だからこそ幸子は引くしかなかった。
雲雀の想いを汲む為にも。
それでもこれで良かったのかなんて判らなくて。幸子はぽっかりと開いてしまった心を埋めるように再び雲を見上げた。
ガチャ
ふいに背中腰に扉の開く音がして振り返る。
そこに雲雀が立っていた。
「雲雀くん…!!」
「!」
雲雀も幸子をみて僅かに驚いた顔をみせたが、構わず幸子の傍へと歩み寄ってきた。
一方の幸子はどうしていいか解らずその場に立ち尽くしていた。
「幸子」
雲雀に初めて名前で呼ばれた…!!
そんな驚きに浸る間もなく、幸子は彼の腕の中に閉じ込められていた。
「っ……!」
あまりの出来事に思考が追い付かない。
雲雀くんに、抱きしめられている…!?
「君は僕のものだ」
雲雀がまるで宣言するように言った。
そうだ。簡単な事だ。答えはもう出ている。一体自分は何を怯えていたのだ。
強くなればいい。
己が強くなってどんなものからも幸子を守ればいい。それだけの事。
僕が強くなる為に僕のものを傍におく。
それのどこがいけないというのだ。
「ひ、雲雀くん…っ!」
「恭弥だよ」
「きょう…や…?」
顔を上げて己の名を呼んだ幸子の頬を、雲雀は満足そうに撫でた。
「そう。いい子だね」
「恭弥…」
「幸子」
「っ、恭弥!」
名前を呼ぶ度に、呼ばれる度に胸がしめつけられる。雲雀が幸子を抱き締める腕に力が籠っていった。
「ねぇ、もっと呼んで」
「恭弥っ。恭弥……きょう、や……っ!」
そのまま性急に唇を塞がれた。
初めて重ねたその感触は柔らかく、そして温かく…。心も身体も満たされていくのを感じた。
「リンゴみたいな顔してるね」
唇を離した雲雀が真っ赤に染まっている幸子の顔を見て笑う。
「だ、だって…っ、こんな事するの……初めて…だし……」
声がどんどん小さくなっていく。
言っていて恥ずかしくなってきた。…ああ。墓穴を掘ってしまった。
「こんな事って、こういう事?」
と雲雀が再び幸子の唇に軽く口づけた。
「っ、……っ」
「存分に恥ずかしがって構わないよ。君の初めては全部僕がもらうからね」
「っ!!」
かぁあっ、とまた頬が熱くなる。でもそれって…
「傍にいてもいいの…?」
「さあね。自分で考えれば?」
僕はもう君を手放すつもりは一生ないんだけどね。
少しの沈黙があり、頬染めた幸子の顔から嬉しそうな笑顔が溢れた。
「やっぱり…」
「ん?」
「恭弥は優しいね」
やっぱり君は変わってる。
僕を優しいなんて言うのはこれから先も幸子だけでいい。
「恭弥、大好き…」
「僕も」
幸子を愛している。
そして三度重ねられた唇。
それはとても優しく、泣きたくなる程に甘くて――‥
僕の世界を変えたのは君。
学校に来てみたものの授業を受ける気にならず、気分が優れないので保健室に行くと言ってここに来た。
考えてみたら授業をサボるのなんて初めてだな。幸子はくすっと笑ったが、すぐにその表情は悲しみに沈む。
「雲雀くん……」
『明日からもう応接室に来なくていい』
そんなの嫌だよ!もっとあなたの傍にいたい!!
そう叫びたかった。しかし寸前でその言葉を飲み込んだのは、己が不注意で捕まり雲雀を危険に曝してしまった負い目と、そして……
自分を心配する雲雀の気持ちが痛いほど伝わってきたから。
雲雀が幸子の赤く腫れた頬を見て何を思ったかは想像に難くない。彼は優しすぎる。
だからこそ幸子は引くしかなかった。
雲雀の想いを汲む為にも。
それでもこれで良かったのかなんて判らなくて。幸子はぽっかりと開いてしまった心を埋めるように再び雲を見上げた。
ガチャ
ふいに背中腰に扉の開く音がして振り返る。
そこに雲雀が立っていた。
「雲雀くん…!!」
「!」
雲雀も幸子をみて僅かに驚いた顔をみせたが、構わず幸子の傍へと歩み寄ってきた。
一方の幸子はどうしていいか解らずその場に立ち尽くしていた。
「幸子」
雲雀に初めて名前で呼ばれた…!!
そんな驚きに浸る間もなく、幸子は彼の腕の中に閉じ込められていた。
「っ……!」
あまりの出来事に思考が追い付かない。
雲雀くんに、抱きしめられている…!?
「君は僕のものだ」
雲雀がまるで宣言するように言った。
そうだ。簡単な事だ。答えはもう出ている。一体自分は何を怯えていたのだ。
強くなればいい。
己が強くなってどんなものからも幸子を守ればいい。それだけの事。
僕が強くなる為に僕のものを傍におく。
それのどこがいけないというのだ。
「ひ、雲雀くん…っ!」
「恭弥だよ」
「きょう…や…?」
顔を上げて己の名を呼んだ幸子の頬を、雲雀は満足そうに撫でた。
「そう。いい子だね」
「恭弥…」
「幸子」
「っ、恭弥!」
名前を呼ぶ度に、呼ばれる度に胸がしめつけられる。雲雀が幸子を抱き締める腕に力が籠っていった。
「ねぇ、もっと呼んで」
「恭弥っ。恭弥……きょう、や……っ!」
そのまま性急に唇を塞がれた。
初めて重ねたその感触は柔らかく、そして温かく…。心も身体も満たされていくのを感じた。
「リンゴみたいな顔してるね」
唇を離した雲雀が真っ赤に染まっている幸子の顔を見て笑う。
「だ、だって…っ、こんな事するの……初めて…だし……」
声がどんどん小さくなっていく。
言っていて恥ずかしくなってきた。…ああ。墓穴を掘ってしまった。
「こんな事って、こういう事?」
と雲雀が再び幸子の唇に軽く口づけた。
「っ、……っ」
「存分に恥ずかしがって構わないよ。君の初めては全部僕がもらうからね」
「っ!!」
かぁあっ、とまた頬が熱くなる。でもそれって…
「傍にいてもいいの…?」
「さあね。自分で考えれば?」
僕はもう君を手放すつもりは一生ないんだけどね。
少しの沈黙があり、頬染めた幸子の顔から嬉しそうな笑顔が溢れた。
「やっぱり…」
「ん?」
「恭弥は優しいね」
やっぱり君は変わってる。
僕を優しいなんて言うのはこれから先も幸子だけでいい。
「恭弥、大好き…」
「僕も」
幸子を愛している。
そして三度重ねられた唇。
それはとても優しく、泣きたくなる程に甘くて――‥
僕の世界を変えたのは君。