雲鳥の統べる空
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次の日。雲雀はいつものように応接室で風紀委員の仕事をしていた。
いや、いつものように…というのは適切ではないか。開かれた日誌はさっきから同じところのまま、一頁も進む気配はない。
「………」
昨日の別れ際の、幸子の寂しそうな瞳が忘れられない。
いつも笑顔の彼女。あんな表情を見たのは初めてだ。
しかし己の傍にいては幸子はまた危険に曝される。現に男たちに幸子を傷つけさせてしまった。
男たちが許せない。
間に合わなかった己が許せない。
雲雀は気づいてしまった。
いつの間にか己の中に芽生えていた感情…。
昨日あの手紙を読んだ時、雲雀は今まで経験した事がない程の焦燥感と怒りを覚えた。
幸子を捕えていた男たちを殴り倒した後、震える彼女を抱きしめてやりたかった。幸子の温もりを感じたいと思った。
しかし――‥
温もりが欲しいなど弱者の戯言。
己の風紀が乱れるなどありえない。あってはいけないのだ。
これ以上踏み込んではいけない。
風紀を乱さぬ為にも、そして幸子を守る為にも突き放すしかない――‥
「……それこそ弱者の戯言だね」
雲雀は己を嘲笑すると、椅子から立ち上がり応接室を出た。
いや、いつものように…というのは適切ではないか。開かれた日誌はさっきから同じところのまま、一頁も進む気配はない。
「………」
昨日の別れ際の、幸子の寂しそうな瞳が忘れられない。
いつも笑顔の彼女。あんな表情を見たのは初めてだ。
しかし己の傍にいては幸子はまた危険に曝される。現に男たちに幸子を傷つけさせてしまった。
男たちが許せない。
間に合わなかった己が許せない。
雲雀は気づいてしまった。
いつの間にか己の中に芽生えていた感情…。
昨日あの手紙を読んだ時、雲雀は今まで経験した事がない程の焦燥感と怒りを覚えた。
幸子を捕えていた男たちを殴り倒した後、震える彼女を抱きしめてやりたかった。幸子の温もりを感じたいと思った。
しかし――‥
温もりが欲しいなど弱者の戯言。
己の風紀が乱れるなどありえない。あってはいけないのだ。
これ以上踏み込んではいけない。
風紀を乱さぬ為にも、そして幸子を守る為にも突き放すしかない――‥
「……それこそ弱者の戯言だね」
雲雀は己を嘲笑すると、椅子から立ち上がり応接室を出た。