雲鳥の統べる空
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「雲雀くん!!」
幸子は思わず声をあげた。
雲雀はちらりと幸子を確認する。その視線が赤く腫れた頬を見やり、再び鋭い瞳が3人へと向けられた。
雲雀を包む凄まじい殺気に男たちの足がすくむ。決して逆らってはいけない相手に喧嘩をうってしまった事に、今気づいた。
だがもう遅い。
「咬み殺す」
雲雀が動いた。
ドガッ ゴギッ ガッ
金属の音が三度狭い室内に響いたかと思うと、次の瞬間辺りは静寂に包まれた。
「群れるからそうなる」
更なる血で染まったトンファーを一振りした雲雀が、低い声で吐き捨てるように言った。気を失った3人の男たちにその声が届く事はなかった。
「………」
男たちが次々と雲雀の餌食となるのを、幸子は声もなく見つめていた。
強い。圧倒的だ。
これが…雲雀の強さ。
風紀委員長でありながら不良の頂点に立つ雲雀の、強さ…。
幸子はこの時改めて雲雀恭弥という男を知った気がした。
「木梨幸子」
ふいに名前を呼ばれハッと我に返ると、すぐそこに雲雀が立っていた。
不用意に捕まった事を咎める事もせず、雲雀はさっきまでの剣幕が嘘のような穏やかな声で幸子に話しかけてきた。
雲雀の視線が幸子の頬に注がれている。
「それ」
「なんでもない。大丈夫だよ!」
雲雀を心配させないように必死で笑顔を作ると、雲雀はそれ以上追及してこなかった。
「立てるかい?」
「う、うん…」
本当は足が震えてうまく動けない。しかしこれ以上雲雀に迷惑をかけたくないという思いが、幸子を診察台から突き動かした。
「行くよ」
2人は黒曜医院を後にした。
無言のまま、気がつけば幸子の自宅マンションの前に到着していた。
「雲雀くん…」
せめてお礼を言わなくては。幸子は何も言わずに立ち止まった雲雀の背に話しかけた。雲雀は幸子を振り返る。
「もういいよ」
「えっ…?」
「明日からもう応接室に来なくていい」
「っ……!!」
幸子の瞳が揺れた。
「雲雀く……」
「いいね?」
雲雀の一言一言が、幸子の心を刃物となって抉る。
もう…呼吸すらうまくできない…。
幸子はただ頷くしかなかった。
「じゃあね」
最後は幸子の顔を見ずにそう告げると、雲雀はその場から立ち去った。
残された幸子はその後ろ姿をいつまでも見送っていた。
幸子は思わず声をあげた。
雲雀はちらりと幸子を確認する。その視線が赤く腫れた頬を見やり、再び鋭い瞳が3人へと向けられた。
雲雀を包む凄まじい殺気に男たちの足がすくむ。決して逆らってはいけない相手に喧嘩をうってしまった事に、今気づいた。
だがもう遅い。
「咬み殺す」
雲雀が動いた。
ドガッ ゴギッ ガッ
金属の音が三度狭い室内に響いたかと思うと、次の瞬間辺りは静寂に包まれた。
「群れるからそうなる」
更なる血で染まったトンファーを一振りした雲雀が、低い声で吐き捨てるように言った。気を失った3人の男たちにその声が届く事はなかった。
「………」
男たちが次々と雲雀の餌食となるのを、幸子は声もなく見つめていた。
強い。圧倒的だ。
これが…雲雀の強さ。
風紀委員長でありながら不良の頂点に立つ雲雀の、強さ…。
幸子はこの時改めて雲雀恭弥という男を知った気がした。
「木梨幸子」
ふいに名前を呼ばれハッと我に返ると、すぐそこに雲雀が立っていた。
不用意に捕まった事を咎める事もせず、雲雀はさっきまでの剣幕が嘘のような穏やかな声で幸子に話しかけてきた。
雲雀の視線が幸子の頬に注がれている。
「それ」
「なんでもない。大丈夫だよ!」
雲雀を心配させないように必死で笑顔を作ると、雲雀はそれ以上追及してこなかった。
「立てるかい?」
「う、うん…」
本当は足が震えてうまく動けない。しかしこれ以上雲雀に迷惑をかけたくないという思いが、幸子を診察台から突き動かした。
「行くよ」
2人は黒曜医院を後にした。
無言のまま、気がつけば幸子の自宅マンションの前に到着していた。
「雲雀くん…」
せめてお礼を言わなくては。幸子は何も言わずに立ち止まった雲雀の背に話しかけた。雲雀は幸子を振り返る。
「もういいよ」
「えっ…?」
「明日からもう応接室に来なくていい」
「っ……!!」
幸子の瞳が揺れた。
「雲雀く……」
「いいね?」
雲雀の一言一言が、幸子の心を刃物となって抉る。
もう…呼吸すらうまくできない…。
幸子はただ頷くしかなかった。
「じゃあね」
最後は幸子の顔を見ずにそう告げると、雲雀はその場から立ち去った。
残された幸子はその後ろ姿をいつまでも見送っていた。